韓国映画 太白山脈 (1994年) | Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

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アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆




アンニョンハセヨ・・・(^-^)ノ

この2年間、韓国の映画を集中して
観てきて、本当に良かった。
それによって、映画を通じてだけど
韓国の社会や歴史を内側から
垣間見ることができたと思うから。

もちろん「垣間見た」程度ですよ??
キッチリと「知った」わけじゃないと思う。
けれど映画・・・영화は現し世を映したもの。
それからしか知れない本質を
知ることもあります。

本当はもっと映画以外の本とかで
韓国の歴史を知りたいのだけど・・・
難しいのはダメだ。
せめて、マンガ付きじゃないと。
マンガや写真がいっぱいの本なら
きっと読めるだろう。
でも、活字だけなら・・・今は読む気にはなれない。


さて、話は変わりますが

日和見主義者
それのどこがいけないのでしょうか??


私はテレビをあまり見ないし
また新聞も読まないけど
ネットを適当に見てても政治や経済、歴史について
人様々な意見がそこかしこに書きなぐられている。

曰く
右翼が正しい、左翼が間違い
あるいは
左翼が正しい、右翼が間違い・・・
はたまた
社会主義が間違い、民主主義が正しい・・・
喧々諤々、ああでもない、こうでもない・・・
日々、意見は口にされ、ゴミ箱へと消える。



私にはわからないし
取り立てて自分の意見もないけど
様々な映画を観ていてたどり着いた思いといえば
そんなもん、全部間違ってるって思ってる。

人類の歴史においてどの国であっても
政治や思想、戦争や何かが人を幸せにしたことが
あったのだろうかと、思ってしまう。
たとえ幸福な人がおったとしても、それは
その人が自分で勝手に幸せになっただけで
政治や何かにしてもらったわけじゃないと思う。
あなたはここ何年かで政治によって
幸せを施してもらいましたかね??

私はどうしても政治を信じたりはできないし
むしろ、それこそが不幸の原因だったのでは
なかろうか、そんなふうに考えてしまう。
生まれてから今日まで生きてきて
そこまで不信感を抱いてしまってるのだ、私は。

私は子どもの頃からテレビなんかで
政治家の顔を見れば、ほとんど悪人だと
何の根拠もなく思ってきたが
後になって振り返ってみて
政治家の一生とかを偉い人が検証しはって
あの人はここは間違っていたがここは正しかった・・・
そんなふうな話もよく書いてあったり
誰かが話してたりするのだけど
私の本音では
子どもが餓死したり、貧困が一家を絶やしたり
生活苦の中で親が子を殺めたり
そんなことが起こっているなら
その時点でその国はまだまだどころか
一発アウトじゃなかろうか。
その時点で政治家は全員、恥じ入りて
次の人に任せるのがスジじゃないのかね??

けど、悲しみと憤りしか感じないような実態が
少なくとも私のような無知な者にまで
見えている今日においても
別に政治家たちは
それを悔いているようには見えないし
次の日になっても前の日と同じことをやっている。
どころか、さらに状況を悪化させているように
悪いけど、思える。


戦争が絶対にダメなのは当たり前。
そんなもん、アホでもわかる。
だって平和な時でも、この世は地獄なのだもの。
誰もが地獄に生まれ、地獄で死んでいく。
地獄で苦しんで生きるか
地獄に慣れて地獄に諂って生きるか
あるいは地獄そのものを嘲笑って生きるか。
大体がとこ、その3つ。


子どもの頃、世界が滅びる日のことを
いつも夢想していた。
私にはもう、世界は滅び、人類は消えるしか
ないんじゃないかと思えていた。

自分が生きているうちに
そんな日は来ないようにも思えるけど
だからといって、一人残らず
誰もが幸せな世界がいつの日か
実現するともぜんぜん思えない。

きっと今、世界は100年前と
少しも変わってはいない。
ただ、人が変わっただけ。


12月8日・・・は、そうか
日本が昔、太平洋戦争をやらかした日か。

その日の夜
こんな映画を観ました。

ところで、太平洋戦争ってなんで
「太平洋戦争」ってゆうんでしょうね??



