取りあえず歩き出そうか 27 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

そろそろだと思うんだ

過去への旅に出かけたお前が

悲劇の概要に辿り着くのは ・・・

 

過去に囚われるなと言っても

多分、凹むことは間違いない

 

想いを繋げた相手を目の前で失う悲しみを

脳内で再現するのだから

 

ほんのちょっとした綻びから始まった悲劇

 

雅紀の勾玉を見たのが

里に迷い込んだ都人だった事が

事を大きくしていく

 

長の優しさだったのか

里を捨てた弟の身を案じ

特別な勾玉を与えた

それを見た殿上人は

雅紀を里の出だと疑い始める

 

勾玉が最後の最後まで尾を引く

長が身に着ける勾玉は蒼い勾玉

 

帝からの勅命は失敗に終わる

そこで、次の手が打たれる

雅紀の出自について疑いを掛けられる

捕らえられそうになる

翔は雅紀の疑いを晴らすために

捜索隊に同行させると申し出る

 

知らなかったんだ ・・・ 智が里の長だとは ・・・

 

和也は事の重大さに気が付き

雅紀に里に戻るように諭すが

聞き入れなかった

 

里を捨ててまで追いかけてきた相手

その上、命を助けてくれたのだから離れないだろう

 

 

長と翔、二人がどこで出逢い

想いを繋げたのかが分からない

確かに愛し合ってた

そうでなければ心を失くす悲しみを身に纏わない

 

桜吹雪と共に散った長 ・・・

 

翔の取り乱し方は尋常ではなく

都中に響き渡るほどの慟哭が聴こえた

櫻井家の者が、翔をその場から連れ去り

屋敷に閉じ込めた

雅紀は自責の念から自らの命を絶とうとする

それを止めたのが俊介

俊介は長から託された文を見せ

それを読んだ雅紀は生涯

心を失った翔の側で仕えたとある

 

長は4人への文を携えて都に向かった

 

雅紀には翔を守るようにとでも書いたのだろうか?

 

潤への文には、里の者を守るように

和也には、里に縛られことなく生きていくようにと

認められていた

 

和也は里に戻ることを選び、潤を支えたとある

長は特別な場所で永い眠りについた

 

身に着けていたはずの

長の勾玉だけが行方不明になり

探し出すことが出来なかった

 

松本家の日記には記されていたが

二宮家の日記には記されていない ・・・

 

長の印である、特別な蒼い勾玉 ・・・

一体どこに行った?

 

帝が喉から手が出るほど欲しがった勾玉

だが、帝が手に入れたとは書かれていない ・・・

 

「智様 ・・・ ぼんやり考え事をしていると

 怪我をしますよ」

 

綾野君がやんわりと注意をする

 

「和也の家にはもう一つ日記がある」

 

「どうしてそう思われるんですか?」

 

チョコレートを刻みながら怪訝な顔で訊ねる

 

「雅紀達は2人が恋に落ちていた事を知らない

 だけど、協力者がいなければ

 文の交換は出来ないだろう?」

 

「確かにそうですね ・・・

 二人の接点は二宮家 ・・・」

 

綾野君が考え込んだ

 

「だから、記されていないんだ

 長の印が行方知らずになった事

 和也は知っていたんじゃない?」

 

「和也が持ち去ったって事ですか?」

 

長を連れ帰ったのは二人 

長を抱きしめて泣きくれた

里は火が消えた様に悲しみに沈んだ

 

 

和也が ・・・ 誰かに渡した? ・・・

誰に? ・・・ 長が愛した相手 ・・・ 翔だ ・・・ 

 

「 ・・・ 長からの文に答えがある ・・・

 和也に宛てた文が有るはずだよ

 もしかしたら二宮の家には ・・・ 

 翔からの文も残っているかもしれない

 長は翔の前だけは智になれた ・・・

 その協力者が和也

 今みたいにそうそう逢う事も叶わなかった

 だから文の交換をした ・・・

 長は ・・・ 翔の前でだけ智に戻れたんだ ・・・」

 

「和也君の家にですか?」

 

信じられないって顔をする

 

「長は覚悟を決めて都に来たはず

 自分が居なくなった後の事を考えた」

 

和也に処分するように頼んだはず

 

「そうかも知れませんね

 和也君は全てを知っているのでしょうか?」

 

「知ってるはずだよ ・・・ 

 それは二宮家にとっては隠すべき事

 相葉家と並ぶほどの罪になる ・・・」

 

「そうだとすると、厄介ですね

 見せて頂けないかもしれません」

 

「糸口は相葉家 ・・・

 これを彼奴に渡す時、

 文のコピーを貰って来てくれないか」

 

「文のコピーですか?」

 

「ああ、あの家には有る

 長からの文が ・・・

 翔に連絡をする際

 白文のコピーが欲しいと伝えてくれ

 それでわかるはずだから」

 

「畏まりました ・・・

 ですが ・・・ 早く作らないと間に合いませんよ」

 

綾野君が苦笑いを浮かべた

 

 

幸せを願ったはずなんだ

泣き暮らさないようにと

それでも、失った悲しみは

想像を遥かに超えて

彼は心を失くした

愛する人の幻を追い続けながら ・・・

 

 

 

 

 

<続きます>