彼は誰時 73 | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

大野さんを迎えに行った櫻井さんが一人で戻って来たって聞いた時

大野さんらしいなって思ったんだ


自分の意志が固まらなければ、誰が迎えにいたっとしても帰っては来ない

ましてや、二人で戻ってくる選択はしないって思ってた

それはニノへの、相葉さんへの、そして俺への配慮だよね


大野さんが選んだ人が櫻井さんだって理解してても

二人で帰って来られたら ・・・ 俺も ・・・ 相葉さんも複雑だから


いつもぼんやり空を眺めてた大野さんの好きな公園

気持ちを落ち着ける為に少し散歩してから ・・・

あの人のお気に入りのベンチに向かって歩いて行くと



相葉さんが、ぼんやり空を見つめてた 



何だか ・・・ 淋しそう ・・・・ あの時の俺と同じ ・・・


見ない振りをして引き返そうって思ったけど

そうすれば相葉さんは多分 ・・・ 自分の家に帰ってしまう

帰ってしまったら、二度と二人のいる場所に顔を出すこと出来ない


その想いは、きっと俺にしかわからないから ・・・

付き合うよ ・・・ 一緒に行こう ・・・ 笑えなくても良いから ・・・


 

声を掛けないままベンチに座った

相葉さんの頬に泪のあと ・・・ 気が付かない振りするね


同じようにベンチに凭れて空を見上げる

頭を空っぽにできればいいのにな ・・・



「大ちゃん ・・・・ 俺の事好きだったって ・・・・ 

 自分の事好きになってくれてありがとうって

 ・・・・・・・・・・・ 想いには答えられない ・・・ ごめんねって


 信じられる?俺の事が好きだったって ・・・ もっと前に言ってくれたら

 おれ、全力で愛したのに ・・・ 今更言わなくて良いじゃん ・・・」


零れ落ちる涙と同じ、ポツリポツリと呟く



「知ってたよ俺 ・・・ 大野さんが相葉さんを好きな事

 だから春に花見した時 ・・・ 伝えないのって言ったでしょ ・・・

 大野さんの眼差し ・・・ 相葉さんの事眩しそうに見てた ・・・

 ああ、好きなんだろうなって ・・・ 気付いてなかったのは相葉さんだけ

 多分ニノも知ってたよ ・・・ ニノへの愛情とは違う思いを抱いてたんだと思う

 俺はね ・・・ ずっと前に振られてる ・・・」


相葉さんは驚いたように俺の顔を見つめて


「みんな気が付いてて ・・・ 俺が気が付かなかったって ・・・

 どういう意味?」


この人の天然な部分が好きだったんだろうな


「都心に出て食事する相手は誰?

