キミの夢を見ていたい(扉の向こうにある未来)100 〈訂正〉 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

机に向かって調べものをしている翔先生

邪魔しないようにベッドの上で寝転がって

窓の外を眺めながら月を見ていた

少しだけ欠けている月 ・・・ あと少しで満月かな

 

「欠けた月の美しさか ・・・」

独り言ちしながら扉のノックを待った

 

コンコン ・・・ コンコン ・・・

 

「大ちゃん ・・・ お話があるんだけど ・・・」

 

ちびちゃんの緊張した声

どうやら答えに辿り着いたようだ

 

「はい、ちょっと待って」

大きく返事をして

「廊下で話すから、調べものしてて」

 

小さい声で翔先生に断りをいれた

(教師は自宅でもやることが多い)

 

「その必要はないよ

 もう終わったから」

翔先生がにっこり笑って頷く

 

「わかった」

 

そのままドアまで行って開ける

 

「どうぞ、入って」

 

「翔先生忙しくない?」

 

ちびちゃんが気遣ったように訊ねる

 

「気を使わなくていいよ入って」

 

「だって、お仕事は終わったみたいだよ」

 

そう言われて、ホッとした表情をして中に入ってくる

 

「あのね ・・・ 答えが分かったの ・・・

 だから、伝えに来た ・・・」

 

翔先生がさっきまで座っていた椅子を差し出して

そこに座るように促す

ちびちゃんは『ありがとう』って頭をぺこりと下げて

椅子に腰掛けた

(やっぱり緊張してるみたいだ)

 

「答えを聞かせて貰おうかな」

 

大ちゃんは丸椅子をちびちゃんの前において

視線を合わせるように座った

 

「神の庭に続く道は ・・・

 紅玉側の爺ちゃんの洋館の庭

 そこにある桜の木 ・・・」

 

少し自信無さげな顔をして

上目遣いで確認する

 

「松岡邸の庭の桜の木?」

 

「うん ・・・ ヒントのお菓子は

 ハロウィンの日のお菓子 ・・・ 

 懐かしい人は蒼ちゃんが爺ちゃんと慕う松岡の爺ちゃん

 あの日 ・・・ 大ちゃんが言ったんだ

 あの桜の木を憶えておいてって ・・・」

 

ゆっくりと皆で辿り着いた答えを話していく

 

「よく思い出したね ・・・ 正解だよ

 神の庭に繋がってる道はあの桜 ・・・

 あれは蒼が生れた頃

 蒼のお父さんがエルフの国にある桜を

 マザーの森に植えたんだ」

 

「蒼の森の桜なの?」

 

「ああ、蒼の森の桜の種を王宮の庭で育て

 それを、そのままマザーの森に移した」

 

「じゃあ、どうしてあの庭にあるの?」

 

「マザーの森で種を飛ばし育ったものを

 松岡の爺さんが植樹したんだ

 蒼を守る為に連れてこられた桜

 爺さんはそんな事知りもしないけど」

 

「じゃあ、あの森には沢山の桜があるの?

 そこからでも行けるの?」

 

「種を飛ばしたけど育ったのは僅か ・・・

 その桜も残ってはいないが ・・・ 」

 

蒼の為に持ってこられた桜

蒼の行く所で命を繋ぐ

 

「そうなんだ ・・・ 

 あの桜は神の庭に有った桜なんだね」

 

「そうだよ ・・・ やっと迎えに行けるな」

 

嬉しいはずなのに

笑みを浮かべるどころか

かなり神妙な顔で頷くさとし

 

「嬉しくないの?」

 

少し戸惑った笑みを浮かべて頭を左右に振る

 

「嬉しいよ ・・・ やっと始まりの5人が揃う ・・・

 自分の事のように嬉しいよ ・・・

 さとしは僕に言ったんだ

 5人揃ったら楽園(エルフの国)に戻るって

 大ちゃん、5人が戻ったら ・・・

 僕たちはどうなるの?」

 

其々の花の核が花に戻って行ったら

僕たちはただの妖精になるのだろうか?

