取り敢えず打ち破ろうか 228 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

悲劇の皇子の名の通り

どう転んでも逃れられなかった

先視をした賢帝は

自分の先視を呪ったはずだ

 

「どうやって皇子を救えるか ・・・

 晩年の賢帝はその事だけを考え続けた

 様々な対策を講じ

 それでも変わらない先視

 時に無力な自分を呪いながらも

 抗い続けていた ・・・」

 

「蒼灯殿、我が息子が何をしたと言うのでしょう

 そのような悲劇を背負い ・・・

 生きなければいかなかった ・・・

 私たちは何も知らなかった

 幸せに生き延びてくれると信じていました ・・・」

 

帝と后は涙をぼろぼろ溢し続ける

 

「代われるものなら

 私が ・・・」

 

后の声は嗚咽にかき消されてしまう ・・・

 

「理不尽な運命だな ・・・

 賢帝も同じように泣き崩れていたよ

 皇子の持つ力は神の力に近く

 その力が暴走すれば

 全てを滅ぼしてしまう ・・・

 それを回避するには

 心から愛する相手と出会うことだった ・・・」

 

死してなお

千年もの間、力を保ち続けた皇子

その力は持ったまま

生きるのは不可能だった 

 

誰も王子の命を救うことは出来なかった ・・・

 

「皇子 ・・・ 

 お前は全てを知っていた

 違うか?」

 

蒼灯さんが皇子の顔をじっと見つめる

 

「蒼灯殿は全てお見通しなんだな

 物心ついたころから先視が出来ていた

 賢帝が先視をしたように

 私も里の未来を何度も何度も ・・・

 どのような道を辿っても

 最後は私の力が暴走し

 里を中心に辺り一面

 業火に飲み込まれていく ・・・

 私自身がどうなるのかは

 先視は出来ませんでしたが

 想像はつきます」

 

自分の事は先視が出来ない

貴方がそう言ってたのを思い出した

 

「里だけではなく

 陽の一族もだな」

 

「ええ、全てが綺麗に消え失せるのです ・・・

 蒼灯殿は私に色々なことを

 教えてくださいました

 あれは賢帝からの言伝ですね」

 

どうやって耐えたのだろう ・・・

幼き頃から見たくない先視を見続け

俺だったら気がふれてしまう ・・・

 

帝が皇子の肩を抱き

后が皇子の手を握りしめた

悪夢を見続ける子どもを癒すように ・・・

 

「そこまで気が付いていたのか ・・・」

 

「一度だけ ・・・ 

 光の筋が見える先視をしました ・・・

 その中に出てきたのが翔でした 

 私はそれに縋ったのです

 そして ・・・ その光を探しました 

 蒼灯殿はそっと手助けを

 してくださいました」

 

暗闇を歩き続けた皇子の一筋に光は

翔様だったんだ ・・・

 

「そう仕向けたのだろ」

 

蒼灯さんの瞳は優しい色をしている

賢帝から託された皇子

いつしか蒼灯さんにとっても

大事な我が子のような存在になっていたのだろう

 

「そう仕向けました

 この身が滅びるのであれば ・・・

 それまでは普通に

 大切な人と時を紡ぎたい

 いつか私が転生する時

 二人で歩いた道から続く未来に生まれたい

 そう願ったから ・・・

 翔、翔のお父様にお母様

 私が翔の来世への道を閉じました

 どうかお許しください」

 

皇子は翔様のご両親に向き直って

そのままゆっくり頭を下げた

 

「それは私も願ったのだ

 お前がこの地に縛られるのであれば

 一緒に縛られようと ・・・

 共に歩いた道が続く未来に ・・・」

 

翔様が皇子の隣に座り

后とは反対の手を握りしめ

零れ落ちる涙を拭おうとはしなかった

 

「二人の願いは

 千年の時を越え転生を果たし

 同じように出会い共に歩き始めている

 不完全な二人が完全になるには

 お前たち二人が皆に許され祝福を得ること

 二人の両の親は許し祝福をしてくれるか?」

 

どちらの両親も

涙で濡れた瞳をゆっくり閉じ

大きく頷いた後

 

「蒼灯殿、私も后も

 二人の幸せを願う以外ございません」

 

「私共も同じでございます

 息子の幸せを願わない親はおりません

 あの時、私に力があったなら ・・・

 息子を悲しませることはなかった ・・・」

 

翔様のお父さん声は

後悔の色に染まった涙声だった 

 

「翔様、お二人は千年前から

 二人の事を許していたんだよ

 だからこそ あの寺に寄進し続けた

 それは今も続いている

 櫻井家の当主、そうであろう?」

 

蒼灯さんから質問された父は

大きく頷いた後

 

「左様でございます

 櫻井家の真の役割は

 お二人をお守りする事です」

 

父の言葉を聞き

初めて自分の瞳が曇っていたんだと自覚する

 

最初にあの寺を訪れた時の

ご住職の言葉を思い出した

見ようとしなければ

何も気が付けないと 

 

「我が一族を守り続けた

 翔稀の弟真翔(まこと)が

 伝え続けてくれたのでしょう」

 

翔様の名だ

後継ぎだったから太郎翔稀となり

翔兄は側室の子で次郎真翔となる

 

翔兄の横にその彼が姿を現し

小さく頭を下げた

 

「あの者はな

 兄を救えなかったと

 里を追われた二人を弟のように可愛がった」

 

雅紀様がその言葉に頷いて

後ろを振り返り

翔兄に視線を向けた 

 

「私を支えてくれたのは

 大野本家の嫡男であった智慈(さとし)でございます」

 

画伯の横に姿を現したのが智慈さん

 

「彼もまた見極める者であった」

 

だから画伯は全てを知っていたんだ ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

 

 

 

 

 

 

先日の我が家の定番

教えてくださり

ありがとうございました

風邪の時の桃の缶づめ

私も子どもの頃食べました

桃の缶詰の特別感は半端なかった

風邪のアイスクリームは

娘が子どもの頃からですね

はちみつをお湯に溶かして

飲んだりしてます

風邪の時に食べるのは

煮込んだうどん卵入り(柔らかめ)

これも定番です