雪うさぎ (珈琲屋と雑貨屋) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

体が軽くなった気がして

目を開けたら

見たことのない天井が飛び込んできた

 

へ? ・・・ ここは何処だ?

 

豆屋さんとマスターが

俺の部屋に来て

マンションの裏に露地門

そこを潜り抜けた夢をみた

随分リアルな夢だと思ってたんだけど 

寝てても迷子になるってあるの?

 

もしかしたらこれも夢とか?

 

ゆっくり起き上がっては

部屋の中を見回すが

まったく記憶にない部屋

家具も調度品も年代物に見える

(アンテークだと思う)

 

やっぱ夢だよ ・・・

熱があるから ・・・

 

そう言い聞かせながらも

自分で自分の頬を抓ってみた

痛みを感じるから夢じゃない!

 

「ここはどこ~!」

 

思わず叫んでた ・・・

すると、ドアが開き

 

「雑貨屋、起きたか」

 

見慣れた豆屋さんが入ってきた

 

「へ? ・・・ ここって豆屋さん?」

 

豆屋にこんな部屋が有ったっけ?

 

「お前ねえ、動けないくらい具合が悪かったら

 電話ぐらいしろって

 一晩我慢するから酷くなったの 

 体温計、サイドテーブルに置いてあるだろ

 すぐに測る!

 測り終わったら、骨董屋特製の花茶を飲む」

 

そう言って、サイドテーブルに

湯気が出ているカップを置いた

 

「あの ・・・ どうして分かったんですか?」

 

「チビちゃんが教えに来てくれた

 『ざっかやさんが たいへんなの~』って」

 

「さとち君がですか?」

 

「ああ、お前の部屋の前の街路樹が

 知らせてくれたらしい」

 

「はあ ・・・ そうなんですか?」

 

間の抜けた返事をした直ぐ後に

体温計の電子音が部屋中に響いた

 

「ほら、見せる」

 

「はい ・・・」

 

手に持つと

自分で見る前に豆屋さんに取り上げられた

 

「だいぶ下がったな ・・・

 と言っても

 安静にしないといけないレベルだな ・・・」

 

「まめやしゃ~ん

 ざっかやしゃん だいじょうぶ?

 はいっちゃだめ?」

 

廊下からさとち君に声が聴こえた

 

「ちびちゃん、今日は無理かなぁ ・・・

 骨董屋を呼んできてくれる?」

 

「ざっかやしゃ~ん、ゆっくりやすんでね

 まめやしゃん これをどこかにおいちぇ!」

 

「さとしくん ありがとう!」

 

声が聴こえたかな ・・・

 

「おだいじに~」

 

「雑貨屋、その花茶飲んでて」

 

そう言った後

廊下に出ていく豆屋さん

 

智君と話す声が聴こえて

直ぐに戻ってきた

豆屋さんの手には

皿に載った雪うさぎ

 

「お見舞いだって」

 

「雪うさぎ ・・・ 雪降ったんですか?」

 

「今は止んだよ

 月が出てる

 お前が起きるまでいるって言って

 これは外に置いてあったんだ」

 

「迷惑かけちゃいました ・・・」

 

「ば~か こういう時に頼らないで

 いつ頼るんだ

 ったく、何のための携帯なんだ!」

 

ここまで叱られるとは思ってなかった ・・・

 

「寝てれば治ると思って ・・・」

 

「治んないよ! 

 腹は空いた?」

 

「そこまで空いていないけど ・・・

 空いてるのかも? ・・・」

 

「粥か鍋焼きうどん

 どっちがいい?」

 

「ああ ・・・ うどんかな ・・・」

 

「軟らかく煮たうどんにするな」

 

コンコン

 

「は~い」

 

「入るぞ!」

 

骨董屋さんが中に入ってきた

 

「熱はまだあるな」

 

体温計を見せると

骨董屋さんはそれを見た後

 

「あるな ・・・ 

 また上がる可能性もある

 渡した薬を食後に飲ませて

 熱が上がったら

 熱さましの薬を飲ませてやって

 明日の昼には下がるだろ」

 

骨董屋さんってお医者さん?

怪訝な顔をしてると

豆屋さんがこっちを向いて

 

「骨董屋は薬師だよ

 だから安心していい」

 

「薬師?」

 

「その花茶も体力回復の効果があるから

 残さず飲むように!

 信用できないなら医者に行ってくれ」

 

「信用してます!

 ありがとうございました」

 

豆屋さんが信頼してるんだから

疑う余地はない

 

「飲んだら、寝る!

 うどん作ってきてやるから」

 

そう言って

二人が部屋を出て行った

 

 

サイドテーブルの雪うさぎが

にっこり笑った気がした

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>