取り敢えず打ち破ろうか 182 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

月見亭に向かう前

蒼ちゃんが現当主に話をして

豆屋さんに智翔の軸と蒼灯の器を託した

 

どんな話をしたのか分からないけれど

どうしてそうしたのか

何となくわかる気がした

 

「あおひしゃんだけが ちってるの」

俺が想像したとおりの言葉を

さとち君が呟いた

 

月見亭で俺たち全員を待っててくれるのは三人

そう言う事なんだと思う

 

「私も招待していただきました

 とても光栄なことです」

 

現当主が嬉しそうに目を細めて

蒼ちゃんの隣に並んだ

 

「ざっかやしゃん、うつわもっちぇきた?」

 

豆屋さんが先に行ってしまったので

さとち君が雑貨屋さんのお相手をする

 

「持ってきたよ

 さとし君は?」

 

「ちゃんともっちぇきたの」

 

でも、さとち君も蒼さんも手ぶらだけど ・・・

何処にあるのかな

大野さんが風呂敷く包みを持ってるから

あれが2人が作った器のようだ

かなり平ぺったいからお皿かも知れない

 

そんな想像をしながら

母屋を出て庭を歩いていく

 

「翔、ドキドキしてきた」

 

珍しく貴方が緊張した顔をする

(緊張するのは俺の十八番なのに)

 

「俺もしてるよ ・・・

 どんな絵なんだろうね ・・・」

 

正直に言えば

直ぐに駆け出していきたい

 

「暁の皆様

 あの軸と器の存在を知っていたのは

 智翔のお二人と翁、和也様

 そして蒼灯様だけのようです

 5人で鑑賞後、すぐに箱に収めたと

 文が添えられておりました

 つまり、ご依頼くださった暁の里の方の前で

 初披露するのが筋だとお考えになったのでしょう

 本日が初披露となります

 その日を迎えられて恐悦至極で存じます」

 

あの5人らしい考え方だ ・・・

この絵も器も暁(蒼穹)の一族への贈り物

 

「ご当主

 本日までお守りくださり

 誠にありがとうございます

 暁改め蒼穹となる里にとって

 至宝の二品となります」

 

その言葉を聞き

この二つはあの三人からの

お祝いの品の様な気がした

 

月見亭まで行くと

豆屋さんが改まった顔で

俺達を迎えてくれる

 

「晴れてお披露目の日となりました

 若ちゃん、上ちゃんも喜んでいると思います

 それではご案内をいたします

 ご当主、長、画伯を先頭に

 続いてお入りください」

 

豆屋さんがいつになく真面目で

ちょっと驚いてしまう

でも ・・・ 二人と一緒にの生きた人だ

その時、3人でお披露目の日の事を

話し合ったのかもしれない

 

国宝と呼ばれる茶室は

四畳半に見える二畳半台目で

かなり狭いものが多い

 

月見亭は茶室にもなる

月を見る庵の為なのか

中は結構広い(8畳くらいはあるかな?)

寝るわけではないから全員が入れる広さだと思う

 

襖の前で豆屋さんが一礼して

 

「私が中から襖を開けさせていただきます

 しばしお待ちください」

 

少しだけ襖を開けて中に入り

その後すぐに、ゆっくり襖があいた

 

「智翔と蒼灯が

 皆様のお越しを

 お持ちしておりました」

 

深々と頭を下げて

 

「どうぞ」と促した

 

床の間に掛けられた智翔の軸と

台に置かれた器 

 

画面一面に花が咲き乱れ

その枝に止まる鳥たち

 

絵に圧倒されて言葉が出てこない

 

そんな中、さとち君が嬉しそう

 

「わかちゃん、じょうちゃん

 あいにきちゃよ!

 きれいなおはな さいちゃね

 へやがもものはなでいっぱいになっちゃよ

 あおひしゃんは はながさいちぇるえだを

 もらったんだね」

 

 

桃の花だったんだ ・・・

桜にしては花びらが違うと思ったけど ・・・

 

 

智翔の軸は

満開の桃の花が描かれ

上の枝には蒼い鳥が二羽

そして地面に近い場所の枝に二羽

雉かな?

 

「まめやさん

 ちたのとりは きんけいだよね

 あおいとりは?」

 

「下の枝に止まってる鳥は錦鶏だよ」

 

「錦鶏って鶏の仲間?」

 

思わず聞いてしまった ・・・

 

「鶏の仲間ではなく雉の仲間」

 

「この錦鶏の色使い ・・・

 頭に黄金色、緋の羽毛に

 緑の鱗、瑠璃の翼 ・・・

 そのまま軸から飛ぼ出だして来そうなほどリアル

 こんな絵が描けるんだ ・・・」

 

興奮気味に話をする

 

「記事は縁起の良い鳥と言われてるからね

 それから上の鳥は

 ルリビタキだ、スズメの仲間になる

 どんな鳥にするか、ずっと悩んでた

 白鳩、鸚鵡、なかなか決まらなかった

 お祝いの軸だと言う事で

 縁起の良い鳥を選んだんだ

 春にお披露目だと聞いていたから

 花は桃が良いだろうと

 鳥が色鮮やかだから桃の花は白に近い薄紅にしたんだ」

 

豆屋さんをそれを傍で見てたんだな ・・・

相当、時間が掛かっているはず

 

「桃の木は不老長寿を司り

 災厄や病魔を寄せ付けない

 邪気払いの力を持つと言われ 

 昔から縁起の良い木として重宝されていたよ」

 

現当主の言葉で

若ちゃん達の想いを知る

 

そして蒼灯の器は ・・・

桃の花が描かれてる

 

「見事としか言えない ・・・

 こんな素敵なものを ・・・

 ありがとうございます」

 

貴方が目に涙をいっぱい浮かべて

何度もお礼を言った

 

 

若ちゃん達に会いたくなってしまう

 

 

 

 

 

 

<続きます>

 

智翔の絵を何にするか

凄く悩みました

 

参考にさせていただいたのは

伊藤若冲の

「桃花小禽図」「雪中錦鶏図」「白梅錦鶏図」です

 

錦鶏は直ぐに決まったのですが

ルリビタキにするかは悩みました

白鳩、鸚鵡、雀、目白、エナガなど

悩みに悩んで蒼い鳥ルリビタキにしました

 

中々難しいですね

絵心が全くない私ですので

上手く表現できずに伝わったかな?

 

読んでくださり

ありがとうございました

 

 

 

 

yayosato