君のいない迷路 44 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

帰りの電車の中で

池田が躊躇いがちに話を始めた

 

「あのさ ・・・

 昨日 ・・・ 内田とは

 どんな話をした?」

 

 

あまり詮索しない奴が珍しい 

高里の話かな?

憶測で分かったような顔をするのは

間違いのもとと思い

慎重に理由を聞く

 

「どんな話って ・・・

 お前の事について?」

 

「はあ?」って表情をしたので

池田についての話じゃないことに気が付く

(先走らなくて良かった)

 

「俺の事は関係ないだろ

 今回の事、どこまで話をしたのか

 聞いてるの」

 

やれやれって顔で

チラッと俺に視線を向ける

 

「ああ ・・・ そっちか ・・・

 部屋に来てるから

 包み隠さず話したよ

 だから彼奴からもポンコツ認定されたの」

 

玄関のスマートロックに補助錠

それと盗聴防止機器を見てるので

向こうが聞く前に事の顛末は話した

 

「で、大野への口止めはした?」

 

最後の言葉はスルーして

全く意外な質問が帰ってきた

 

「大野には言ってないとだけ伝えた

 それで分かってくれるだろ?」

 

「暗に口止めしたって事だな ・・・」

 

「そうだけど ・・・

 何かあったの?」

 

「う~ん ・・・ 考えすぎかな ・・・」

 

小首をかしげて腕を組んで考えこむ

何か問題でもあったんだろうか?

 

「何が考えすぎなの?」

 

そこまで言ったのなら

全部話すべきだろう

ジロリと睨みつけると

眉間に皺を寄せて

どうしようかと悩んだ顔をする

 

「知ってること全部吐け!」

 

そんな中途半端なところで終わられたら

気になって帰れないだろう 

 

「祖父さんのことが有ったから

 それが済むまでは話さない方が良いと思ってた

 お前を待ってる間に

 大野からラインが来たんだ」

 

「何て?」

 

「お前が大丈夫なのかって」

 

俺の心配でライン?

昨日話した時は何も言ってなかった

内田から何か聞いたのかも?

(そんな様子はなかったけど)

 

「それで、なんて返事したの?」

 

池田の事だから

無駄なことは言ってないと思うけど ・・・

 

「『変わりない、大丈夫だぞ』

 って返したけど

 心配してる様子だったから

 もしかしたら内田が状況を伝えたのかと思って」

 

「内田が帰りの新幹線の中で

 智にラインしたのかもしれないな」

 

だから帰る時間を早めた可能性もある

彼女との約束があるんだろうなと

お気楽に考えてた俺は

やっぱりポンコツだな

内田が一番

友情に厚い男だって事を忘れてた

 

「彼奴もかなり心配してたからな ・・・

 部屋の様子を見たら

 ただごとじゃないって感じて

 大野に話した可能性も否定できない」

 

実家が絡んだ話は

正直知られたくない話したくない

 

「そうかも知れないけど ・・・

 俺からは何も言わない 

 どうやったって

 実家の話を避けては通れない」

 

「お前の気持ちはわかるけど

 隠し通せないだろう」

 

「ずっと隠し通すつもりはない

 しばらく祖父さんは動かないから

 その間に障害になる物は排除する

 それまでは話したくない」

 

「お前の気持ちも分からないではないよ

 でもさ、ずっと隠してたことを

 彼奴が知ったらどう思う?

 水臭いと思うだろ」

 

前にもその話で池田と揉めた

だけど、これだけは譲れない

 

「俺がポンコツなのを

 知られたくないからじゃない

 重荷を背負わせたくないんだ」

 

「それこそカッコつけだろ

 二人で乗り越えてこそじゃねえの」

 

何時になく熱くなってる

いくら池田が言っても

首を縦に振る気はない

 

「カッコつけでもいいよ

 まだ話せない

 どんなことからもあの人を守れる

 それだけの実力が身に付くまでは」

 

あの家の怖さを知ってる

だからこそ、今じゃないんだ ・・・

 

「分かったよ

 今回もお前の言う通りにするよ

 旅行も控えてる事だし

 波風は立てたくない

 今の話はお互い聞かなかったことにする」

 

「電話があっても

 何も言わないで」

 

「はいはい」

 

呆れてはいるけど

納得はしてくれた

 

「悪いな ・・・ 我儘で」

 

「ふっ ・・・ 知ってるよ

 何年付き合ってると思ってんだよ

 予想通りだった」

 

気にするなって顔で笑って

この話は終わった

 

 

 

 

<続きます>