Ray of hope 45(翔太郎編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

俺達がめぐり逢い、4度目の冬を迎えた

相変わらず、冬に寝込むことが多い翔太郎

出会った頃に比べて、丈夫になった来てる




来年は医者になる為の試験があるらしく、勉学に追われる日々

中々会えない為、ケースに一言添えられて、秘密の場所に置いてある



「約束してて会えなくても、忙しいのは分かってるから」って言っても

ケースだけは置いてある

「気持ちを伝えたいんだ」って照れてた




君は気付いていないでしょ、いつも遠くから見ている事

そのことは黙ってるよ、言えば絶対『ずるい』って言うから



今年の冬は、例年より寒くて、ケースに込めた一言


「風邪を引くと困るから、来なくていい」




数日後には入っていた返事


「無理だから、絶対逢いに来る」


きっと不貞腐れた顔で書いてるんだろうな、って思うと可笑しくて

君の言葉が聞こえてくるようで、温かくなるんだ






年の瀬も迫ったある日、屋敷に行くと爺さんから話があるって言われ

広間に通された


相変わらず豪勢に暖を取ってある

そこら中の暖炉に火が入って、無駄の多い屋敷



「爺さん、人がいない部屋まで火を焚かなくてもいいだろう

この部屋春みたいだぞ」

って、呆れた顔で言うと



「年寄りは、寒さが身に染みて ・・・ 寒さは大敵だからな」

って言って苦笑いしている



「で、用ってなんだ?」

って聞くと




ちょっと言いにくそうにして、


「翔太郎の事なんだが ・・・ ハルは彼と仲が良かったな ・・・」



なんか含みのある言い方だなぁ


「あぁ 親しくさせて貰ってる ・・・ それが問題でもあるの?」




何の話か分からない、警戒しながら爺さんを見つめる



「いや、そうじゃない ・・・ お前を彼の親友だと思ってる、そこで頼みたい事があるんだ

 2,3年前ハルから、医者になる為の勉学に専念させてやれって言われて

 そうしてきたんだが、彼奴の親父から泣き付かれた ・・・

 そろそろ身を固めさせたい、年齢的にも良い頃だからって」




その話か ・・・ 俺にどうしろと ・・・ じじい ・・・



「もう少しで医者になる、あと少し待ってやれないのか」



「待てないらしい、心配なんだろう ・・・ 翔太郎は一人息子で跡取り

 体が弱いから ・・・ 早く子を儲けて安心したいんだな」



「本人の気持ちが大事だろう」

そう言うと、怪訝な顔をして




「本人の気持ちなんぞ関係ないんじゃ、親が決めた相手と添うのが普通

翔太郎の親は甘いから、彼奴の気持ちを尊重して居るが


 

