韓国映画 ペパーミント・キャンディー (1999年) | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

 

 


アンニョンハセヨ(o・・o)ノ

私ごとですが1月下旬は正直
気持ちがふさぎ込みました。

一瞬、ブログをやめようかと思った。
一つには東京で起こった
3歳の男の子の虐待死の事件
あのことをニュースで知ったためでしょう。
映画を観ていても、その子の姿が
イメージされてしまって
憂鬱につきまとわれました。
そうなるともう・・・ダメね。
何をやっても楽しくはない。

あと、自分のブログにも
目的意識があったのですが
やはり、素人のやることですので
その目的が達せられてない、と感じられ
自分が書いたことへの猜疑心にも苛まれました。
会ったこともない知らない人たちのために
私はこのブログを書きたかったのですが。

私はいつも、たかが映画とは考えてないし
せいぜい私のようなものにとっては
唯一の楽しみですよ。
映画を観て、記事を書き、公開する。
たいしたことではありませんが
やはり無駄ではないと思っていたい。

まあ・・・いつかはやめるわけやけども
何ごとにも限りがあるとゆうか。



去年、12月の30日
この映画を観ました。

観てから一ヶ月経ちましたが・・・
なかなか記事が書けなかったですね。
ただ絶賛しまくるのも嘘くさい気がして。



ペパーミント・キャンディー

 

 

ペパーミント・キャンディー

原題:박하사탕
英語題:Peppermint Candy

(1999年、韓国・日本合作映画、130分)

監督・脚本:イ・チャンドン
製作:ミョン・ゲナム、上田信
音楽:イ・ジェジン

出演:ソル・ギョング、ムン・ソリ、キム・ヨジン、パク・セボム、ソ・ジョン、コ・ソヒ、パク・チヨン、イ・デヨン、キム・ギョンイク、チョン・ウヒョク、キム・ジュボク、クォン・ヨングク、チェ・ヨンシク、シム・テソン、パク・チョンサン、アン・チャンモ、パク・キルス、カン・ソンスク、チェ・ミングム、ユ・ジニ、シン・ブヨン、イ・ウンスク、チェ・ヒョンスク、ユ・ヨンス、コン・ヒョンジン、チャン・ムニョン、イ・ビョンチョル、ソン・ジョンファン、チ・サンウク、コ・ジョンピル、イ・ドゥギョン、ハン・ヨンス、ファン・ギョンウク、チェ・ドンムン、ハン・ジェサン、チェ・ジョンファ、オ・ヨンシル、チョ・ミンチョル、ペ・ジャンス、ヤン・ヒギョン、イム・サンヒ、ソン・サンウォン、ウ・ジャンミョン、キム・ドンゴン、チャン・スッキョン、クォン・ジノン、チョン・ミンソン、ペ・スベク ほか


https://hangukyeonghwa.files.wordpress.com/2013/01/yeong-ho-revisits-his-military-past-in-which-he-took-part-in-the-gwangju-massacre.jpg?w=760
 
習い事やお稽古が大嫌いな私が
中学生の頃、私の両親は仕方なくキャンプに
申し込んでくれました。
同じ中学の2歳上の先輩も来ていて
電車の中である作家の有名な本を・・・
つまり太宰治の『人間失格』を読んでいました。
そして、本から目を上げて私に
「うわー、これ読んだら性格変わるわー
すごいわー」と言いました。
12、3歳の私はその先輩に憧れの気持ちを
抱いていたので、そのことをよく覚えていて
後年、15、6になった頃
その本を読んでみましたが、性格は変わりませんでした。
読みながら、なんや、この程度の本か・・・
なんと甘ったれた男の話だ・・・そう思っていました。

一本の映画や一遍の小説を体験したことで
自分の性格が劇的に変化したことは
一度もないと思います。
影響は受けます。
受けますが、自分はそれほど変わりません。
自分を変えたのは現実の人間関係と労働
社会の中で目にした理不尽な光景の数々
そしてそれまでに生きてきた人生の経過
その中での思索です。
なんやったら、絵を描いている時
私は一番、明晰に考えました。
絵を描くことが一番、性格を変えたのかもしれない。
芸術など、表現で人々を変えるのは
それほどむずいことのかもしれません。


https://eduinstigate.files.wordpress.com/2013/07/peppermint-candy-645-75.jpg
http://ojsfile.ohmynews.com/down/images/1/wkimline_98639_3[2].jpg

私がこの映画を観ることを
どれほど楽しみにしていたか
私のブログを読んでくださってる方々は
よくご存知だと思います。
イ・チャンドン監督の作品はまず
『オアシス』(2001年)を観て
次に『グリーン・フィッシュ』(1997年)を観て
それから『ポエトリー アグネスの詩』(2010年)を観て
特に
『ポエトリー アグネスの詩』には
深く心打たれましたし
『オアシス』はかけがえのない恋愛映画です。

そしてソル・ギョングはおそらく
私が最も好きな韓国の俳優さん。
私は『公共の敵』(2001年)や『カメリア』(2010年)の
「カモメ」が特に好きなのですが、出演作品の全て
ことごとく、愛してやまないといっていいと思います。

そして『ペパーミント・キャンディー』は
ソル・ギョングにとっても俳優として初めて認められた
記念すべき思い出の作品だと、そう推測できます。


http://www.hancinema.net/photos/fullsizephoto289762.jpg

私も韓国映画を観ていくごとに
大韓民国とゆう国の歴史にも興味を抱いてきました。
とゆうか、韓国映画を観ていくのなら
韓国の歴史を知ることは必要なことなのだと思います。

