取りあえず始めようか 37 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

一緒に住んでるからと言って

全てを包み隠さず話すなんて

無理な事だって分かってる

そんな事、俺だって望んでない

だけど ・・・ 二人の間に有る事は話すべきだろ

俺の心が狭いのか?

 

何の為の話し合いだったんだろう

折れそうになる心を必死に奮い立たせて

何度も自分に言い聞かせてた

 

俺達は大丈夫!

離れてても繋がってる

俺が揺れたらお前が揺れる 

一緒に乗り越えてるから弱音は吐かない

そう思ってた ・・・

 

なのに ・・・ お前はそこに居なかったの?

どうしても一緒に居る方法を探すなら

どうして一緒に探して欲しいって言わなかった

そうしたら ・・・ お前を応援できたのに ・・・

 

それが悔しいんだ ・・・

 

 

小さな公園のベンチに腰を下ろして

ぼんやり空を見あげた

花を落とした桜に若葉が茂り

風が葉を揺らせて、サワサワと音を立てる

その音を聴きながら目を瞑った

 

心が凪いでくれるまで

頭を空っぽにして ・・・ 

 

 

「大野さん? ・・・ 大野さんでしょ」

 

不意に声を掛けられて慌てて目を開けて

声のする方を見ると

綾野君が柔らか笑みを浮かべて立ってた

 

「あ ・・・ 綾野君 ・・・」

 

「こんにちは ・・・ 隣座っていいですか?」

 

「どうぞ ・・・ って公共のベンチだから」

 

彼はふんわりとした表情で空を見上げて

 

「こんないいお天気の日は

 ぼんやり空を眺めるのも良いですね」

そう言って空を見上げた

 

テンポが似てるのかな ・・・

彼の回りだけ時間がゆっくり流れてるみたいな気がする

何も言わずに、ただじっと空を眺めてる

お互い邪魔することなく

風に揺れる葉擦れの音を目を瞑って聞いてた 

 

少しずつ心が凪いでいく ・・・

 

「空の色って ・・・ 描こうとすると結構難しいんだ

 春の空、夏の空、秋の空、冬の空

 季節によって微妙に違う

 1日の空の色も全然違うだろ?」

 

空を見上げてた彼がゆっくり視線を俺に向けて

 

「そう言われればそうですね

 時間によって色が変わる ・・・

 滅多に空を見上げることってないから

 中々気が付きません

 ああ、大野さんは絵を描かれるからだ ・・・

 少しは落ち着きましたか?」

 

そう言って微笑んだ

 

「え? ・・・ バレバレだな  ・・・ 恥かしい ・・

 俺は不器用だから ・・・

 時々、頭の中を整理しないとな ・・・

 整理しないで話すと ・・・ 後悔する」

 

お前の事傷付けたかもしれないな

あんな顔させたかった訳じゃないのに

お前は俺を喜ばせたかったんだよな ・・・

 

「後悔ですか?」

 

「ああ、感情に任せて言葉を吐くと

 その言葉は二度と口には戻らんだろ」

 

「ふふ ・・・ 大野さんらしい ・・・

 でも、偶には良いんじゃないですか

 思った事を言葉にしても

 我慢も必要ですが、程々にしないと苦しくなります

 さっきの難しい顔、あの時と同じだったから」

 

そう言えばあの時もカッコ悪いところ見せたっけ ・・・

 

「そこまで酷くはなかったと思うけど(笑)

 ただ、言葉って難しい ・・・ って思って

 空の色と一緒だよ ・・・ その場その場で微妙に色が違う

 伝えたい事の半分も伝えられない ・・・」

 

話して貰えなかった事が、どれだけ淋しかった

その気持ちをどう伝えれば良かった?

 

「伝わってると思いますよ

 眼は口ほどに物を言うって諺通りに

 僕ね、大野さんはそのままで良いと思います」

 

「そのままで良い?それはダメだろ ・・・

 俺は未熟だぞ ・・・ 心も狭いし ・・・ 口も悪い

 どこもいい所はない」

 

唯一良い所は翔君を愛してるって事かな

 

彼はクスクス笑って

 

「自分の事一番分かってないのが大野さんですね

 貴方の存在だけでホッとする人もいます

 言葉遣いが悪くても、貴方の言葉は人を不快にはしない

 何故なら、人を見下したり、嘲ったり、悪意ある言葉を言わないから」

 

「買い被り過ぎだよ

 俺だって意地悪な事言うぞ ・・・」

 

「そこに愛が入ってればいいんです」

 

「愛ね ・・・ 入ってるかな? ・・・」

 

「入ってますよ、安心してください

 もうすぐですね、引っ越し」

 

綾野君の部屋を借りるんだけど

その事を知ってるのは黙って置くことにした

 

「週末に引越し ・・・ 荷造りも終わった ・・・

 そう言えば、見つかったの?」

何がですかってキョトンとした顔をする

 

「関西に、森のcafe作るんじゃなかったの?」

 

「ええ、町家cafeにしました」

 

「町家cafe?」

 

「ええ、京都の古い町家を借りてcafeにしました

 庭があるので緑はあります

 良かったら遊びに来てください」

 

「誰かに任せるの店?」

 

「ええ、体は二つありませんから

 誰かに任せることになります

 ただ、開店までの準備と軌道に乗るまでの間は

 京都と、東京を行ったり来たりです

 町屋の二階はプライベートスペースにしたので暮らせるんです」

 

京都に来るって事だよな ・・・

また、翔君の機嫌が悪くなる 

って、もうお前の選択を受け入れてるじゃん(笑)

 

「へえ ・・・ すげぇな ・・・ 

 また高級cafeなんだろ?

 俺が入れるcafeじゃねぇな」

 

彼は悲しそうな顔で

 

「そんな事言わないで来てください

 今度は象ですから ・・・」

そう言ってクスクス笑う

 

「象?」

 

「ええ、とても美味しいコーヒーですよ」

 

「象か ・・・ 考えとく ・・・

 なんかいつも助けられるな ・・・

 そうだな、偶には思ったことを素直に話す

 喧嘩になっても、蟠りはなくなるもんな

 ありがとう ・・・ そろそろ帰るよ」

 

「どういたしまして

 楽しい時間を過ごせました

 引っ越し前にコーヒー飲みに来てく出さいね

 渡したい物もあるので」

 

「ああ、寄らせて貰うな」

 

きっと今頃、泣きそうな顔して待ってるな

一緒に住む前に、もう一回話しておかないとな

 

ベンチから立ち上がって大きく伸びをした

 

「じゃあまた」

 

綾野君も立ち上がって同じように伸びをして

 

「ええ、じゃあまた」

そう言って、公園の出口に向かって歩いて行った

 

 

そう言えば、彼は何してたんだ?

聞くの忘れてた(笑)

 

さて、翔君を迎えに行こう

膝付き合わせて、ゆっくり話そうな

 

 

 

 

<続きます>