取りあえず歩き出そうか 26 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

陽が昇る前に目が覚める

寒いけど窓を開けて空を見上げる

暁 ・・・ 日の出前の仄暗い時刻

暗い蒼の空にちりばめられた星が瞬いて

その美しさに息を飲む

 

貴方がこの時間に起きて

同じ空を見てる気がするんだ

 

「おはよう、星が綺麗だよ」

ラインを入れる ・・・ 

リアルタイムで会話が出来なくても

応えてくれるから

その言葉で前を向ける

 

朝食を取った後は机に積まれた文献と睨めっこ

全てを知らなければ貴方には逢えない

 

 

雅紀の容態が安定し

起き上れるまで回復した頃

翔が二宮家に見舞いに訪れる

雅紀は大層悦び、回復が早くなったと書かれている

 

どう見ても兄ちゃんの看病のお蔭だろ

思わず突っ込みを入れた

 

翔が訪れた日、智はどこにいた?

「智様が里に帰った」という一文は

その2日後の日記に書いてある

 

朝早くに都を立った智

雅紀は玄関まで、俊介は都の外れまで見送った

「俊介、雅紀の事を頼んだよ

 あれは直ぐに無理をする

 私もそうそう都に出ては来れないからな」

そう言って、万病に効く丸薬を渡された

 

こんな出来た兄ちゃんているか?

だから『長』なんだ

 

それから ・・・ 1年は何事もなく過ぎていく

ん? ・・・ 和也の様子がおかしいと書かれている

 

最近の和也は気に病むことがあるのか

浮かない顔をしている事が多い

 

何故だ?何が有る?

 

雅紀も俊介も深く詮索することは無かった

 

里に関する事なのかもしれない

それは我等には関係のない事ゆえ

深く詮索はしない(これが答え)

 

弟が病に伏したと聞くと飛んでくる兄ちゃんだぞ

その兄ちゃんがいる里に関する事が

関係ない事?

 

「どうして関係ないと思ったんだろう?」

 

雅紀君が俺が読んでいる場所を覗き込んだ

 

「それは ・・・ 里を捨てた以上

 関わりを持ってはいけないからだと思います

 雅紀は誰が長かを知っていました

 櫻井の家で働く以上、無関係を貫き通す必要があった」

 

「雅紀から里に繋がっては困るという事だね

 和也は相当なポーカーフェイスだったって事だ

 翔がまんまと騙されているんだから」

 

「そうでなければ ・・・ 里の者が都に住み

 陰陽寮に出仕できません」

 

陰陽寮の方枝は貴族でなくても出仕できた

殿上人になることはないから ・・・

 

 

年が明けた寒い日の朝

櫻井家は帝から勅命を受ける

 

「幻の都を探し出し

 里を束ねる者を捉えて都に連れてくること」

 

櫻井家は血筋は帝に繋がるが

かなり末席の殿上人 ・・・

その家に勅命が下る事は有り得ない ・・・

 

この勅命を果たすことで

右近衛府少将である翔の参議への道が開く

 

「雅紀君、どうしてこんな無茶な勅命が下りたの?

 血筋だけの貴族なのに ・・・ 普通は有り得ない」

 

「雅紀の素性がバレたからです ・・・」

 

「へ? ・・・ そんな事書いてあった?」

 

「書いてありません ・・・ 俊介は知らなかったようです」

 

「じゃあどこに書いてあるの?」

 

「二宮家の文献です ・・・」

 

「二宮家の文献?」

 

「はい、聞いた話ですが

 雅紀が身に着けていたお守りです

 長から頂いた緑の勾玉を殿上人に見られ

 和也まで疑いの目を向けられたと ・・・

 和也はどこかで拾ったのでしょうと

 取り合わなかったと ・・・」

 

「特別なお守りだったの?」

 

「都には存在しない物だから ・・・

 ただ、 似たものは有ったようです ・・・

 そこからが悲劇の始まります ・・・」

 

俊介の日記にも櫻井家が躍起になって

幻の都を探し始めた様子が記されている

 

「翔は ・・・ 翔は討伐に向かったのか?」

 

「はい ・・・ 智と出逢っていたとしても

 智が里の長だとは知らなかったようです

 武功を上げて ・・・ 

 迎えに行きたい人がいると書かれていますので」

 

本当だ ・・・ 

 

それを聞いた日

雅紀の元気がなかったと ・・・

 

 

「雅紀は知っていたの?

 長と翔の恋を?」

 

「知らなかったと思います 

 そうでなければ、助けを求めない」

 

「助けを求めた?」

 

「はい ・・・ 翔の討伐は成功しません

 辿り着けるはずがないんです

 幾重にも防衛線が引かれてます

 それに万が一辿り着いたとしても、もぬけの殻です

 里は移動します、里は人が宝なんです

 全てを捨てて、別の場所に移動する」

 

移動することで里を守っていた

でも、一からの里作りは無理だろ

 

「もしかして、里は複数あったって事?」

 

「気が付かれましたか ・・・

 そうです、何か所か有りました

 里に危機が迫った場合

 若い男と女子供が、先に移動したそうです

 子孫を残す為には必要な事ですから

 長は ・・・ 最後に移動する事になっていました」

 

「長が一番じゃないの?」

 

「長は世襲制ではなかった

 それは今も変わらないはずです

 力を持たなければ長にはなれませんから ・・・」

 

つまり、長の家に権力を持たせない為だ

 

 

「何が起こったのか

 ここから始まるんだね」

 

「はい ・・・ ただ ・・・ あくまでも俊介の家の日記です

 僕の家、翔さんの家、二宮、松本の家

 其々の書物を読まない限り

 全体像は見えてこないと思います」

 

「それは分かってる

 だけど、起こった事は分かる ・・・

 覚悟して読むよ」

 

「そうですね ・・・ それを読み終えた上で

 次は相葉の家の日記をお見せいたします」

 

 

読み終わった時

俺は立ってられるんだろうか?

 

 

智君 ・・・ 貴方の声が聴きたくなった

 

「翔、過去に囚われたらいけない

 あくまでも過去の事なんだ」

 

貴方の言葉を思い出してた

 

 

 

 

<続きます>