Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

Asian Film Foundation 聖なる館で逢いましょう

アジア映画に詳しくなかった私がアジア映画を観てます♪
ネタバレはできるだけ避けております…(ㆆᴗㆆ)*✲゚*。⋆

2014年1月に韓国映画と出会い、映画について書かせていただいてますカチンコ

音楽はCoccoが大好きです。
最近は英国の70年代のロックにも熱中してます音譜

映画がお好きな皆様、是非、読んでください…!!

※ コメントのお返事が遅いですあせる

 

 

 

 

 

マイウェイ 12,000キロの真実

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンニョン(^-^)/

いつも読んでいただき、ありがとうございます。

 

今日は「すでに観ていて、書きたかったけど、まだ書いてなかった映画」について書かせていただきます。

2011年公開の『マイウェイ 12,000キロの真実』 ―― 以下、『マイウェイ』 ―― です。

 

この作品は映画を構成する背景や要素がいろいろ多いので、そういったことも書かせてください。

 

まず最初に、この作品は凄惨な戦争映画で、戦闘の場面の残酷さは並みの映画の比ではありません。

観ていて気分が悪くなる方もおられると思いますので、観る時にはご注意ください。

 

監督はカン・ジェギュさん。

『マイウェイ』は、『銀杏のベッド』(1996年)、『シュリ』(1999年)、『ブラザーフッド』(2004年)とそれまで監督作を大ヒットさせてきたカン・ジェギュ監督が、初めて興行に成功できなかった作品です。

また日本での観客動員も振るわなかったそうです。

が、私はこの映画、大好きですし、カン・ジェギュ監督の作品の中でも特に好きな作品です。

 

 

『マイウェイ』は、大日本帝国陸軍、ソビエト連邦の赤軍、そしてドイツ国防軍に従軍し、オーバーロード作戦中にアメリカ軍に捕らえられたとされる韓国(朝鮮)人徴兵兵士「ヤン・ギョンジョン(Yang Kyoungjong、양경종)氏」のストーリーに基づいている ―― そうです。

しかし実際の歴史に着想を得つつも、映画化に際し大幅に創作されているそうですし、監督も完全にフィクションだと発言されてます。

 

私の考えでは、ヤン・ギョンジョン氏の物語はまた別に調べるとして、映画はそのこととはある程度の距離を保って観た方がいいと思います。

映画はヤン・ギョンジョン氏のライフストーリーのそのままの映画化ではないですね。

ただ、朝鮮の日帝併合時代、そして第二次世界大戦の歴史に関する映画ではあります。

 

 

1928年、日本占領下の朝鮮、京城。

キム・ジュンシクの父親は、憲兵隊司令官である長谷川の家の使用人でした。

ジュンシクは京城に来た長谷川の孫の辰雄と出会い、二人ともマラソンに精進していたので、お互いに競い合うライバル関係となった。

 

ところが、辰雄の祖父はテロの爆弾により命を落とし、祖父のことが大好きだった辰雄は、そのことで朝鮮人に対し根強い憎悪を抱くようになる。

またジュンシクの父親は爆弾テロのことで日本人から酷い拷問を受け、重い後遺症が残ってしまう。

そのことでジュンシクも日本人に対し、強い怒りと対抗心を感じるようになる。

 

 

辰雄は医学の勉強のためにドイツへ留学するよう父親に言われたが、マラソンに専念するため朝鮮に残った。

 

ジュンシクと辰雄はマラソンで競い合うが、陸上連盟の日本人たちは朝鮮人の参加を認めず、人力車夫として働くジュンシクは悔しい思いをしていた。

 

と、そんな導入部で、映画はまず、日本による植民地支配の時代、朝鮮人マラソン少年と、日本人マラソン少年が出会い、お互いの立場から負けてたまるかという気持ちで、いがみ合う流れです。

 

10年後の1938年5月、全日本選抜大会でジュンシクは辰雄に勝ち優勝したのだが、体育連盟はそれを認めず、朝鮮人たちの不満が爆発し、会場は騒乱状態に。

そのことの罰として、暴れた朝鮮人たちは大日本帝国陸軍に強制徴用され、軍に入れられてしまう。

 

実際の歴史ですが、1938年2月に「朝鮮人陸軍特別志願兵令」が施行され、志願兵制度が導入され ―― その後、1943年11月には「学徒兵制令」が、1944年4月には「徴兵制」が施行され、朝鮮の青壮年男性が正式な徴兵対象となった…ということです。

こういったことは私、歴史に詳しくなく、申し訳ないです。

間違ってたら、また教えてください。

 

ともかく、映画ではそうして、主人公ジュンシクと、彼を応援していてその場にいた朝鮮人の仲間たちが日本陸軍に無理やり入れられ、兵士として酷使されることになる。

 

