取り敢えず打ち破ろうか 168 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

珈琲を淹れながら

興味深そうに視線を向ける直人さん

 

「うん、江戸で作った器です」

 

風呂敷を解きながら

出てきた箱に視線が集中

 

「夫婦茶碗を作ったんだ」

 

箱書きを見て直人さんが意外だって顔をする

 

実は夫婦茶碗ではない ・・・

 

「これはカフェオレボウル

 当時はその名前を知らなかったから

 一番近い器を箱書きに記したんだよ」

 

豆屋さんが直ぐに訂正してくれた

確かにあの時「カフェオレボウル」と言ったけど

ピンとこなかったのか

何処かに書くこともしていなかった

そりゃそうだ ・・・ 珈琲がないんだから

 

「なるほど、確かに江戸の時代に

 カフェオレボウルはないですものね」

 

「豆屋を始めてから

 これは珈琲を淹れる器だと気が付いた

 骨董だから」

 

「開けますね」

 

その言葉を聞きながら蓋を取る

一つずつ袱紗に包まれた器が

並んで入っていた

(夫婦茶碗だ)

 

袱紗から器を取り出すと

見事なカフェオレボウル

 

「すご~い きれいだね」

 

さとち君が目をまん丸くして

拍手をしてくれた

 

陶芸って簡単に出来る物ではなく

短い滞在時間では仕上げまで出来なかった

若ちゃんにお願いして

完成図を描いてもらい

器の色と字の色を指定した

 

「独特の表情ですよね ・・・

 これは粉引ですか?」

 

「薄い蒼の粉引だよ

 この色が出るか心配だったけど

 焼き上がりは完璧だったよ」

 

「おさしゃんのが うすいあおで

 さくちゃんのが うすいさくらいろなの」

 

「ペアのカフェオレボウルだ

 夫婦茶碗と変わらないね」

 

言われてみたらその通り

 

「丼の器にもなりそうですから

 蒼灯さんは間違ってなかったって事です」

 

二つ並べてみると

凄く良い(自画自賛)

 

「形が歪でも味になってるな ・・・

 カフェオレボウル ・・・

 家も使ってみようかな ・・・」

 

「良いんじゃない

 カンテラで使うのも」

 

「そうだな、探してみるよ

 どうぞ、珈琲です

 さとし君はレモネードで

 アップルパイ持ってくるね」

 

その場を離れて厨房に移動した

 

「いただきま~す」

 

湯気が出たレモネードを飲もうとして

豆屋さんに

「火傷しないように気を付けて」

心配されるさとち君

 

「うん、ふ~ふ~ちてのむね!」

 

ニコニコ顔でふ~ふ~する

滅茶苦茶可愛い

 

並んだカフェオレボウルを眺めながら

 

「確かにお届けしましたよ」

 

ホッとした表情を浮かべた豆屋さん

 

「確かに受け取りました

 俺が作ったのに

 骨董品になってて

 ちょっと感動してます

 いろいろありがとうございました」

 

「どういたしまして

 次はチビちゃんの皿だよ」

 

「は~い」

 

「さとし君のお皿も見れるんですか?」

 

花びらの形の小皿

5枚揃うと花になる

さとち君らしいお皿

これも若ちゃんが完成図を描いていた

 

「お披露目したいって言うから

 一緒に持ってきたよ」

 

そっと桐の箱をさとち君の前に置いた

 

「ちびちゃんの瞳の色で仕上げたよ」

 

期待度Maxで瞳を輝かせながら

桐の箱からお皿を取り出して

嬉しそうに笑う

 

「おねがいちたいろになっちぇる

 おさらにも はな ・・・」

 

5枚とも花の色が違う

それが見事に調和しているから驚きだ

 

「これは名品だな」

 

アップルパイを持ってきた直人さんが

感心した表情を浮かべた

 

俺のよりも出来がいい(笑)

さとち君は器用だからな ・・・

 

 

そう言えば、雑貨屋さんと

若ちゃん、上ちゃんの器はどうなったのかな?

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>