 あんなに人混みが苦手な人が、必ず相葉さんの店によって食事に行く

 気が付かないのが不思議だった ・・・ 

 でも、大野さんには伝える気はなさそうだったから ・・・ 黙ってた ・・・」


好きだけど全てを曝け出せる相手ではなかった

・・・ ただそれだけ ・・・



「そう言う所なんだ ・・・ だから ・・・ 特別になれなかった

 自分の想いに精一杯で、本当の大ちゃんを見てなかったっんだ ・・・

 自業自得って事だよね ・・・」


自分に言い聞かせるように ・・・ 小さい声で呟いた


「俺ね、付き合ってって言ったんだ ・・・ もう 4、5年前 ・・ イヤ、もっと前かな ・・・

 ニノも相葉さんも知らない ・・・ 

 一度見かけた事があるんだ、俺の全く知らない顔の大野さんが ・・・

 知らない人と歩いてた ・・・ いわゆるそう言う場所

 だから ・・・ それなら、本気で俺と付き合ってって ・・・

 あの人こういったんだ

 『体だけの付き合いなら良いよ、その代り二度と家の敷居は跨ぐな』って

 つまりは蚊帳の外に出されるって事 ・・・ 尻込みして諦めた ・・・ 

 考えたら、あの人手なんて出さなかったって思う ・・・ 諦めさせるための口実

 当時、俺も若かったからさ ・・・ あの人の嘘見抜けなかった ・・・

 その後かな ・・・ 殆ど遊びに出なくなったのは ・・・」



相葉さんは目を大きく見開いたまま俺の顔を見つめてる

大野さんのイメージを壊しちゃったかな ・・・


「さっき大ちゃんが ・・・ 誰でもよかったって ・・・

 潤君も同じこと言われてたの?」


「ずっと前にね ・・・ だから羨ましかった相葉さんが

 何で告白しないのってね ・・・ でも、結局あの時はもう遅かったんだよね

 ちゃんと特別を見つけてた ・・・ 

 あの人の孤独を救う人が現れたんだって思ったら、少しほっとした

 ニノには悪いけど ・・・ ニノも大野さんの事好きだって気が付いてる」


「好きって ・・・ 兄弟だからでしょ ・・・」


「本気でそう思ってるの?

 違うよ、誰よりも愛してるはず

 ニノってモテるでしょ、それなのに特別な彼女を作らない

 だって、目の前に特別な人がいるから

 彼奴はね一生傍にいられる場所を選んだの、大野さんも同じ

 大野さんにとってもニノは特別なんだ、命がけで守ろうとする相手

 決して嫌わないし嫌われない ・・・  

 ・・・ そう言う意味で櫻井さんは違うんだと思う

 どんな茨の道でも共に手を繋いで乗り越える人

 喜びも痛みも二人で ・・・ お互いを支え合える人なんだろうね」



相葉さんは黙って俺の話を聞いてた

それから大きく深呼吸して、少しスッキリした顔で笑って


「敵わないね ・・・ そこまで愛してるニノが認めた相手なら

 太刀打ちできるわけないね ・・・

 翔ちゃんは真っ直ぐな人だから ・・・ 大ちゃんを任せられる

 負け惜しみじゃないよ ・・・ 俺、何も見えてなかった ・・・

 大ちゃんの孤独も苦悩も ・・・ 

 まだ少し掛かるよ立ち直るのは

 でも、良かったねって言える気がする

 潤君と話せてよかった、ありがとう感謝してる」


そう言って、頭をぺこりと下げた


桜咲く頃に伝えていたら結果は違っていたのかも知れない

でも、時間は巻き戻せない ・・・ それは俺にも言えること

あの時、真剣に貴方に向き合えれば結果は違ってたかもしれない


たら、れば、は考えても詮無い事 ・・・ 結局俺達に勇気がなかった


「そろそろ行かない?

 ニノが『遅い』って怒るよ

 もう大丈夫だよね、櫻井さんにも会えるよね」


そう訊ねると

立ち上がって、袖で顔をグイッと拭って


「大ちゃん大好きだったよ、絶対幸せになって」

って大きな声で叫んで、俺を見て微笑んだ


まだ痛いよね ・・・ 分かるよ俺だってまだ時々痛い ・・・

でも大丈夫 ・・・ 皆が居るから ・・・

いつかこんな事あったねって笑えるから


「行こ!ニノが待ってる

 それに大ちゃんと翔ちゃんが ・・・ うん俺の大好きな人が

 待っててくれるから ・・・ 潤君 俺が泣いてた事は内緒ね」


って、恥ずかしそうに笑って、俺の腕を掴んで立ち上がらせた




「そうだ俺、料理作ってって頼まれてた」


そう答えると、可笑しそうに笑って


「ダメじゃん、走るよ」

そう言って、俺の腕を掴んで走り出した





公園を抜けて入り口付近の柵に見馴れた後ろ姿見えた

俺達の姿が目の端に映ったのか

徐に立ち上がって、振り向かずマンションに向かって歩き始めた



やっぱりね ・・・ 心配だったんだ

その優しさ、ちゃんと伝わってるから



俺は相葉さんの腕を引っ張って


「ここからは歩いて行きましょう」

って、伝えると


「うん、そうだね 

 息せき切って駆け込んだらニノに笑われる」

って、クスクス笑ってる



気が付いてるのか、そうじゃないのか聞かないから

ゆっくりで良いよね ・・・ いつか痛みは消える

時間の流れが優しく癒してくれるから ・・・






<続きます>