取り敢えず打ち破ろうか 213 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

流石に3人とも疲れているだろうから

朝食を一緒に取ることは諦め離れに戻った

3人ともそこまで若くないので

横になって休んでもらいたい

 

「長、朝食をお運びいたします」

 

「剛君、一緒に食べてよ」

 

画伯は既に本家邸に行ったようだし

小瀧も大役を終えたばかりで

直ぐに寝たいだろうし

 

「はい、そのつもりでおりました」

 

にこやかに答えてくれたからホッとした

 

ずっと画伯が一緒だったから

一人で食べるのは寂しい

 

「無事に献納の儀が終わり

 ホッとしましたね」

 

朝食をテーブルに並べながら

綾野君も安堵の表情を浮かべた

 

「寒い中、大変だったと思う

 小瀧には褒美をあげないとな(笑)」

 

あの緊張した顔を思い出して

今頃、爆睡してるような気がした

 

「そうですね

 今頃は寝てると思いますよ」

 

「俺もそう思う(笑)」

 

全く同じことを考えてらしく

お互い顔を見合わせて笑う

 

「本家が里に入り

 いよいよですね

 身が引き締まりました」

 

「俺も緊張してきたよ

 画伯からご教授頂いたけれど

 上手くいくのかハラハラドキドキだ」

 

「長なら大丈夫です

 それに ・・・」

 

「それに?」

 

「お一人ではないですから

 皇子がご一緒です」

 

皇子は立太子の儀と即位の儀を

同時に行い

その後に俺の即位の儀が始まる

 

俺の場合、長就任の儀を終えているので

立太子の儀は必要ないらしい

 

「実は皇子も緊張してるよ」

 

常に一緒にいるから

皇子の緊張は伝わってくる

 

「そうなんですか?」

 

「そりゃそうだよ

 皇子だって初めての経験なんだし

 勝手が違うからな」

 

蒼穹国の存在を知らなかった皇子

自分が皇子であることすら知らなかったんだ

立太子だ即位だと言われても戸惑うばかり

それを済ませないと同化できない

だから儀式を受け入れたのだろうから

 

「確かにそうかも知れません

 ですが ・・・ ご両親の前で

 即位の儀が行われるのですから

 皇子も嬉しいでしょうね」

 

「その通りだと思う

 暁殿に並んだ

 帝も妃も感慨深げな顔をしてた」

 

漸く、蒼穹国の新たな帝が誕生するのだから

 

「ええ、とても晴れやかな笑みを

 浮かべておいででした」

 

珍しく饒舌な綾野君

彼もまた感慨深かったのだろうと思う

 

朝食を済ませて

珈琲を口にした時

庭先で音がした

 

「誰か見えたんでしょうか?」

 

綾野君が立ち上がった時

 

「おはようごじゃいます!」

 

さとち君の声が聴こえた

 

慌てて縁側まで行き

さとち君を部屋の中に招き入れた

 

「おはよう 

 一人で来たの?」

 

「ううん、そこまであおちゃんがいっしょだったよ」

 

にこやかに笑って

ソファーにちょこんと腰を下ろした

 

「じゃあ、帰っちゃったの?」

 

まさか遊びに来たとか?

ただ、今日は忙しいから

ゆっくりは遊べない 

 

「ううん、むこうがわでまっててくれちぇるの

 だから、ゆっくりできないの!」

 

「そうなの?

 でも、温かい物は飲める?」

 

満面の笑みを浮かべて

頭を左右に振る

(そこは首を縦に振るんじゃないの?)

 

「おかまいなく 

 あのね、まめやさんからのでんごんなの」

 

「うん」

 

「みこさまとしょうさまと

 おはなちするとき

 おさのごりょうしんさまも

 ごいっしょちてください

 それから、あかつきでんを

 つかわせてほちいそうです」

 

「両親って俺の?」

 

「そうなの

 どうせきちてほしいんだっちぇ

 だいじなだいじなおはなちがあるからっちぇ」

 

大事な話 ・・・ それは皇子たちにとってなんだろうな

 

「分かった、両親に伝えるよ

 それと場所は本家邸ではなく暁殿で?」

 

「そうきゅうでんのつぎに

 ちからがあって

 みんながいっしょにあえるばしょ

 なんだっちぇ」

 

なるほど

皇子のご両親が実体化できる場所だからか ・・・

 

「分かりました ・・・

 そのようにしますと伝えて

 綾野君、そのつもりでいて」

 

「畏まりました」

 

「うん、つたえるね

 さ~て、ゆっくりちてると

 あおちゃんにちかられるので

 これでかえります」

 

今度はソファーから

ひょいっと立ち上がり

満面の笑みでお辞儀をする

 

「もうちょっといいんじゃない?」

 

美味しいお菓子とお茶くらいは 

食べて行って欲しい ・・・

 

「みんないそがちいから

 じゃまちたらだめ!っていわれたの

 このまま、まめやさんにほうこくに

 いっちぇきましゅ!

 また、あそびにくるね」

 

愛くるしい笑顔で言われたら

いつでも来て欲しいと思ってしまう

 

「何時でも遊びに来て!

 待ってるからね」

 

「は~い」

 

ふわふわっと浮き上がって

そのまま部屋の外に飛び出して行く

 

直ぐの後を追いかけたけど

大きな木の幹が

眩い光に包まれた瞬間

さとち君の姿は消えた

 

 

これを伝えるためだけに来てくれたのかと思うと

嬉しい反面、申し訳なくて

今度遊びに来てくれた時は

美味しいお菓子を用意して

最高のおもてなしをしようと思う

 

 

 

 

<続きます>