Carry on 25 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

破壊の神を討つために作られた矢
地上の人間を貫けば
魂ごと消えてしまう

消えていく細胞を、一つ一つ修復して
君の痛みを俺に移していく
死なせはしない … 出逢った頃の君に ・・・
俺の命を懸けて、君を元の姿に戻す

 

 

 

遠くから君の名を呼ぶ声


「ショー …」


マサキと彼が駆け寄って来て
ぐったりとしているショーに、触れようとする

 

彼を見上げて頭を左右に振って


「まだ ・・・ 触らないで ・・・」
って、小さく呟く

 

まだ ・・・ まだ終わってないから

「何があったの? ・・・ 

 ショーが真っ白なんだ 
 マー、ショーは生きてるんだよね?」


取り乱す彼をマサキがしっかり抱き抱えた


マサキには解らない
マサキの神の欠片に語りかける

『マサキ ・・・ もう少しだけ時間を 

 ショーは必ず助ける
 だから、彼と一緒に家で待ってて』

 

マサキの中の一粒の神の欠片が俺に答える

『サトシ … わかった』

マサキは彼を抱き寄せて


「ショーは疲れて倒れただけだよ
 今、この人が助けてくれてるんだ
 ショーが帰って来た時、

 休めるように準備しないといけないだろ
 家で待っていよう」


彼に向かって、優しく話しかける

 

「ホントに?」

「俺が嘘をついたことある?」

半信半疑の彼が、黙ったまま頷いた

「ううん ・・・ ない ・・・ マーは嘘付かないから

 それに、この人なら助けられる
 だって、ショーが待ってた人だから
 僕、知ってたんだ
 毎朝夕、ショーが会ってたのはこの人
 きっと特別な相手なんだ ・・・ だから信じる」

そう言って、マサキの胸に顔を埋めた

マサキは彼を抱き抱えたまま
家に戻って行った

ジュンは俺が天上に放った力が
地上に降りかからないように
持てる力全てを放出して
大きな傘をさした


「サトシが愛した地上を守るから」
ジュンは俺の近くに、ずっと佇んでた

天上の熱風は地上には降りかからない
だけど、俺が降らせ続けてる泪の雨を
凌ぐ傘にはなるだろう

ただひたすら君が負った傷を
俺に移し続けた
全てを移して、元に戻すのに数日掛かった

 


君が胸に受けた傷は綺麗にふさがったけど
傷跡だけは消えなかった

シミ一つない白い肌に残った

紅い菱形の傷跡

 

その跡だけは二人で分かち合い

俺の胸に、同じ菱形の傷跡を刻み付けた



「ショー …  聞こえる?」

唇を塞いで命を吹き込んでいく

「一緒に暮らすんだよ
 もう大丈夫だから、目を開けて」

何度も唇を合わせて、俺の命を分けていく

「サトシ、矢の持つ力を自分に移して
 その上、彼を元に戻したら …
 サトシの命が消えてしまう」

ジュンが悲痛な声で叫ぶ

「何の罪もない彼が犠牲になる必要はない

 必ず助ける ・・・ 全ては俺の罪 

 ミデンが放った矢は、元々、俺を狙ったもの
 俺の命が消えたとて誰も困らない
 俺は彼の中で生きて行く」

原初の神を葬る矢なら 

それを受け入れるだけ

この地上で生を終えて 

俺は君と同じ人になる


君と同じ輪廻の輪に入り
いつか、君と再会できる日を夢見て

長い長い眠りに就くよ



「彼が生き返っても、貴方が居なければ
 彼が ・・・ 悲しむでしょう」

「少しでもいいんだ、
俺は彼と一緒に暮らしたい
 一晩でも二人で過ごせたら
 それ以上は望まない」

鼓動が … 微かに脈打ち始めた
これで…温もりが戻れば目を覚ます

「 ジュン、今すぐ天上に帰れ
 ゲーも原初の神、今回の事で目が覚めたらしい

 全ての力を使って、俺の力を受け止めた
 これで、あれが破壊の神を作り出すこと二度とない

 力を失くしたゲーは静かに生きるだろう
 神託通り、ミデンが全知全能の王に就く
 早く戻らないと、天上は切り離されるぞ」

 

俺が作った装置は、俺の力を破壊神だと認識したはず

皮肉にもゲーが退け ・・・ 装置は作動する


 

 

「サトシ … 俺は地上に降りて人になる」


「好きにすればいい ・・・ 俺には関係ない
 地上を守ってくれた事は礼を言う
 ありがとう … 悪いが二人にしてくれ」

ジュンは淋しげに笑って

「サトシ … 生きて ・・・ お願いだから生き延びて

 いつか廻りあう日を信じてる ・・・ 力になれなくて ・・・」

 

「謝らなくて良い、全ては身から出た錆 ・・・

 いいから行け、彼が目を覚ます」

 

「ありがとう ・・・ 」

 

そう呟いて、俺の側を離れて気配を消した

 


「ショー … 温めるてやるな …」


身体中をさすりながら
俺の全部をお前に注ぎ込む

柔らかい唇が微かに動いて
俺の接吻に応えてくれる

「おはよう ショー…
 もう一度、接吻しよう」

溢れる泪が君の頬にポタポタと落ちた
君の目蓋がゆっくりと開いて
俺の大好きな円らの瞳に俺が映ってた

「サトシ … どうして泣いてるの?…」
さっきまで、だらんとしてた手が
俺の頬を撫でた

「 ショーが中々起きてくれないから
 淋しくて泣いてたんだ
 起き上がれる?」

ショーは心配そうに俺の背中を撫でて

「何があったの?」
って、訊ねる

「何もないよ、君が怪我を負ったから
 それを治してただけだよ」

「どこ?ケガって?」
吃驚したように体を、あちこち触って確認して

キョトンとした顔を見せる

 

胸の傷跡以外は残ってないよ

「何ともないだろ?
 立ち上がって歩けるなら
 俺達の暮らす家に案内してもらおうかな
 これからは、ずっと一緒だろ」

ショーは嬉しそうに笑って
立ち上がって、抱きついた

君の温もりが
君の命を伝えてくれる
失わなくて良かった

俺の力は殆ど残ってない
一晩でいい、君と手を繋いで
朝を迎えたい


「家を増築したんだ
 それでね、二人で眠れるベッドを作ったんだ
 今日から二人だね」

 

君が嬉しそうに笑う
その笑顔が見たかった

 

「ああ、ずっと一緒だよ」

指と指を絡ませて
ギュッと手を繋いで歩き始めた


 

 

夢に見た二人で歩く大地

君に出逢えて本当に幸せだよ

 

 

 

 

 





〈続きます〉