 

太白山脈

 


 
太白山脈

原題:태백산맥
英語題:The Taebaek Mountains

(1994年、韓国映画、168分)

監督:イム・グォンテク
脚本:ソン・ヌンハン
原作:チョ・ジョンレ(趙廷来)
音楽:キム・スチョル

出演:アン・ソンギ、キム・ミョンゴン、キム・ガプス、オ・ジョンヘ、シン・ヒョンジュン、チェ・ドンジュン、チョン・ギョンスン、パン・ウンジン、イ・ホジェ、チョン・ジングォン、パク・ヨンジン、クク・チョンファン、シン・ドンホ、パク・チェヨン、アン・ソックァン、ユン・ジュサン、クォン・テウォン、キム・ギロ、チェ・ジョンウォン、チェ・イルスン、イ・ヘリョン、ナ・ガプソン、パク・チョンギュ、オ・ジヘ、パク・スンテ、キム・ギョンエ ほか





 
この『太白山脈』とゆうタイトルの映画

「たいはんさんみゃく」と読みますが
「てべくさんみゃく」とも読めます。
そして、韓国の人たちは
「テベクサンメク」と発音するようですね。

さて、この作品、
趙廷来 (チョ・ジョンネ)とゆう作家が
1983年から1989年にかけて書いた小説が原作で
その小説は全10巻にもなるそうです。


ほら、日本にとても近い韓国の南の方・・・
チョルラナムドの農村地帯を主要な舞台とし
大日本帝国の植民地支配からの解放後
朝鮮戦争を経て、分断の固定に至るまでの
朝鮮(韓)半島の現代史を描いた作品だそうです。

だそうです、ってゆうか、さすがに
アホなうちにもそうゆう映画だとはわかります。

韓国映画には
南と北とで分断してしまってる今の状態に
深く関わる作品が多いのですから
韓国映画を100本も観れば
いったい今、どうなってるのか
そして昔、何があったのか、ボンヤリとでもわかる。

この映画はそのボンヤリが
少しは鮮明になるのを助けてくれる映画です。

前にこのブログでも書いた
神さまこんにちは 』(1987年)をのぞけば
私が観た最も古い韓国映画だと思います。

(しかし、その次に古いのがハン・ソッキュと
キム・ヘス主演の『
ドクター・ポン 』(1995年)

だったりするのが、面白い・・・)
 

http://cfs6.blog.daum.net/image/3/blog/2007/12/24/15/42/476f54d5bcc5a&filename=!%5BCDATA%5BTaebaek_Range_of_Mountains_8.JPG%5D%5D

http://cfs9.blog.daum.net/image/26/blog/2007/12/24/15/41/476f5482c11ad&filename=!%5BCDATA%5BTaebaek_Range_of_Mountains_5.JPG%5D%5D
 
私は常々、不思議に思っていました。


なぜ、朝鮮、韓の国は今みたいに、ああして
半分に分かれたのだけど、そうまでクッキリと
分かれることになったのか??

人は移動もするし、自分の考えで行動しますから。
お前は今日からこっち、お前はそっち、と
そんなふうに分けられるはずがないと。
もちろん、そんな私の考え、浅はかで甘いものです。

この映画を観て、理解できました。
二つの集団が行ったり来たりしながら戦争し始め

しかもレジスタンス、パルチザンの人たちが
敵のエリアの中でも戦っており

土俵の上の二人の力士よりもはるかに複雑な動きで
入り乱れて戦争をやっており

一番、腹立たしく、異常だなぁと思ったのは
夜に一つの集団が来て
あーだこーだとぬかして人々を困らせた後
そして昼間にはまた別の集団が来て
真逆のことを言って人々を苦しめる。
そこで命を落とす人もいる。
これが理不尽でなくてなんだろうか。

そうやって、戦争しながら、国土は荒れ果て
人々は苦しみ喘ぎ、最終的には500万人以上の方々が
命を落とすハメになり
そして『
高地戦 』(2011年)のあの日がやって来て
休戦して、今に至るわけです。


http://rarefilm.net/wp-content/uploads/2017/05/Taebek-sanmaek-AKA-Taebaek-Mountains-1994-3.jpg http://rarefilm.net/wp-content/uploads/2017/05/Taebek-sanmaek-AKA-Taebaek-Mountains-1994-4.jpg

