取り敢えず打ち破ろうか 163 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

博物館事務室に入って行くと

既に潤が来ていた

 

「おはようございます」

 

あらあら珍しい(笑)

雪でも降るんじゃないか

 

「おはよう

 大学に戻ったと思ってた」

 

新年の儀の後、

大学の試験がある為、実家に戻っていたはず ・・・

 

「ええ、今日帰ります

 その前に径君に挨拶をと思って」

 

「まあ、ご丁寧に(笑)」

 

思わず笑ってしまった

 

「笑わなくても

 俺も色々考えたの」

 

どうやら決めたことが有るのだろう

唇を噛んで恥ずかしそうに俯いた

俺様も成長したようだ

その隣に、殊勝な顔で座る和也

ん? ・・・ どうした?

 

後から入ってきた相葉君が苦笑いを浮かべて

少し離れた位置に座った

 

「話があるんだろ?」

 

「うん、径君じゃなくて長に」

和也はラフに

「ここを暁殿にしても宜しいでしょうか?」

潤は畏まった言い回しをする

 

「小瀧!入ってきて」

 

一応、体裁は整えた方が良いな

 

廊下にいる小瀧に声を掛けると

すぐに返事が聴こえ中に入ってきた

(お世話係は常に傍に居る)

 

「はい、何でしょうか?」

 

「ここを暁殿とする」

 

「畏まりました」

 

これで長として話が出来る

 

「松本、二宮次期当主からの目通り

 長の許しが出ましたので

 どうぞお話しください」

 

いつもならそのまま聞くのだけど

二人からの申し出である以上

堅苦しい前置きが必要だと判断した

 

「堅苦しい挨拶は要らない

 本題から入っていいよ」

 

「お言葉に甘えて

 堅苦しい挨拶はせずに

 本題に入ります

 私、松本は本日より大学に戻り

 春休みに入り次第

 里に戻ります」

 

「ああ、しっかり勉学に励むように」

 

これって報告の義務があるのか?

本題はこれじゃないよな ・・・

 

「今後の進路についてお話させていただきます」

 

「ああ、聞かせてくれ」

 

「今年の9月より留学をしたいと思っています」

 

「留学か」

 

「はい、見聞を広め

 里に貢献する為にも留学が必要だと思いました」

 

「行先は決めているんだな?」

 

「はい、留学先はアメリカです

 卒業後は、蒼穹の一族企業に就職し

 里の外から一族に貢献したいと思っています

 そうなれば筆頭家として

 里の運営がままならなくなると存じますので

 筆頭長老家を退き

 東の家にお返しいたします」

 

思わず『え?』っと発してしまった

まがりなりにも筆頭家だ

此奴はそのプライドで立っていたと思ってたが ・・・

 

「それはお前の一存か?」

 

「いいえ、父と話し合い

 その結論に達しました

 即位の儀の後、現当主よりご報告いたしますが

 その前に長に直接お伝えしたいと思い

 このような形にさせていただきました」

 

真っすぐに俺を見る瞳に迷いはない

 

いずれ一族企業を引っ張っていく男だ

片田舎の里に燻っている訳には行かない

語学も必要だからな

 

「そう決めたのであれば

 長として全力で支援する」

 

「ありがとうございます

 長、里の外に居ても

 長を支えるつもりだし

 事あるごとに戻りますので

 ご心配なく」

 

「そうそう戻らなくていいよ(笑)」

 

「それは冷たい」

 

拗ねたような顔をして苦笑する

この短期間で考えたのだろう

それでも前を向いた夢だ

 

「一つずつステップアップしていけばいい

 焦るなよ!」

 

「焦らないよ

 自分の道を切り開くのは自分だから

 長を見ててそう思えたんだ」

 

随分喧嘩もしたし対立もした

 

ずっと里に縛られていたのは

此奴だったのかもしれないな

 

「分かった」

 

「私からは以上です」

 

すっきりとした顔をして

次はお前だよと

和也の肩を叩いた

 

 

 

 

 

<続きます>