君のいない迷路 82 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

同じレストランで席が近い可能性もあったが

俺達の席の近くにあの家族の姿はなかった

多分、個室を予約したのだろう

そのお陰で、楽しいランチタイム過ごして

4人でデッキを散策中

 

「櫻井 ・・・ 気を引き締めろよ

 人は歩く生き物

 どこで遭遇するかは分からない」

 

池田が俺の耳元でぼそっと呟く

 

確かにそうだ

600名が乗船できる

大型クルーザーだとしても

会わない保証はない

現にエントランスで会ってるわけだから

 

「分かってる ・・・

 向こうも声掛けはしてこないと思うけど」

 

友人と一緒に来ていると釘を刺したのだから

敢えて声を掛けては来ないだろう

 

「甘いな ・・・

 親族の方が遠慮しない

 友人を紹介しろと言われたら

 どうすんの?」

 

喝を入れるような険しい眼差しで

俺を睨みつけた

 

「それはそうだな

 気を付けるよ」

 

この前の件も相手は遠縁

実家の話をしていない以上

君に不信感を抱かせたくない

 

「あの人かなり近いからな ・・・」

 

『厄介だな』って顔をして

ぼそっと呟いた

 

池田の言葉が的を得すぎてて

正直、ちょっと怖い

 

「櫻井、池田、

 あれが有名なレインボーブリッジ?」

 

遠くに見える橋を指さして満面の笑みを浮かべた

 

確か20年くらい前に大ヒットした映画で

有名になった橋

その後何度かテレビで放送されたから

有名なセリフは憶えてる

 

「かの有名な橋だよ(笑)」

 

伝えると、内田と二人で顔を見合わせて

 

「ほら、そうじゃん!」

 

「もっと派手な橋を想像してたんだよな」

 

可笑しそうに笑ってる

 

「修学旅行でお台場とか行かなかったの?」

 

大概、修学旅行の観光コースに入っているはず

 

「東京は浅草とスカイタワーと

 後は国会議事堂と上野公園

 翌日は日光に行ったから

 お台場は行かなかったんだ」

 

残念そうな顔をした

お台場が世界遺産に勝てなかったのは頷ける

 

「櫻井たちは行ったの?」

 

そう言えば ・・・ 俺達も行ってない(笑)

 

「俺たちは浅草、スカイタワー

 国会議事堂と ・・・ 江戸東京博物館だ

 翌日は鎌倉だった」

 

「大仏見て寺巡りだったな

 って、俺達もお台場は行ってないな(笑)」

 

池田の言葉に4人で大笑い

 

「なかなか機会がないと

 お台場までは行かないな」

 

「櫻井は行ったことあるの?」

 

君からの質問に

どう答えるべきか戸惑ってしまう

それを察したのか池田が

茶化すように質問する

 

「大学一年の櫻井だぞ

 そりゃ、色々なところに

 遊びに行ってるだろう

 人が集まるところに櫻井ありだよな」

 

冗談ぽく言われても

まさにそれが真実

 

「池田の言う通り

 放蕩息子をしてた頃は

 大学にも行かず遊び歩いてた

 お台場も行ったことあるよ」

 

消したい過去だけれど

君にはすべて話してるから

隠さず話すよ

 

「羨ましいなぁ ・・・

 だって、そう言う機会がなければ

 東京をあちこち観光できない」

 

「大野、その時の櫻井は学生な(笑)」

 

「学生の櫻井は最強じゃん!」

 

池田の言葉を逆手に取ったのか

内田が思いっきりフォローしてくれた

 

「あはは ・・・ 確かに最強だ!」

 

君もそれに同調して

声を立てて笑う

 

その時、池田が2人に気が付かれない様に

俺の背中を叩き

二人とは別の方に視線を向けた

 

これだけ騒いでたら

気が付かれるよな ・・・

 

視線の先にはおじさん家族が立ち止まって

俺達の方を見ていた

 

 

 

 

 

<続きます>