mian(希望)60 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

サトシ王の手紙に書かれていることが事実なら

その中の俺は地上に降りた彼をかばい

神が放った矢に当たり

魂が消滅する危機に陥った

つまり、再生不可能な状態だった

彼が全身全霊を掛けその魂を救い

そのまま光に溶けてしまった 

 

互いの気持ちを確かめ合い

二人で暮らす為に地上に降り神さまは

彼(俺)を救って消えてしまった 

一緒に暮らしたのは数日 

どれほどの絶望を味わったのだろう

俺なら耐えられない 

 

その後、俺たちは必ず同じ時代に転生し

同じような別れを繰り返した ・・・

 

それほどまでに愛した相手の記憶を

全て消してしまう理由って何だろう?

 

ー・-・-・-・-・

 

前置きの話が長くて

頭の中の整理が追い付かないかもしれないが

その時代を踏まえていないと

あの方の苦渋の決断は理解できないんだ

 

此処からは私たちの時代の話をさせてもらう

貴方が先生と呼ばれていた頃だよ

 

今までの転生と同じように

9歳差の年齢で同じ時代に転生した二人

その頃の先生は前世の記憶の全てを

憶えていた訳ではない

ただ、同じ魂を分け合った二人だと言う自覚はあった

二人寄り添いながら愛を育み

互いを尊重しながら暮らしていた

二人の周りには沢山の人が集まり

大きな一つの家族を作ってた

本当に幸せだったよ

私もその一員だったからね

その頃の私たちは

未来のこの星の危機を知らなかった

 

知っていたのはあの方ただ一人

 

有る切っ掛けで未来に起こる事を知り

未来のこの星を救うために

あるプロジェクトが立ち上がった

それについてはここに記さない

何故なら、まだ先生にとっても未来だから

 

あの方はこの星の未来を救うために

全ての力を使うことを決めた

全ての力を使ったらどうなるか

先生が一番知ってるよね?

 

あの時、あの方が話してくれた

 

「長い長い時を経て

 神が放った矢に撃ち抜かれた魂が

 漸く再生する ・・・」

 

嬉しそうに笑ってたよ

 

「それはどういう意味?

 嬉しい事なの?」

 

中身も分からず

笑って聞いたことを思い出す

 

「ああ、喜ぶべきことだ

 本来の彼奴に戻り

 私から離れることが出来るんだ ・・・」

 

意外な言葉に絶句して

思わず反論してしまった

 

「魂が再生しても

 先生は貴方と離れることなど

 一ミリも望んでないと思うけど」

 

先生が離れることなど

絶対に望むはずないのに

 

あの方はそれが最善だと思ってた

 

 

「私が光の粒になり消えていくところを

 もう一度見せろと?

 それに ・・・ 魂の再生には ・・・

 最後に前世の記憶全てを消す必要があるんだ

 それをしないと ・・・

 不完全な魂は壊れてしまう ・・・

 最悪 ・・・ 彼奴も消えてしまう」

 

あの時のあの方の苦悩の表情は

今も忘れられない

 

目の前で消えてしまったら

先生は耐えられない

そして先生が消えてしまうことを

あの方は望まない

 

未来のこの星を救いたいと言ったけど 

本当は未来の先生を救いたかったんだ

 

違う方法を考えてと

何度も言ったけど

あの方の決意は固くて

それ以上は何も言えなかった

 

 

あの方が消える少し前

 

O国で暮らしていた先生は

あの方との記憶が全て消え

そして出会わなかった記憶に塗り替えられ

新しい生活を始めた

 

本当にあの方と紅玉の皆の記憶は

すべて消えてた

 

一度だけ先生に聞いてみたんだ

 

「同僚に美術の先生っていた?」

 

「美術の先生? 

 確か講師だったはず

 話したこと ・・・ 無いかな?

 綺麗な顔立ちの線の細い人 ・・・

 名前 ・・・ 思い出せない」

 

苦笑いを浮かべてた

 

あの方の力の凄さを知ったと同時に

悲しくて泣きそうになった ・・・

 

最後の日 ・・・ 

ひっそりと先生に別れを告げに行き

ずっと姿を眺めてた

目に焼き付けるように ・・・

 

「君たちに神の祝福を」

そう言って笑って手を振って

神の庭に入り

あの庭を閉ざしたんだ

 

先生の幸せを考えたら

この手紙を書くべきではないと思った

知らない方が幸せな場合もある

 

だけど ・・・ もし ・・・

 

ぽっかりと空いた穴を埋められず

孤独に苛まれて生きているなら

 

貴方は大きな愛に包まれて生きているのだと

伝えたいと思ったんだ

 

二人の苦悩も見てきた私

全てを知っている私が

唯一出来る事だから ・・・

 

これはエゴなのかもしれない

 

 

どうか ・・・ この手紙が

二人にとって救いになりますように ・・・

 

 

 

                      サトシ・オーノー

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>