そうなったら、何かが変わるのだろうか?

 

お兄ちゃんは ・・・ 妖精にはなれないのだろうか?

疑問が頭の中で増殖して

不安な気持ちが溢れて来た

 

「どうもならないよ

 ちびちゃんは蒼の妖精のまま

 3人も同じだよ、緑の黄の紫の妖精だ

 お兄ちゃんに関しては、お兄ちゃんに聞かないといけないが

 緋の妖精は元の姿に戻る ・・・

 そして彼等の意識だけが楽園に帰る」

 

「意識だけが帰る?」

 

どういう意味?

難しくてよく分らない

さとしが首を傾げて怪訝な顔をする

 

「元々、彼等には実体はない

 だから、花の核を持つことは出来ない

 それぞれの花の核はちびちゃん達の中に残ったままだよ」

 

「じゃあ、変わらないって事?」

 

「変わらないよ

 ちびちゃん達は今を生きているんだ

 彼等の記憶や意識は必要ないだろ?」

 

「さとしもそう言ってた

 僕は僕の今を生きなさいって

 何者にも捉われない今を ・・・」

 

ようやく笑顔が戻ってきたさとし

 

「明日、神の庭に連れて行ってください

 僕たちもおにいちゃんも

 それから蒼ちゃんたちも

 一緒に行きます」

 

「分かったよ

 それじゃあ、今日は早く休みなさい

 目の下にくまを作って、お兄ちゃんに逢いたくないだろ?」

 

「うん ・・・ 笑顔で会うって約束したから」

 

「じゃあ、おやすみなさい」

 

「はい、おやすみなさい」

 

さとしは椅子から飛び降りて

翔先生にもお休みの挨拶をして部屋を出て行った

優しい眼差しで見送る大ちゃん

その眼差しの中に切なげな色が見えた

 

「う~ん ・・・ 大ちゃん ・・・

 何か隠してるでしょ?」

 

二人の会話を聞いていて

どうも歯切れが悪い気がした翔先生が

大ちゃんの前に座る

 

「後で ・・・ 蒼と話す ・・・

 あの子がどの道を選択するのか ・・・

 それによって、進むべき道が変わってしまう」

 

「どういう意味?」

 

「あの子は妖精 ・・・

 妖精は清浄な気の中でしか生きていけない

 この世界で暮らせるのは

 蒼の店だからなんだ ・・・

 あそこは楽園と同じ気で満ちてる ・・・

 もし ・・・ 人になることを選んだら ・・・

 あの子の中の花の核は消え

 妖精よりも儚い存在になりかねない」

 

「大ちゃん! ・・・ それは可哀想すぎる ・・・

 やっと再会出来て ・・・ やっとお互いを ・・・

 何とかできないの?」

 

翔先生が泣きそうな顔で大ちゃんの腕を掴んだ

 

「リラの蜜がどこまで役に立つか ・・・

 蒼と相談しないと ・・・」

 

「神の庭の場所を簡単に教えなかったのは

 どうするか決めかねてたから?」

 

「それもあるが ・・・」

 

もし、人として生きていくと選択したら

全ての記憶は消える ・・・

妖精だった記憶を有したまま人にはなれない

お兄ちゃんとの記憶も消える ・・・

それはお兄ちゃんも同じ ・・・

 

 

 

 

 

<続きます>

 

 

 

すみません

このお話が100話目でした

99話飛んでました訂正します

申し訳ないです、ごめんなさい

 

やっと逢えることになったのに ・・・

さとちとお兄ちゃんはどの道を選択するのか

まだ終われそうにないのかも ・・・

 

 

昨日のお話に

お祝コメント

ありがとうございましたm(__)m

 

99話、100話 読んでくださり

ありがとうございます

 

 

 

yayosato