君のいない迷路 91 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

僕たちと少しだけ距離を置いた二人

多分、さっきの話をするんだと予測できた

それなら僕たちの会話も聞こえないはず

内田がどこまで知ってるか分からないけど

僕よりは事情を把握してるはず

それとなく聞いてみることにした

 

「なあ、さっきの女性 

 やっぱりあれかな?」

 

はっきりした言葉を使わないけど

何となくニュアンスは伝わるはず

チラッと横顔を見ると

腕組して考えた後

 

「候補の可能性は高いんじゃない」

 

ぼそっと答えた

どうやら伝わってたようだ

 

「旧家って大変なんだな ・・・」

 

「家みたいな小さい会社でも

 親以上に親せきが身を固めろって煩い」

 

「そんな煩いの?

 おばさんが言うのは分かるけど」

 

おばさんはずっと

高里に嫁に来て欲しいと

ラブコールを送ってて

高里が困惑してたと

姉ちゃんから聞いた

 

ある意味

それが上手くいかなかった

理由じゃないかと思う

 

「『親を安心させてやれ』って

 二言目にはそう言われる

 時代遅れだなって思うけど

 それを突っぱねるだけの力もないし 

 ハイハイって笑顔で応えて

 やり過ごすしかないな」

 

勘弁してほしいよって顔をして

大きくため息をついた

 

「内田も苦労してたんだな」

 

「一応な跡取りだから(笑) 

 櫻井の家はもっと凄いと思う

 あれだけの旧家に嫁に入るとなると

 それなりの家柄も必要だろうし」

 

「確かにそれはあるな」

 

家柄か ・・・

それだと僕は全く釣り合わない

って ・・・ 何を考えてるんだか ・・・

 

「智の母ちゃんは言わないの?」

 

「家は親戚が近くに居ないから

 そう言う話は出ないし

 姉ちゃんが結婚して家に入ってるから

 身を固めろとかはないな ・・・

 自由に生きろって言われる」

 

「おばさんらしいな(笑)」

 

「まあ、そうだな」

 

「この前話した時

 結婚なんて全く考えていないって

 言ってたから ・・・

 彼奴の場合は親と言うよりは

 お祖父ちゃんとの戦いかな」

 

どこまで知ってるんだろう ・・・

池田君は実家のことに関しては

殆ど話してくれない

 

「旧家ってどれくらいなの?」

 

「詳しくは知らないけど

 かなりの資産家で

 あの辺りの土地は

 殆ど櫻井家のだって聞いた

 俺の親ですら名前を知ってるんだから

 相当なんじゃないかな」

 

聞けば聞くほど

彼が遠い人に思えてきた

 

「まあ、俺達には関係ないけどな」

 

「確かに関係ないな ・・・」

 

家を捨てることなど出来ないだろうし

僕はそれを望まない ・・・

僕らの未来(さき)にあるのは

交差しない道なのかな ・・・

 

「俺たちと居る時だけは

 そう言う煩わしいことから

 遠ざけてやりたいよな」

 

「ああ、僕もそう思ってるよ」

 

内田が笑みを浮かべて

立ち止まり振り向いた

 

「随分とゆっくりだな」

 

池田君が笑みを浮かべてるけど

彼は少し強張った顔をしてる

内容はさっきの女性の話だと思う

 

 

彼はこの先も

僕にだけは話さないだろう

だから ・・・ 僕も聞かない 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>