君のいない迷路 119 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

森の様な庭を二人で散策したかった

もう一つのやってみたい事を

彼が叶えてくれた

 

庭を散歩した体で話さないといけないけど

下調べはしてるから大丈夫

 

蝉しぐれと

木漏れ日の揺れる道を歩きながら

思わず深呼吸したくなった

 

「森の中の小道って感じだよね

 これが大都会の真ん中にあるのが

 驚きだけど」

 

「確かに都会の中にあるのに

 静寂な森って感じ

 森林浴にはもってこいの場所

 俺の地元なら

 ありふれた光景なんだけど(笑)」

 

辺りを見回しながら

クスクス笑う

 

「確かに地元だと

 見慣れてるかも(笑)

 でも、敢えてその場所に行かないから

 こう言う場所が新鮮に感じるかも」

 

子どもの頃は

神社などの緑の多い場所で

遊ぶことが多かったけど

大人になるとあまり行くこともなくなって

都会に憧れてしまう

 

「それは言える

 家の窓から見える場所かな

 智(さと)の地元は海の方が近いだろ?」

 

「どっちかというと海よりかな

 でも山も近いよ」

 

「俺は海の方が憧れが強いかな」

 

「僕もそうかな ・・・

 偶に海が見たくなる」

 

「じゃあ、来月は海を満喫しよう!」

 

何処に行ってたか

絶対に聞かれると思ったけど

彼はそれには触れずに

他愛のない話を始めてくれた

 

「あのさ ・・・」

 

「うん ・・・」

 

「その小川の所で座って話そう」

 

この庭、小川まである

その近くに休憩できるスペースが有り

ベンチが置いてある

 

ちゃんと話さないといけないと思うから

 

「いいよ」

 

彼の顔が一瞬だけ強張ったような気がした

 

「さっき、起きた時

 智が居なくて焦った ・・・

 スーツケースを見てホッとしたけど ・・・」

 

「16時15分の便で帰る ・・・

 ずっと言わないといけないと思いながら

 皆でいる時間が楽しくて言えなかった」

 

楽しい雰囲気を壊したくない気持ち以上に

帰ることを忘れたかった ・・・

 

「うん、敢えてそれに触れないようにしてたの

 気がついてた ・・・

 俺の方から聞けばよかったんだけど ・・・

 それを言うのが怖かった 

 現実を突きつけられる気がして」

 

言葉にはしていなかったけど

彼の気持ちは肌で感じてた

だから余計に言えなかった

 

でも、言わないと伝わらない ・・・

 

「同じ気持ちだったんだな ・・・」

 

「全員同じ気持ちだよ

 まあ、それぞれの場所に帰っていくけど」

 

「それぞれの場所に帰っていくか ・・・

 今年中には帰国できると思う 

 それで、話したいことは」

 

「うん」

 

彼がまじめな顔で僕の顔を見つめた

 

「何か困った事とか辛い事とか

 悩み事が有ったら教えて

 遠くに居るから心配掛けたくないとか

 思われるのが寂しい ・・・」

 

離れてても繋がってると思ってるのに

僕だけが知らないことが多すぎて

言えない事があるのは知ってるけど

それでも弱音くらいは吐いて欲しい

 

「それについては ・・・

 何も言い返せない ・・・

 迷宮の中で自分を見失ってた」

 

「そう言う時こそ僕じゃないの?」

 

『会いに来た』と伝えたからか

すんなりと言葉が出た

彼は目をまん丸くして驚いた

 

「それは ・・・

 やっぱり見栄と言うか ・・・」

 

「僕に見栄を張ってどうするの?」

 

「それは ・・・ 好きな相手には ・・・

 少しでもカッコよく見せたいと言うか ・・・」

 

「馬鹿なの?」

 

その言葉に彼が「へ?」って言う顔をした

 

「そりゃ話せない事は誰にでもあるから

 全てを話してとは言わない

 でも、心を許してる相手に

 秘密にされたら傷付く ・・・

 どんなに離れてても

 櫻井が困ってたら飛んでくるよ

 それは櫻井も同じなんじゃないの?」

 

「勿論だよ

 なら、智も俺に話してくれる?」

 

「うん 話しただろ

 疎外感を感じてたから

 飛んできたって」

 

「そうだった ・・・」

 

「今日の夕方帰るけど

 羽田まで一緒に来てくれる?」

 

「智が嫌だと言っても行くつもりだったよ」

 

素直になろうと思う

この先、僕たちの道が

交わらないかも知れない

それでも隣を走っていたい

 

「ありがとう

 上まで行って帰ろうか

 そろそろ皆起きてるだろうから」

 

二人で過ごす時間は心地い

多分、池田君が作ってくれたんだと思う

 

 

今はこれが精一杯の気持ち

僕の恋心をもう少し育てないと

ダメみたいだ

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>