1939年7月、軍はノモンハンでの戦闘に派遣され、そこで日本軍に家族を殺され自らも陵辱された中国人狙撃兵シュライを捕まえる。

 

 

そして、大佐となった長谷川辰雄が合流し、朝鮮人に対しても公平だった高倉大佐に切腹を命じ、ジュンシクたちをさらに厳しく苦しめる。

辰雄は、同じ軍であるにも関わらず、朝鮮人たちを目の敵にするのだった。

しかしジュンシクも、そんな辰雄に媚びない。

二人は険悪な関係です。

 

 

登場人物として、山本太郎さん演じる「野田」という軍人も出てくるんですが、このキャラクターは中でも朝鮮人を蔑み、彼らを苦しませることに喜びを感じる人物。

山本太郎さんの演技が憎たらしくってホントにムカッとくるんだけど、冷静に考えたらみんなで強く連携して協力した方が軍の威力も増えると思うので、野田はむしろ軍の妨げになってる。

このキャラは差別や他民族蔑視の象徴かな。

 

対して鶴見辰吾さん演じる高倉は、差別・区別をしない正しい軍人さんだったのですが…。

 

長谷川辰雄は、大好きだった祖父に習い、大日本帝国の軍人として活躍することを選んだと思うんですが、それにしても…です。

軍とは縦社会なんだろうけど、こうまで理不尽だと人間、誰でも耐えられるものではないし、映画を観ていて辰雄たちの民族差別は、むしろ軍の状態が悪くなるばかりだと思いました。

辰雄はいいリーダーではないと思います。

 

これは韓国映画、日本映画、どちらでも映画にするのがデリケートだと思うけど、この時代に、自ら進んで日本の軍人になることを志願した朝鮮人の方々、また台湾の方々もおられたそうです。

やはり、日本人に認められたい、自分たちの心意気を立証して敬意を払ってもらいたいという思いがあったのではないかと推測するのですが、『マイウェイ』のような映画と共に、そういう映画も作られれば観てみたいというのが私にはあります。

 

しかしともかく『マイウェイ』の前半は、日本の軍人に虐げられる朝鮮人兵士の描写が続きます。

これは物語上、意味のあることなんですね。

 

 

詳しいストーリーは置いといて、ノモンハンでの悲惨な戦闘のあと、1940年2月、ジュンシクたち朝鮮人も、辰雄たち日本人もソビエト連邦の捕虜となり、ソ連のペルミ地方にある捕虜収容所に収監されてしまいます。

「生きて虜囚の辱めを受けず」は、1941年に陸軍大臣・東条英機が示した「戦陣訓」の一節だそうなので、時代的に辰雄は聞いてなかったと思うけど、辰雄にとって捕虜になることは何よりの屈辱。

それでも帝国軍人としての佇まいを崩さなかったが、暴力を振るわれ、雪の中で吊るされれば誰でも心が折れてしまう。

 

そして、これまで自分が上の立場で苦しめていた朝鮮人のイ・ジョンデ(キム・イングォンさん)が「アントン」と名乗り、労働部隊のリーダーととして、仲間の朝鮮人を贔屓し、日本人捕虜を虐待しているのですね。

 

捕虜という助け合わねばならない立場になっても、辰雄とジュンシクは対立し、激しい喧嘩となります。

 

 

キム・イングォンさん演じるイ・ジョンデは、この作品の象徴的なキャラクターです。

ジョンデは日本に祖国を占領され、悔しい思いをしていたのだけど、だからジュンシクがマラソンで活躍するのを応援してました。

そのことで日本軍に徴用されてしまったんだけど、軍での酷い扱いの中、日本人を恨むようになったんだと思う。

それでソ連の捕虜になり、優遇される立場になった時、日本人を虐めるようになったんだろうけど、だからといってそんなことをしていいはずはない。

 

私はそこにカン・ジェギュ監督の考えを感じます。

実際、映画の中のジョンデは否定的に描かれています。

差別され、虐げられても、それで復讐するのは正しいことではない ―― 監督はそう主張しているようです。

 

また、捕虜収容所の場面では捕虜になって気持ちが落ちている辰雄と、副官の向井少佐(浜田学さん)の優しい場面もあり、日本の軍人だってやはり普通の人なんだって思わされます。

 

そして ―― 労働中の事故により、暴動が発生し、ジュンシクや辰雄は死刑寸前の境遇に陥りますが、その時、ドイツがソ連に宣戦布告し、捕虜たちは今度はソ連の赤軍としてイヤも応もなく強制的に戦闘を強いられることになる。

 

生きるためにソ連の軍服に袖を通す辰雄ですが、かつての部下からも嘲られる。

 

