取り敢えず打ち破ろうか 232 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

現世の縁をすべて断ち切り出家し

寺に入った翔様

あの場所だけが彼が生きる世界だった

皇子が傍に居ても

命の灯りが消えるその時まで

陽の一族と耀の一族への恨みは

決して消えることは無かったのだろう

まさか生家が乗っ取られたとは

思いもせずに ・・・

この場で真実を聞いても

戸惑って当然だ

ただ ・・・ 親の気持ちが伝わることで

翔様も救われたと思う

 

「翔様、ここに居る前世の者たちは

 即位の儀が始まる頃

 それぞれの中に帰り

 新しい生を生きることになる

 申し訳ないが、長と画伯以外は

 殆ど前世の記憶は残らない」

 

「蒼灯殿、前世の記憶など

 無い方が良いのですよ」

 

皇子の言う通りだ

前世の記憶に縛られる必要はない

自分の与り知らない事で

悩んだり、悲しんだり

憎んだりする必要もないのだから

 

「ああ、その通りだ

 前世の記憶などない方が

 良いに決まっている

 ただな ・・・ せっかくの機会だ

 翔様はご両親とゆっくり話をしたらどうだ

 蟠りは残してはいけない」

 

「それはいい考えだ

 翔、三人とゆっくりと過ごしたらいい

 私もみなと一緒に過ごそうと思う」

 

皇子の言葉が翔様の背中を押し

ご両親、真翔さんと4人で並んで座った

 

「後ほど本家邸にご案内いたします」

 

御前の言葉に4人が頷いた

 

「長、画伯、そして御前

 こちらに来てもらえるか?」

 

蒼灯さんが暁殿の長の間に座る

皇子達の横に来るようと手招きをする

 

「私もですか?」

 

御前が戸惑った顔で尋ねると

可笑しそうに笑いながら頷き

 

「大野本家が守り続けなければ

 今日の日は向かえられなかった

 そう言う意味で、ここに上がる資格は有る」

 

「その通りです

 私たちの願いを聞き入れ

 千年もの間

 蒼穹国帝の血脈を

 お守りくださった

 その功績は長の功績に匹敵すると

 思っております」

 

帝の言葉に御前の瞳が潤んだように見えた

泪を浮かべたのは

御前の中にいる后の弟さんだと思った

 

画伯が御前の背中に手を当て

皇子のいる長の間に移動した

俺は皇子の横に座った

 

「画伯、この前

 即位の儀で足らないものがあると

 言っていたよな」

 

「はい、三種の神器は揃っているのですが

 帝を証明するものがない事に

 気が付きました」

 

「それが何か見当はついてる?」

 

「多分 ・・・ 帝の印」

 

「その通り

 私が帝から預かったのは

 「蒼穹国皇帝御璽」だ」

 

鍵が付いた箱(螺鈿細工が見事なもの)を

帝の前に置き

 

「預かった物はお返しする

 これで、私の役目は終わりだな」

 

やれやれ、やっと終わったと言う表情を浮かべた

 

「蒼灯殿 ・・・ 長きに渡り

 保管くださり

 ありがとう存じます

 この御璽は三種の神器と同じ

 帝の印となる物

 漸く皇子に継承することが出来ます」

 

「これですべて整ったな

 即位の儀が始まるまで

 それぞれゆっくり過ごせばよい」

 

暁の一族にも長の印がある

必要な時以外は金庫に保管されている

何事もその印がなければ無効となる

 

宝物殿にもなかった御璽は

蒼灯さんの手から里に戻ってきた

 

それにしても賢帝と呼ばれた人は

どれだけ凄い人だったんだろう

後で蒼灯さんに聞いてみよう

 

「蒼灯殿の提案に甘えさせていただきます

 父と母に私の弟たちを紹介したいと思います

 智慈殿もご一緒頂けますか?」

 

智慈さんは少し迷いの表情を浮かべたが

真翔さんと頷きあって

 

「ご一緒させていただきます」と笑顔で応えた

 

翔様達は本家の邸に

皇子達は離れに

それぞれ移動していった

 

僅かに残った時間で

ゆっくり過ごして欲しいと思う

 

「蒼灯さん、お疲れさまでした」

 

声を掛けると

 

「ご馳走して貰わないと

 割に合わないな(笑)」

 

大役を終え、安堵の表情でにっこり笑った

 

 

俺達はどうすればいいんだ?

いつまでも暁殿を使っていられないし ・・・

思案しているところに

綾野君と小滝が暁殿に入ってきた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

 

漸くここまで来ました

長かった ・・・

後は即位の儀のみですが

儀式について詳しく書けるかな ・・・

その辺りは曖昧に描かせていただきます

 

yayosato