キミの夢を見ていたい(扉の向こうにある未来)69 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

公園から戻ると大ちゃんがお茶を淹れて待っててくれた

 

「そろそろ戻る頃だと思って」

 

「大ちゃん凄いでしょ?

 もう帰って来るからって言うの」

 

多分、公園の樹々達が教えたんだろう

俺には聴こえなかったから

思念が伝わってるのかも知れない

 

「何でも見通しだから(笑)

 緋~ちゃんと話せたよ

 あの森の中には入れたって ・・・

 エルフの国の入口まで行けるかは ・・・」

 

「入れない ・・・ アーチの木までだ

 そこからはエルフの国 ・・・ 楽園だから ・・・

 蒼が命がけで掛けた結界

 そうそう破れることはない」

 

「緋~ちゃん一人なら入れる?」

 

エルフの国に続く道だけど

あの道を抜けて戻ったエルフはいたのか?

サトシは戻っていない

フィーは? ・・・ フィーは戻ったんだろうか?

それ以外のエルフがあの道を抜けたとは聞いていない

あの城門は開かずの扉だったはず ・・・

鍵は俺が持ってる ・・・ あれがなければ誰も入れない?

 

「緋はエルフだけどあの扉は開かない ・・・

 蒼のエルフだけが通れる扉 ・・・

 だからセリーは戻れなかった」

 

「フィーも同じ結界を張ってたの?」

 

「当然、人が入り込めない様に ・・・

 フィーの結界は ・・・ 誰にも破れない

 蒼でも無理だよ ・・・ あれの力は蒼の数十倍 ・・・

 始まりのエルフだからな ・・・」

 

大ちゃんが辛そうな表情を浮かべた

 

「その力が災いしたって事?」

 

「フィーが楽園を出たら ・・・ 

 楽園は崩壊した ・・・

 地上に降りた楽園を安定させるには

 相当な時間が必要だった

 それにはフィーの力が必然だった」

 

「セリーはそれを知らなかったって事?」

 

「知らなかったのか ・・・ 知っていてなのか ・・・

 翔先生はどう思う?」

 

「どうかなあ ・・・ もしかして知っていたかも ・・・

 せりーはフィーを解放したかったんじゃない?

 その重責から ・・・

 例え楽園が人の世界と同化しても良いと思ったのかも ・・・」

 

そんな事になったら ・・・

今、この世界もないかも知れない ・・・

フィーが追いかけられなかった理由は明白

 

「人の世界と同化したら ・・・

 とんでもない事が起こる ・・・」

 

「巨大な力は悲劇を生む ・・・

 セリーにはフィーが背負っているものが

 よく分かってなかった ・・・

 そこから生まれた悲劇なんだ

 あの時のフィーの判断は間違っていない」

 

「間違ってはいないけど

 一人に背負わせるには重すぎた ・・・

 セリーには耐えられなかった ・・・」

 

翔先生は ・・・ 大ちゃんの孤独を知ってるからだ ・・・

原初の神の苦悩を ・・・

 

「フィーは原初の神そのもの

 蒼の森から生まれたエルフ ・・・

 楽園に残った原初の神の理念を受け継いだんだ」

 

あの方は戻るつもりだった ・・・

決して人になれないと分かっていたから ・・・

 

「おちびちゃんは ・・・ 

 始まりの妖精の悲しみに囚われてる可能性が高い

 蒼 ・・・ 思い出させてあげて

 見ているのは過去だと ・・・

 おちびちゃんが生きる世界は

 お兄ちゃんのいる世界だと ・・・」

 

「チビの手を握って ・・・

 始まりの二人の想いを受け取るつもりです

 俺達が笑って無ければ

 あの二人も笑ってはくれないから」

 

「蒼ちゃん、大ちゃんが作った蒼の花のお茶を飲んで

 ちびちゃんのいる蒼の森に飛んであげて」

 

正真正銘の蒼の森に咲く蒼の花から作ったお茶

俺には作れない代物 

 

「持って行ってもいい?」

 

チビに飲ませてやりたい

 

「持って行けるの?」

 

翔先生が半信半疑の顔で大ちゃんに確認する

 

「持っているって想いだけで

 向こうに持って行ける

 想像の世界だから ・・・ 

 ちびちゃんにも飲ませてあげて」

 

「そう言う事か

 それなら、持って行って飲ませてあげて」

 

「大ちゃん、緋~ちゃんたちが辿るセリーの記憶と

 俺がチビと辿るフィーの記憶

 多分、同じ時を見ると思ってる

 それで合ってる?」

 

「同じ時を歩く ・・・ 蒼と緋は対なんだ

 離れた場所であっても ・・・ 同じ時を ・・・

 4人で話せるかどうかは行ってみないと」

 

大ちゃんの顔が柔らかい表情をしてる

つまりは話せるって事だ ・・・

この人には敵わない 

 

「お茶、淹れ直さなきゃいけないな」

 

大ちゃんが席を立ってキッチンに向かう

 

「ずっと、心を痛めてきたんだ

 何もしてあげられなかったって ・・・

 ちびちゃんはいちばん幼いでしょ

 だから、尚更だと思う

 君たち全員があの人の子どもなんだ

 分かりにくい優しさだけど助けてくれるから

 安心していいと思うよ」

 

あの方が愛した人の魂を持つ翔先生が

柔らかい笑みを浮かべて大ちゃんの後ろ姿を見つめた

 

「分かりにくくなんてないです ・・・

 あの人の愛が俺達を支えてるから ・・・」

 

「そう、そう言って貰えると嬉しいかな

 何か有ったら大声で呼べばいいよ

 何故かあの人には分かるらしいから」

 

「そのつもりです

 翔先生、大ちゃんの事お願いします」

 

「もちろん、俺の大切な大切な人だからね」

 

翔先生の笑顔が大ちゃんを支えてる

緋~ちゃんの笑顔が俺を支えてるように

 

お兄ちゃん、どうかチビを支えてあげて

 

 

 

 

 

<続きます>