耀の一族にとって分家はなくてはならない
本家に男子が生まれなければ
一族は絶えてしまう
これは陽の一族と同じで
男系男子に限っているからだ
それでも分家はあくまで繋ぎ
本家筋に男子が生まれれば
その男子が次の当主に就く
（昔は幼いうちに代替わりをさせたそうだ）
分家との婚姻だけは認めていない
陽の一族の血統を守りたかったのだろう
そのお陰で分家は
橘の血統を守ることが出来たのだから
成り立ちを知っている俺からしたら
喜ばしい限りだ ・・・
分家の当主は2代まで
その間に本家筋が女系のみの場合は
陽の一族の男子が養子に入る
「おじさん、サクが当主にならなければ
本家の男子を養子にするの？」
次代の当主は本家にいる
翔兄もそこが気になっていたらしい
「養子にする必要はないようだ
まだ成人はしていないが直系の男子
そのまま当主に就くのは可能なようだ
既に本家はそのために動いている
そもそも、あの家は本家のもの
対外的に当主が住むことになっているから
分家からの当主でも、住む必要があっただけ
あのような大きな家は、私には必要ない ・・・」
「もう動いてる？」
「当主になる気がないと思っていた
当主の息子が突然家に舞い戻った
それはそれは慌てたのだろう」
耀の一族の当主の肩書は
本家のステータス
慌てて策を練り始めた
それを傍から見ていた父は
可笑しくてしょうがなかったのだろう
くすっと笑って、カップに手を伸ばす
「おじさんも驚いたわけだ
サクが当主になると言って」
「そもそも君と同じで
一族を嫌っていた息子が
『当主になって暁との関係を改善する』
そう言った時は仰け反りそうになったよ ・・・
そもそも耀の一族は
暁とは対の関係にない
耀が謝罪したところで
暁にとっては何の意味もないのだ
暁が望むのは陽の一族からの謝罪
それに ・・・ 耀は ・・・
暁にも仕えているのだから ・・・」
対の一族のパイプ役を担っている
敵対していない以上
二つの一族に仕える一族 ・・・
どうにも出来ない苛立ちではなく
諦めのほうが大きいのか
父は表情を変えず
淡々と事実を述べていく
「サクは ・・・ 思い立ったら突っ走るから ・・・」
翔兄には言われたくない
同じくらい猪突猛進なんだから ・・・
「橘の一族として暁の長に謝罪したい
その気持はよく分かる
私でもそう思うのだから ・・・
だが、それは出来ない
橘の一族は公には存在していない」
「分家でも耀の一族だから？」
「その通りだ ・・・
本家が栄えれば分家も栄える
その逆もしかりだよ ・・・」
先代の当主が事業に失敗して
一族が傾きかけたのは聞いたことがある
その時、父が当主に就き立て直したと
母から聞いたことがある
「おじさんは ・・・ 会社を大きくしてきました
その手腕には脱帽します ・・・
それは ・・・分家のために働いたんですよね？」
翔兄の方が俺よりも
正義感が強いのだろう
どうしても本家を受け入れられない ・・・
父は苦笑いを浮かべて
小さく頭を振った後
翔兄の瞳を見つめて
「君は勘違いをしている
耀は本家と分家で成り立っている
千年前の出来事に憤りを感じるのは当然だが
その後の千年の一族の歴史はどうする？
なかったことには出来ないのだよ」
成り立ちがどうであれ
耀という一族は存在し
脈々と受け継がれてきた
例え、それが二つの一族の集合体でもだ ・・・
「そうですが ・・・」
長い道のりを歩いてきた父の言葉に
俺たち二人は反論すら出来なかった ・・・
「難しく考えすぎだよ
二人が耀から離れることは
何も問題はない
このどしようもない一族から離脱すれば良い」
「親父 ・・・ それなら
一族の当主を男系のみにしなければ
良いんじゃないの？
本家に生まれたものは誰でも当主に就ける
時代の流れで行けば
当たり前のこと」
それが変われば
分家からの一代当主（繋ぎ）は必要ない
「確かに ・・・ その方法があったか ・・・」
父はそう言って考え込んだ ・・・
分家の離脱が無理なら
分家からの当主を出さないようすれば良い ・・・
「それはそれで ・・・
かなり難しいですよね ・・・」
同じように考え込んでた翔兄がボソッと呟いた
＜続きます＞
PCを新調したのですが
初期設定で躓いてしまい
未だオンボロPCです
指示通り入力したのですが
間違いですやり直してと
何度も出て ・・・
いまのより薄くて一回り小さいのにしたら
有線LANもつかない ・・・
ケーブルかってこないと
マウスも役立たず新調しないと
設定の最初で躓くって
初期設定を頼むと
結構お金がかかるのよね