『ペパーミント・キャンディー』は
1999年から1979年まで、ある男の人生を
遡る映画で、だから1979年から1999年までの
韓国の歴史を知っておかないと
十分には理解できない場面が少なくないと思います。

男の生涯の中で大きな転機となる光州事件の時
彼は一生忘れられない悲惨な過ちを犯し
それに続くチョン・ドゥファン大統領の
軍事独裁政権時代には、歴史の流れに迎合し
暴力に手を染めていきます。
また韓国がめざましい経済的発展を
遂げつつある時代には、その波に乗り
浮かれるように金儲けにも励みます。

簡単に言えば一人の心の澄んだ優しい青年が
韓国の歴史と共に生きたことで
旺盛に人生を求めているかのように見えつつ
澱んだ大人に成長し
後戻りできないポイントにまで至る、そんな映画です。

でわ、韓国の歴史について詳しくない私たちが観て
この映画から何を得るのでしょうか??

ハッキリ言ってこの映画
私はそんなに面白い映画ではないと思います。


私は結局、主人公、キム・ヨンホの
悔みの激痛に苛まれた絶叫の表情しか
今、思い出せません。

歴史の映画であることを忘れて
一種のラブストーリーだと思って観ると
非常にせつない話です。
眠るムン・ソリに語りかけるソル・ギョングが
ラストシーンを見た時、思い出され
目頭が熱くなるでしょう。

しかし、人生の中盤、キム・ヨンホは
拝金主義に染まり、自らが浮気していながら
妻の浮気を非難するような男になっているのです。


http://cfs12.blog.daum.net/image/6/blog/2008/01/29/02/28/479e109b2d320&filename=%EB%B0%95%ED%95%98%EC%82%AC%ED%83%95.jpg
http://rarefilm.net/wp-content/uploads/2016/08/Bakha-satang-AKA-Peppermint-Candy-1999-1.jpg

逆に、この映画が好きで、面白いと思った人に
なぜ、そう思うのか、尋ねたい。

物語が逆さまに進むことが面白いのか
その時間の逆行にそって若返っていく
ソル・ギョングの演技を評価されたのか。

なるほど、それは映画として圧倒される
芸術だったと思います。

しかし・・・なんとゆうのか、この映画に関しては
私はよくわかった、感動した、と言いたくはないのです。

いや、あるいは
ヨンホの気持ちがよくわかった
捉えられたと言いたくないとゆうか。
あやふやなのですが・・・経験していないことを
さも実感したと、簡単に言いたくないとゆうのか。

私は違う人生を生きていますし
彼のようにはならない気がします。
償えない罪であっても生きている限り
謝罪し続けることはできますから。

ヨンホはそれこそ、ある地点から人生を変え
違う人生を歩めたんじゃないかと。

私にはヨンホが、人生を立て直せなかったことが
歯痒かった。
彼は最終的に川原の掘っ立て小屋で暮らす
人生の、社会の落伍者に身をやつしますが
皆さんご存知のように同じ立場であっても
諦めずに必死で生き抜いている人たちだって
大勢いますから。

そこまで思いつめるのが彼の最後の愛
彼の人生の最も重要な決定の理由・・・
そう考えるのは、彼の人生を振り返ると
少しナイーブ過ぎるのではないでしょうか。
映画は映画だとしても。

ただ、ヨンホが初恋の人に再会したことで
第二の殺人に手を染めなかったことには
私ですら何か光のようなものを幻視します。

http://www.hancinema.net/photos/fullsizephoto289761.jpg

どれほど甘い味の映画かと
勘違いするようなタイトルの作品で
その皮肉はとても好きです。

でも、この映画は苦く、辛く、痛々しい。
イ・チャンドン監督はこれまでに
純粋な心の持ち主が道を踏み外し
自ら命を絶った時の気持ちを
あくまでも理解しているようでした。

でも、人は自己中心に徹しても
自分が生き残り、思いやりを忘れて
過去にこだわらずに、愚かに人生を全うする
そんなふうに投げやりに考えたくなる時も
私にはあります。
本来のヨンホはああまで思いつめるほど
高潔すぎたとゆうか。

悪人が、善人が、必ずしも生き残るわけではなく
普通の人が後悔に苦しんで生き、死ぬのでしょうか。
この世界を離れてみれば
何か人の一生にも意味を見いだせるのでしょうか。
それを考えると恐ろしくなりますが
映画が私を恐怖させ、映画が私に安堵をくれる
それは間違いないようです。

気持ちが弱っている時は特に。


何時間もかけた割には
核心を伝えきれない
独りよがりでボヤけた文章を
最後まで読んでくださり・・・そして
1月もこうしてうちのブログを読んでくださり
ありがとうございました。

『ペパーミント・キャンディー』は
多くの方々が絶賛する通りの
深くて、悲惨で、感動的な傑作です。

是非、観てください。




https://images-na.ssl-images-amazon.com/images/I/61ERUfa2UHL.jpg

韓国映画で学ぶ韓国の社会と歴史

(キネマ旬報社、143ページ、1,620円)

韓国映画がお好きで
韓国の歴史について知りたいのなら
最適な本が発売されています。

『ペパーミント・キャンディー』も載っていますし
この映画にまつわる歴史的な背景についても
詳しいです。

どうか是非、読んでみてください。




http://ecx.images-amazon.com/images/I/718IqhQyQ2L._SY500_.jpg

【物語】

ある日の午後、一人の男が死んだ。
憔悴しきった彼は最期の時
何かを叫んでいるようだった。
男が前進した線路は、けして後戻りできない・・・。



それでわ、2月も、ありがとうです。
また明日、アンニョンヒガセヨ(^.^/)))