取りあえず奇蹟を起こそうか 4 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

着替えを済ませてソファーに座る

 

「着替え、終わったよ」

 

声を掛けると

綾野君が部屋に入ってきた

 

「大野さん、退院前に診察があります」

 

「へ?さっきは帰れるって」

 

「ええ、屋敷に戻る旨を伝えました

 ただ、退院前にもう一度診るそうです」

 

「なんで?」

 

「何でって ・・・ さっきまで寝込んでたんですよ

 体力も落ちてます

 帰っていいのかの判断は先生しか出来ません」

 

どこも悪くないのは分かってる

多分、頭を使い過ぎたんだ

所謂、知恵熱(子どもが出すものだけど)

あんなに考えたことなかったから

それと、現実の世界に戻りたくなかった拒否反応

 

「さっき、熱を計った時は平熱だっただろ ・・・

 それは、剛君も見たじゃん」

 

「長、ここは先生に太鼓判を押して頂きましょう

 勝手に帰ったら、先生が屋敷まで追いかけてきて

 数日、屋敷に詰める事になります

 それでも宜しいですか?」

 

そこで『長』って呼ばなくても ・・・

 

 

それは嫌だな ・・・

休みたくても休めない 

 

「わかった ・・・ それが済んだら帰れるんだよね」

 

念を押すと、呆れた顔をして笑う

 

「今、世話が焼けるって思ったよね?」

 

「ふふ ・・・ 思ってはいませんよ

 それに、お世話をするのが私の仕事です

 ただ 可愛い方だなって思って」

 

可愛いって ・・・ おっさん捉まえて ・・・

 

「おっさんだぞ ・・・ 可愛い訳ないだろ」

 

「いいえ、翔さんがあんなに慌てるのが分かります」

 

「そうだ ・・・ まず、離れに電話を引きたいけど

 どうすればいい?」

 

「電話ですか?」

 

「ああ、屋敷には固定電話があるだろ

 なら、離れにも引けるはず」

綾野君が難色を示したような顔をした

 

「誰の許可がいる?長老家か?」

 

「屋敷の設備については

 長老家の許可を頂かないといけません」

 

「何でもかんでも長老家だな ・・・

 なあ、どうして松本家の坊ちゃんはあんな身なりをしてる」

 

「身なりですか?」

綾野君が怪訝な顔をして訊ねる

 

「ああ、翔と同じくらいのハイブランドに身を固めてた

 まあ、和也もだけど ・・・

 筆頭家の息子だけ格が違う ・・・」

 

「それは ・・・ 翔さんと同じだと思ってください

 一族を束ねてる家ですから ・・・」

 

「ふ~ん ・・・ 一流企業(財閥)の社長の息子って事?」

 

「ちょっと違います ・・・ 

 上場企業の会社とかではありません

 株式を公開している訳でもないですから ・・・

 暁の一族が経営してる会社です」

 

正直、里のことは詳しくない

松本家が何をしてるのかさえ知らない

 

「松本家の主な仕事は長の仕事の管理

 長への相談料は ・・・

 長が想像する金額を遥かに超えてるよ ・・・

 桁が違う ・・・ なんせ国家の先読みだから ・・・

 顧客は国であり、この国を支える企業だよ

 長老家はその会社経営に携わってるから

 かなりのセレブではあるけどね

 あの家は特別だよ ・・・」

 

いつの間に入って来てたのか

二宮君が忌々しそうに呟いた

 

「長の相談料は全て街の収入になってるんじゃないの?」

 

「勿論、そうなっています

 この町の公共施設、福利厚生は充実しています」

 

綾野君が取り繕う様に答える

 

「どの市町村にも負けない福利厚生だよ

 税収はかなりあるからね ・・・

 だけど ・・・ 長の資産管理は松本家

 遠い昔からね ・・・ 長には一銭も入らないのに ・・・

 だって、自由に使えないんだから」

 

「和也君、憶測でものを言ってはいけません

 松本家が資産の管理をしてるいますが

 それは適切にされています

 長の生活費、儀式に掛かる費用

 屋敷の維持費に人件費など」

 

あれだけデカい屋敷の維持費は相当だと思うが ・・・

 

「本当かなあ?

 長を閉じ込めておく理由って

 その辺りにあるんじないの?」

 

和也は不満げに呟く

 

積年の恨みでもあるのか?

考えたらあるよな ・・・

ずっと頭が上がらない家なんだから

 

「なるほどね ・・・ 

 長老家も一枚岩じゃないって事だ ・・・」

 

若き長の末裔と言うだけで

頂点に立ってる家 ・・・ 風当たりも強い

 

「大野さん ・・・ 真実を見極める目を持つのも

 長の仕事です」

 

人の話を鵜呑みにするなって話だな

 

「それは分かってる

 和也の言うことが全て真実だとも思ってない

 ただ ・・・ 淀んでるだろ?」

 

「淀んでる?」

2人が不思議な顔をする

 

「ああ ・・・ 時計の針は止まったまま

 ここはいつの時代だ?

 家の格だとか ・・・ あの長が望んだ里じゃない

 そんな里なら、壊してしまえって言われそうだよ」

 

俺が描く里で良いと言った

身分の差がない国など

今の時代は有り得ない

それは分かってる

 

「空気を入れ替えるんだよ

 新しい風を入れるんだ

 長が誰かは秘密で良い

 だけど、閉じ込められるのは御免

 松本家に後ろめたい事が有るのなら

 調べる必要があるだろ?

 それは松本家だけじゃない

 5長老家すべてだよ」

 

 

「長ならそう言うと思ってた

 だから、俺はどんな協力もする」

 

誰かが扉をノックする

 

「ヤバい、和也隠れろ

 先生の診察だ」

 

小さい声で言うと

慌てた顔でトイレに向かった

 

「少しお待ちください」

綾野君が冷静な声で応える

  

「俺はベッドに横になってたほうがいいの?」

 

「ええ、そうしてください」

 

しかし ・・・電話引く話でこうだ

先が思いやられるけど

 

 

長は飾りじゃない

先ずは長から変えていく

 

 

 

 

 

 

 

<続きます>