 ・・・ハルには分からんかもしれんな



 人は短い時間を生きている、だから命を繋ぐんじゃよ

 影山の親 ・・・ 翔太郎 ・・・ 翔太郎の子供 ・・・ その子供の子供

 命をつなげることで、自分の生きた証を残す ・・・


 ハルにも親御さんがいるだろう、きっと同じ思いだ」



子どもの為なら命を懸ける、母の想い、父の想いは痛いほどわかってる



「分かってるよ、子供を想う親の気持ちは ・・・

 で、どうして欲しいんだ」



「そこで、ハルに聞いて欲しいんじゃ

 彼奴に心に決めた人がいるのか

 もしいるなら、その相手と結婚させても良いそうだ

 居ないなら見合いして、身を固めろって

 お前の言うことなら聞いてくれそうだからな」



俺が伝えたら ・・・ 烈火のごとく怒るだろう

あと少しなんだ ・・・



「爺さん、少しだけ待ってやってくれ」



その言葉を無視するように


「これから人と約束してるんじゃ、ハル頼んだぞ」

って言って部屋を出て行った



あのジジイ ・・・ 言い逃げかよ



俺達の事気が付いてはいない ・・・ でも危惧しているのかも知れない 

何故なら、俺を見つめる翔太郎の瞳は ・・・ 正直だから



俺達の関係は胸を張って、人に話せるんものではない

俺は良くても、翔太郎には未来がある




良い時期なのかもしれない ・・・ 現実を見つめる

翔太郎には翔太郎の世界がある ・・・ 遠くから見つめているとよくわかる

君の人柄に吸い寄せられるように、君を囲む人たちは優しくて、温かい、そして助け合ってる

それが人の歩く、君たちの世界


同じ悩みを持ち、同じ楽しみを分かち合い、同じ時を生きる




俺は君を愛することしかできない

それだけじゃ、どうにもならない事だってあるって ・・・・ 長い時の中で気付いた




次に会った時に話そう ・・・ ただ、君の泣き顔だけは見たくない







◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



年末年始を実家で過ごし、帰京したのが松の内が取れたころだった


向うに居る間、見合いらしきものをさせられた

お嫁さんを貰う気などない


心に決めた人がいるならって聞かれたって、答えられないもどかしさ



「医者になるまで考えてない」って言えば


「学生の間は形だけで良い」と言う


「絶対意に沿わない結婚をしない」と宣言すれば


「お前の意志関係なく、医者になったら嫁を貰う」って言い出す始末


のらりくらりととごまかしながら、逃げるように戻ってきた




こんな話アナタに出来るはずもない ・・・ アナタはどう思うだろうか




もう一ヶ月ほどサトシに会っていない

戻ってきたらすぐにでも逢いたい、出かける準備を始めると

部屋のドアをノックする音



「はい どなたですか」って聞くと



あの少し掠れた声で

「翔太郎、俺だけど」って返事が返ってきた



サトシが訪ねて来てくれるのは、俺が寝込んでいる時だけ

慌ててドアを開ける



「サトシ ・・・ 」

顔を見ただけで、嬉しくて泣きそうになる




「逢いたかった翔太郎 ・・・ 元気だった?

 君は時々無茶をするから、俺が来た

 外は凄く寒いからね」



サトシの優しい眼差しを見て、思わず抱き付いて



「でも、どうして ・・・ なんで ・・・」


想いはあふれて、上手く言葉にならない




「落ち着いて、口パクパクさせて金魚みたいだよ」

って言って、可笑しそうに笑う



ちょっと不貞腐れて、上目づかいで見つめると


「怒った顔も可愛いよ」

って言って、そっと接吻けをくれた



積もる話はいっぱいあって、自分の事をひとしきり話す

いつものように、静かに相槌を打ちながら聞いてくれるアナタ



この空間が俺の大切な場所





「翔太郎 ・・・ ちょっといい?」

神妙な顔で話し始めるアナタ



「なに?話があるの」って聞くと



「実は ・・・ 見合いの話が ・・・」


その言葉に吃驚して



「もしかして、サトシに」

って聞くと



手を顔の前でひらひら振って


「それはない、俺じゃなくて翔太郎に ・・・ ずっと断ってるって聞いたから

 この先どうするのかって思って」



「誰に聞いたの、見合いなんて無駄な事はしない


もしかして、俺が結婚した方が良いって思ってるの?」




意地悪な質問をして、アナタの顔をじっと見つめる





「 ・・・・・ 思っていない ・・・」





今の間はなに、結婚しないって言ってるんだ ・・・ 喜んでくれてもいいんじゃない



「・・・俺に見合いを勧めに来たの?誰に頼まれたの?」



アナタの顔を凝視する、アナタは少し悲しげに



「勘違いしないで、勧めに来たんじゃない


でも、この問題は避けて通れない

君は影山の家の跡取り、親の望みは早く身を固めて、命を繋いで欲しい

その想いは無視することは出来ないだろう


君のご両親が、どれだけ君を愛しているか痛いほど伝わってくるから

俺は何もできない ・・・


俺達の事は ・・・ 君だって分かってるはず





「だからって、サトシが言うことじゃないでしょ ・・・ これは俺の問題

 それとも嫌いになったの」



分かってる、分かってるけどサトシから聞きたくなかった




「嫌いなわけないだろう、愛してる ・・・俺の全ては君のだよ ・・・」



 