もちろん戦闘は凄惨を極め、捕虜たちは使い捨てのように死んでいきますが、その時、辰雄は愕然とするのです。

自分も同じように、兵士たちに後退することを禁じ、背くものを射殺していたことを思い出し。

 

つまり、この映画は、人なんて立場と視点の存在だと教えてくれるわけですね。

 

日本軍として戦うことも、ソ連軍として戦うことも同じは同じ…上位の者が下位になることもある。

ただ立場と視点が違うだけなのだと…。

それなのに戦わされ、死んでいく。

そう考えると、いかに戦争が不毛で空疎であるか、明白です。

 

結局、そうして ―― 登場人物の多くは、死んでしまいます。

 

 

ジュンシクと辰雄は生き残り、亡くなっているドイツ兵の服を身につけ、二人で山を越えてドイツ領内へ向かいます。

 

映画の間中、対立し、いがみ合ってきた二人ですが、こうなるともう協力して生き延びていかねばなりません。

 

こうして二人の関係を見てくると、どちらがいい、悪いと一概には言えないと思います。

もちろん、軍というグループで位が高いのをいいことに朝鮮人兵士を虐めたことは見苦しいし、逃げようとする兵士を容赦なく射殺したことは正しくないけど、それは辰雄自身の過去と、彼が生きていた境遇が作用してるんだと思います。

当時の日本は確かに、大日本帝国万歳、天皇陛下万歳だったでしょうし、それが当たり前だったでしょう。

 

キム・ジュンシクは不屈の人ですし、仲間思いでタフな精神の持ち主です。

しかし、辰雄にも映画では詳しく描かれなかった別の側面があったと、私は思います。

二人の関係には、当時、加害者的な立場にあった日本と、被害者的な立場だった朝鮮の関係が投影されていると思いますし、だからやっぱり立場と視点かなと思います。

いつの時代、どの国の人でも、相手の立場に立って見れる人は、やはり正しい見方ができると思う。

 

朝鮮、大日本帝国、ソビエト連邦、ドイツ…国ごとの描き方ですが、大日本帝国とソビエトの場面は残忍さが強かったです。

対して、ドイツはもう少し穏やかな時間が描かれていましたが、ノルマンディーでの戦闘が始まると、やはり上官が兵士を逃げ出さないようにする描写があり、怖いなと思いました。

 

ともかく、『マイウェイ』はどの国がどうという映画ではなく、戦争という状況の理不尽、不条理、恐怖を扱った作品だと思います。

 

韓国、日本以外の国の人たちが観た方が、意外と映画の本質を見抜けるのかもしれません。

 

 

最終的にジュンシクと辰雄は笑顔で語り合いますが、そう考えると何も最初からいがみ合うことはなかったのです。

彼らは急に友達になったのではありません。

もともと、マラソンを愛する仲間だったのですね。

マラソンで競争しつつ、お互いを高め合う関係だったはずです。

それに気づくまで、朝鮮~中国~ソビエト連邦~ドイツと長い旅をしなければならなかったわけです。

これは折口信夫先生が提唱した貴種流離譚 ―― の範疇だと考えていいのでしょうか。

 

私は二人がようやく、角が取れて、仲良くサッカーして、ドイツ人たちが驚くほど速く走り、笑い合う姿が好きです。

そこにゴールできて、私は、いい映画を観たなあと思います。

そして人と人との関係も、国と国との関係も、意外とあっさり、角が取れて理解できるものなのだと、そう信じられるのです。

 

 

映画についてですが、『マイウェイ』は製作費280億ウォン(当時のレートで21億円〜24億円程度)ということで、当時、韓国で最も多額の製作費が投じられた作品になったそうです(今はドラマにその倍以上の制作費が投入される時代です)。

それにしても、戦争映画として、ハリウッド映画に負けてないどころか、勝ってると思えるほどです。

ハリウッド映画なら200億円や300億円くらいは使いそうなもんです。

 

私は兵器や銃に詳しくないけど、よくもまあこれだけ激しい戦闘シーンを何度も撮ったなと思いますね。

さすがはカン・ジェギュ監督です。

 

残念だったのはヒットできなかったことで…ヒットしていればカン・ジェギュ監督の次につながったんですがね…。

カン・ジェギュ監督には『マイウェイ』規模の映画をまた撮ってほしいものです。

 

 

キャストについては語りだすとキリがないけど、主役のふたりはチャン・ドンゴンとオダギリジョー。

この映画のオダギリジョーさん、すごくシリアスで好きです。

チャン・ドンゴンの日本語もいいですね。

 

前述の通り、キム・イングォンさんはイ・ジョンデという複雑な人物を演じてます。


キム・ヒウォンさんは臆病だけど、いつもお腹を減らしているチュンボクというキャラを演じてて、ホントに泣かされるんです…。

 

