取り敢えず打ち破ろうか 253 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

蒼穹で最奥にあるのは神が座す場所

その言い伝え通り

神気に満ちた不思議な空間で

蒼穹殿の中とは思えないほどの広さ

柔らかい光が射し込み

まるで屋外に居る感覚になる

 

さて、どうすればいいんだ?

キョロキョロ辺りを見回しても

誰もいない ・・・

 

一際明るい光に照らされた場所が一つ

誰か来るのか?

 

「智、そこに座って

 名を名乗るんだよ」

 

聞き覚えのある声にハッと顔をあげると

すぐ傍に皇子が立っていた

蒼穹殿から出て来たときの帝の姿で

 

「皇子 ・・・ ここは何処なんですか?」

 

「ここは歴代の帝が座す場所

 私は智の一つ前の帝だから

 君の指導役だな

 もちろん私の指導役は父上だったよ」

 

帝が持っていた力だけが

蒼穹殿の中に帰り

一族を守る力となる

皇子が話してたことはこの事なんだ ・・・

 

この場の作法を

皇子が小声で教えてくれて

俺から少し離れた場所に座った

 

皇子から教えられたように

 

光が射している場所に座り

床に頭が付くほどのお辞儀をしたまま

口上を述べた

 

「蒼穹国の守り神であらせられる

 初代帝から続く賢帝の皆様

 蒼穹国57代帝の名を名乗ることを

 御許し頂きたく

 この場に参りました

 我が願いを聞き届けて頂きたく存じます」

 

 

口上を述べた後

しんと静まり返っていた空間に

人の気配を感じた

 

「智 顔をあげなさい」

 

その言葉を聞き、ゆっくり顔をあげると

神々しい光を放った5人の帝?が

俺の前に座っていた

 

「お姿を現してくださり

 恐悦至極でございます」

 

「そう固くならずともよい

 我はこの国の初代帝である

 我から始まる先視の系譜は

 2千年の時を経た今も

 消えることなく存在する

 それが良いのか悪いのか

 未だに判断が出来かねるが

 智はどう考える?」

 

「先視の力についてでございますか?」

 

初代帝は黙ったまま頷いた

 

「先視の力が必要かどうか

 長に就任し、先視の力を得た時

 正直に申しあげると

 必要ないと思いました」

 

先視の力を持ったものなら

誰だってそう思うはず

確定していない未来を

どう歩くかが生きる意味だと思う

そこに先視は必要ない

 

「そうか必要ないか 

 それならばその力

 消してしまうか?」

 

初代の横に座っていた帝が

笑みを浮かべて俺の顔を見つめた

 

「先視の力を無くしても

 帝として認めて頂けるのでしたら

 そうして頂いても宜しいです」

 

「では、どうやって

 蒼穹国を再興していく?」

 

3人目の帝が真面目な顔で尋ねる

 

「民と一緒に力を合わせて

 国の繁栄と平和の為に努め

 従事いたします」

 

「民を守り導くために

 先視が必要なのではないのか?」

 

4人目の帝が

『それだけでは足りないのではないか?』と

疑問を投げかけてきた

 

「確かにその通りです

 国難を未然に察知し難を逃れる

 その為の先視は必要だと思います

 それこそが蒼穹国帝の務め

 ただ、むやみやたらに先視をするのとは

 意味が違うと思うのです

 先視は幸福だけをもたらしません ・・・

 相反することも ・・・もたらすのだから ・・・」

 

皇子が辿った道は

幸福からかけ離れていた

それでも一族の為に生きた

 

先視が出来るから幸せではない 

 

「ふふ ・・・ 先ほどの56代帝と

 全く同じことを言う(笑)

 つまりは私利私欲のために

 その力を使わないと言う誓いか?」

 

5人目の帝が柔らかい笑みを浮かべて

真っすぐの俺の瞳を見つめる

嘘偽りは全て見通すほどの眼力に

一瞬たじろいでしまうが

真っすぐに見つめ返して

自分の想いを口にすることにした

 

「はい ・・・ 

 私は私利私欲のために

 力を使わないと

 ここに誓います」

 

「嘘偽りのない言葉

 しかと聞き届けたぞ

 初代、どうでしょうか?」

 

「この者が57代帝の座に就くことは

 遥か昔から決まっていたこと

 蒼穹殿に住まう我ら全ての帝が

 57代の力になるであろう

 56代の帝よ」

 

「はい」

 

「今日の日まで里を守り導いたこと

 ご苦労であった ・・・

 皆を代表して感謝する

 この先は彼の者と一緒に

 新しい生を生きるのだぞ」

 

「有難きお言葉

 恐悦至極でございます」

 

「では、57代帝の誕生を祝い

 祝宴を始める」

 

いつの間にか5人の帝と

俺と皇子前に杯が用意されていて

既にお神酒が注がれていた

 

 

朝まで過ごすと言うことは

ここから祝宴が始まるようだ ・・・

 

皇子が傍に来て

 

「5人目の帝が賢帝だよ

 後でゆっくり話す良い

 朝までの間に蒼穹国の歴史が

 君の頭の中に刷り込まれていく

 その為の時間なんだがな」

 

「皇子が一緒でホッとしました

 ずっと震えていたんですよ」

 

ガタガタとまでは行かないが

指先が震えていた ・・・

 

歴代の帝の力に圧倒されて

彼らは既に蒼穹国での神様だから ・・・

 

「これで力の制御ができるようになる

 もう、どこへでも出かけていける」

 

「それが一番嬉しいかな」

 

そう答えると

皇子がくすくす笑って

「私も嬉しいよ」と呟いた

 

 

皇子が一番望んでいたことだもんね

 

 

 

 

 

 

<続きます>