Wish you were here 184 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

恋とはいつの間にか堕ちている ・・・

俺もそうだった、何度上田に言われても

恋ではないと言い張ってた

自覚するのに時間が掛かる恋も有る

気が付いた時

あの人の相手が俺であって欲しい

それだけを願う毎日

 

文芸誌の連載は初めてで

正直、今までの仕事とは勝手が違う

付け焼き刃、その場凌ぎの話を書いていたら

すぐさま、打ち切られてしまう世界

恋愛小説をという話だったが

俺に書けるとは思えない

(本物の恋をしていないんだから無理な話)

あの人がいつも言ってる

身の丈に合ったもの ・・・

今の自分の想いを正直に描けたらと思う

 

現代なのか過去なのか分からない時間軸に

迷い込んだ主人公

そこで出会った人々との交流

その中で本来の自分を取り戻していく

何処にでもあるような話だけど

目の前に広がっていた景色(モノクロに近い)が

彩り豊かな景色に変わって行く様

その感動を伝えれたら、それだけでいい

 

ずっと書き進めていた話を編集者に見せたらOKが出た 

 

連載は春からになりそうだが

打ち切られたとしても書き上げたいと思ってる

 

あの人に訊ねられて

直ぐに答えられなかったのは

前半部分を知られるのを躊躇ったから

 

俺はどうしようもない鼻持ちならない男だった

今でも抜けきれない部分は有る

それは否定できないが

周りの人が修正してくれる

聞く耳を持てたのは、あの人のお蔭

 

上田が言っていた言葉は事実

俺は丸くなったんだと思う

 

男はカッコつけなきゃいけない時はある

あるが、いざという時だけで良い

見せかけだけの張りぼてな人間にはなりたくない

それを教えてくれたのも、あの人なんだ

 

「珈琲、お待たせしました」

 

レトロカフェの丸山君が

湯気を立てたコーヒーを運んできた

 

「ありがとう」

 

「櫻井さんって柔らかくなりましたね」

 

しみじみとした口調で呟く

 

「柔らかくなった?」

 

「ええ、最初に見えた時は

 何だ此奴!って思いましたから(笑)」

 

「それは悪い意味でだよね」

 

丸山君がバツの悪そうな顔で頭を掻いて笑う

 

「ええ、悪い意味にきまってるでしょ

 無茶苦茶、感じ悪かった

 店内を見渡した時の顔(笑)

 胡散臭い店って顔してた」

 

そんな想いはなかったんだけど

確かに古臭い店だとは思った

思ったけど ・・・ そこまでの嫌悪感はなかったはず

 

「そんな顔してた?」

 

「してましたよ

 珈琲運んでもこっちを見ないし

 外ばっか見てて ・・・

 今思うと ・・・ ふふ ・・・ まあ仕方がないですが(笑)」

 

丸山君がクスクス笑い始める

 

「穴があったら入りたいくらいのレベルだな」

 

「でも ・・・ 大ちゃんは本質を見抜いていたんだと思う

 最初から良い人だって言ってた ・・・

 人は見かけじゃないって

 俺達、大ちゃんの言う事は信頼してるから」

 

「温かい人ですもんね ・・・

 いつも誰かの事を気遣ってる

 そう言う人に出逢えるのって奇跡だと思います」

 

丸山君が自分事の様に嬉しそうな顔をして笑う

 

「あまり話が上手な人じゃないけど ・・・

 発する言葉は温かいから 

 出逢った人は皆が好きになるんです」

 

丸山君の表情を見てると

貴方がどれだけ仲間から信頼され

好かれているのかが分かる

 

「それは分かります

 俺も、最初に会った時から

 素敵な人だと思いましたから」

 

「一目惚れって言う奴ですよね(笑)

 あ ・・・ 師匠が来た ・・・

 亀とシゲも一緒だ ・・・ 侑李は遅れてくるのかな?

 珈琲の準備をしますね」

 

貴方の誕生日会の打ち合わせをこの店でおこなう

 

当日、商店街は定休日ではない

仕事が終わってからの食事会になる(師匠宅)

4人とも当日は夕方で仕事を上るらしい

師匠は午後から店番をして夕方には店を閉める

貴方は午後から工房に入る予定

 

「櫻井君、待たせて済まなかったね」

 

「いいえ、俺も今来たところです」

 

「店には寄った?」

 

「お昼に寄りました

 その後、図書館に行きましたので」

 

「新しい連載が決まったんでしょ?」

 

古本屋の彼が訊ねる

 

「ええ、小説の連載は初めてなので

 勝手が違いますね

 毎日悪戦苦闘しています」

 

「羨ましいなあ ・・・ 僕もそんな言葉を言いたい」

 

「シゲ、地道に頑張るんだよ

 すぐに道は開けないんだから」

 

「確かにそうです、肝に銘じます

 僕も櫻井さんに続けるように頑張ろう」

 

「貴方の方が小説家じゃないですか

 続くのは俺の方です」

 

彼は小説を数冊出している

瑞々しい文章が俺にはない若さを感じた

 

「滅相もない ・・・ 自費出版ですよ(笑)」

 

彼が苦笑いを浮かべて手をヒラヒラさせた

 

「亀、デビューする日は決まった?」

 

古本屋の彼の隣に座った彼に向かって訊ねる師匠 

 

「ええ、決まりました

 円盤と配信の両方になりました

 インディーズなので枚数は知れていますが

 手売りで頑張ろうと思ってます」

 

凄い話になってる

彼奴なんで言わなかった?

 

「日にちが決まったんですね?

 上田、何も言ってなかったけど」

 

「それが ・・・ インディーズデビューは決まってたんですが

 日にちは急に決まりました

 来年になるかもって思ってたのが12月です」

 

話しをしながら腕に着けたバングルを弄る亀ちゃん

 

「そのバングル ・・・ もしかして大野さんの?」

 

バングルにしては細身だけど

かなりカッコイイ ・・・

 

「ええ ・・・ これを買ってすぐに決まったから

 幸運のバングルだと思ってます」

 

師匠が俺の隣でニヤリと笑う

 

「そりゃ ・・・ 選ばれた男だから

 櫻井君もそう思うよな?」

 

「選ばれた男ですか?」

 

前に座っている2人がキョトンとした顔をする

 

「そうですね、可愛い妖精君にも(笑)」

 

「妖精?神様?」

 

尚も困惑する二人

 

「ああ、正真正銘の神様だよ(笑)」

 

あの人が神さまなのかどうかは分からない

分からないけど ・・・ そう思える

 

「夏フェスの時、SATOSHIの前に歌った方々です」

 

「ああ ・・・ 納得 ・・・

 神様と妖精君だ ・・・」

 

二人がようやく納得できたって顔をする

 

「お待たせしました、珈琲です

 打ち合わせは進んでる?」

 

丸山君に聞かれて3人とも俯いた

(全く進んでいない打ち合わせ) 

そこは最年長、師匠が何食わぬ顔をして

 

「進んでるぞ

 料理はレトロカフェのマスターに頼むことにした」

 

その話、聞いていないけど

決まったらしい(笑)

 

 

二人きりのBIRTHDAYパーティーは後に取っておく

今年は貴方が大好きな

そして貴方を大好きな人たちで

お祝したいと思う

 

 

 

 

<続きます>