最初の方でジュンシクの子ども時代をト・ジハンくん、辰雄の子ども時代をソン・ユビンくんが演じてたりします。

キム・シフくんは塚本という日本人を演じてますね。


 

ファン・ビンビンは中国の狙撃兵シュライの役です。

 

やや、必要性が低く感じる登場人物に思えますが、しかしドラマ的にシュライの活躍する場面も目頭が熱くなりました。

 

 

『マイウェイ』は日本人側のキャストも豪華です。

 

辰雄のおじいさんは夏八木勲さん、お父さんは佐野史郎さん、お母さんは中村久美さん。

 

前述の通り、山本太郎さんは意地の悪い野田の役、浜田学さんは実直でおとなしい向井少佐。


高倉を演じた鶴見辰吾さんの出演時間は短かったなあ~。

白竜さんは、悪役っぽく、なんか損な役あせる

 

という感じでほぼ日本映画ですが、でもやっぱり日本映画とは空気やタイミングの間が違います。

そこがまた映画的には面白い。
 

 

ちなみに映画の最初の方でソン・ギジョン(ユン・ヒウォンさん)という人物が登場してジュンシクを励まし、彼に協力しますが、このソン・ギジョンはつまり、孫 基禎さん ―― カン・ジェギュ監督の『ボストン1947』(2023年)でハ・ジョンウが演じた主人公です。

つまり、『ボストン1947』は『マイウェイ』の姉妹篇とも呼べる作品なのですが、しかし、史実に非常に忠実に映画化した『ボストン1947』に対し、『マイウェイ』は創作の度合いが大きいので、あんまりつなげるべきじゃないかな。

 

いずれにせよ、2作を観ることでカン・ジェギュ監督の気持ちがまた理解できるのです。

 

 

と、私なりに頑張って書いてきましたが、この映画はこのくらいの字数ではまだまだ語りきれないって気分です。

でも、書きたいことは書きました。

 

私にとって韓国の戦争映画としては『高地戦』(2011年)と並んで最も好きな作品です。

韓国は戦争映画の傑作が多いけどね。

 

日本人としては確かに観ていて辛い場面も多いんですが、観た方が視野も広がり、考えも深まると思います。

観ておられないなら是非。

 

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

アンニョン(^.^/)))

 



マイウェイ 12,000キロの真実


原題:마이웨이 マイウェイ
英語題:My Way
中国語題:登陸之日


2011年製作/145分/PG12/韓国
撮影期間:2010年10月15日~2011年6月12日
韓国封切:2011年12月21日


日本公開:2012年1月14日
配給:CJ Entertainment Japan、東映


Producer:ソン・ミンギュ
脚本:ナ・ヒョン、キム・ビョンイン
脚色:ソン・ミンギュ、ファン・イノ
監督・脚本:カン・ジェギュ [第4作]
撮影:イ・モゲ
照明:オ・スンチョル
編集:パク・ゴクジ
音楽:イ・ドンジュン
美術:チョ・グニョン


[出演]
チャン・ドンゴン → キム・ジュンシク
オダギリジョー → 長谷川辰雄
ファン・ビンビン → シュライ
キム・イングォン → イ・ジョンデ
キム・ヒウォン → チュンボク
オ・テギョン → クァンチュン
カク・チョンウク → ミヌ
キム・シフ → 塚本
チョン・ホジン → ジュンシクの父
ユン・ヒウォン → ソン・ギジョン 孫 基禎

山本 太郎 → 野田 日本軍
浜田 学 → 向井 副官 日本軍
鶴見 辰吾 → 高倉 専任隊長 大佐 日本軍
夏八木 勲 → 辰雄の祖父 憲兵隊司令官
佐野 史郎 → 辰雄の父 医師
中村 久美 → 辰雄の母

ト・ジハン → 高校生ジュンシク
シン・サンヨプ → 子役ジュンシク
小林ユウキチ → 高校生辰雄
ソン・ユビン → 子役辰雄
ホン・ダフン → 高校生ジョンテ
キム・イヌ → 山田

特別出演
キム・スロ → マイク男
イ・ヨニ → キム・ウンス ジュンシクの妹
ニコル(KARA) → 陸上連盟 記者会見 案内員
ヤン・ジンソク → 宴会場 高位層
白竜 → 陸上連盟 総裁

 

 

【2月に観た映画】

 

1日 28年後... 白骨の神殿(2026年)

4日 鬼胎(クィテ) 黒い修道女(2025年)

5日 the EYE 【アイ】(2002年)

6日 風雲 ストームライダーズ(1998年)

7日 私は公務員だ(2012年)

9日 哀しき獣(2010年) 第3の愛(2015年) マイウェイ 12,000キロの真実(2011年)