難しい歴史や政治の話を書くのは
私の役目ではないので、それは別の方々の解説や
感想を読んでもらうこととして・・・
『太白山脈』はやはり歴史の映画で
おそらくこの映画が公開された1994年とゆう時代の
状況が少なからず反映され
現代の視点で40年前を顧みた168分
(日本版DVDは165分)の作品で
私には韓国の、そして北朝鮮民主主義人民共和国の
後悔と、反省と、嘆きが、深く深く、感じられました。
どの国であっても罪なき人が命を落とした戦争を
省みれば、そういった感情を掻き立てられて
当然だろうけど。

映画の最後
アン・ソンギ演じるキム先生は初めて感情をあらわにし
ポルギョの町を労働党の理念で良くしようとしていた
ヨム兄弟の兄、サンジン(キム・ミョンゴン)を
激しく問い詰めますが、サンジンは小さな声で
自分を弁護し、反省を感じさせるだけです。

しかし、彼がその直前、ある人物を殺めず
逃したことには、深く心を打たれました。
それは不可解で不平等な行動ですが
同時にまたかすかな希望も残したように思えました。

それ以外のほとんどでは、不条理に人々が傷つき
理屈抜きで全くの無駄に命を落としているように
私には見えたのです。

わけもわからず戦争に加担させられ

命を落とす人々が哀れです。
 


 
映画としては、とても面白く

3時間近く、特に派手なことは起こらないのに
ちっとも退屈しない作品だと思います。

イム・グォンテク監督は、この映画の後に
作ることになる『
酔画仙 』(2002年)をこの前に観て
静かに感動させられたのだけれど
同じ種類の感動をこの作品でも感じることができました。
『酔画仙』よりもずっと残酷で悲惨なんだけど
それでも最終的に人の正しさのような思いが感動と共に
胸の迫って来るのが、さすがとゆうほかありません。
やはり私は好きなのですね・・・映画が。

さすがに私も知ったかぶりもできないので
わからないこともいっぱいあったと告白しますが
しかし、そのわからないことよりも、わかることの方が
多かった気がして、韓国への思いがより深まったことは
確かです。

この映画を観てから
シュリ 』(1999年)
JSA 』(2000年)
ブラザーフッド 』(2004年)
トンマッコルへようこそ 』(2005年)
そして『高地戦』(2011年)といった韓国映画を観れば

より深く観ることができるでしょう。
 
 
傍観者のようでいて強い信念に基づき続ける

最も人々の共感を得るであろう
キム先生を演じたアン・ソンギ。
思想の正しさを信じ、理想を実現しようと努力し
結果的に思わぬ現実を知ることになる
兄を演じたキム・ミョンゴン。
時代の潮流の中、小心者が虎の威を借り
悪魔的な人物に墜ちる弟を熱演したキム・ガプス。

渋い俳優たちの実力に裏付けられた表現には
やはり圧倒されますが
若き日のシン・ヒョンジュンの(イケメンゆえの)
存在感が
意外とこの暗い映画の中に溶け込んでいたことも
興味深かった。
彼が演じた理想に燃える青年、チョン・ハソプも
正しいことをしているつもりですが
はたして、そうだったのか・・・??

誰が善人、誰が悪人、などと
現代の日本に生きる私に決めつけられるはずもなく
哀しみ、嘆き、後悔、、困惑、心残り、恨み、復讐心
この世への猜疑
そして死者への弔いの気持ち、かすかな希望を
残し映画は幕を閉じます。

正しいことを目指していると信じて
自分たちの考えを優先させていた人たちも
今となっては「恨(ハン)」を感じていることでしょう。

日和見主義者
それのどこがいけないのでしょうか??

不鮮明の中に、人の生きる道があるように思えます。

 
歴史にぜんぜん詳しくない私が

こうしてこの映画を語って、えらそうですね(._.)
さぞかし、生意気に見えるでしょうね・・・。

でもね、そんな私も、皆さんと同じく
歴史に生きている一人なんです。

いつの日か、全ての人々が
生まれてきて良かったと思える
そんな幸せな世界が訪れますように。


でわ、また、アンニョンヒガセヨ・・・(^.^/)))