「だったら、見合いの話なんてしないでくれ」



俺はアナタを睨みつける



握り締めた掌に爪が食い込んでくるのが分かる

その手に気が付いたアナタが、



一本ずつ優しくて開いていく


「そんなに握ったら、けがをしてしまう」

俺はその手を払いのけて



「俺の事いらないんだ ・・・ そうだよね ・・・ 未だに抱いてもくれない

 このまま俺なんか居なくなればいいんだ ・・・

 そしたら迷惑も心配も掛けない、俺なんか重荷でしかないから」



傷つけてるのは分かる、でも止まらない



「俺なんて、居ない方が清々するんでしょ」


そう言った瞬間、アナタが俺の頬を叩いた



叩かれた俺より痛そうな顔をしたアナタが、涙をためて



「どれだけ君を大切に想ってるか、ずっと伝えてきたつもりだ

 確かにこの話は俺がする事じゃなかった、済まない

 でも、君を失うくらいなら ・・・俺が消える ・・・ 君の前から」




アナタの瞳から、大粒の涙が零れて



「どうしてアナタが消えるの、俺が消えれば・・・・

 次の転生で女に生まれ変われる ・・・ そうすれば愛してくれるんでしょ?

 そしたら、悩まなくて済む ・・・一緒に暮らせる」



心の中にくすぶってる不安を全部吐き出して、アナタにぶつける



見合いをしろ、なんて一言も言っていない

俺の置かれている状況を心配してくれてるって分かってる




それでも、アナタを傷つける



「翔太郎 体を繋げれば満足するの」


そう言って、俺をベッドに押し倒し烈しく口づけた

アナタの瞳が艶めかしく揺れて


その唇が俺の顔から首筋へと落ちてきた



「この熱を解放して、抱けばいいの」

そう言って、布越しにあなたの手が触れる




大丈夫 ・・・ ずっとそうなりたいって ・・・ でもいつものサトシじゃない

自分でもわかる ・・・ 震えている ・・・ 怖い ・・・

思わずアナタの腕から逃れようとして身を捩る



もう一度、烈しく口づけた後、俺から離れたアナタは

さっきまでの荒々しさはなくって、少し悲しげに



「迷った心で繋がって、愛されてる確証が持てるの?

 何を焦ってるの ・・・・


 君は俺と結ばれた事は覚えていても、それ以外は殆ど覚えていない

 当然だよ、前世の事を全て覚えていたら 自分が自分で居られない

 君は君の人生を生きるんだから


 一つだけ ・・・ 俺達が体を繋げたことは、数えられるほどしか無かった

 それでも、満たされていたって思ってる

 

 今 ・・・ 不安を拭うためだけに繋がろうってしてる ・・・ だから俺を怖いって思ったんでしょ」



サトシの言う通り、その事だけが重要に思えて ・・・

恥ずかしくて、下を向くと




「今日の事は悪かった ・・・

 だけど君がいなくなったら、俺は生きていけない

 

 それに、ありのままの君を愛してる ・・・ 女に生まれ変わりたい?

 そんなに今の自分に自信がないの、俺にとってはかけがえのない君なのに」




そう言って、切なげに笑った ・・・ でも瞳が泣いていて



「・・・  俺  ・・・ 家でも見合い話されてて、感情的になってた ・・・」




「今は他の事で煩わしてはいけなかったのに済まない」

そう言って立ち上がって、部屋を出て行こうとする




その腕を掴んで、引き止める



「サトシ ・・・ 俺 ・・・」




俺の顔を優しく見つめ、頬に手を添えて


「疲れてたのにごめん、俺が迷わせた ・・・ 暫く会わない方が良いのかも知れない」



辛そうに言って、部屋を出た行った



どうして傷つけてしまうんだろう、こんなに好きなのに

誰と比べていたんだろう ・・・






数日後、松岡邸に呼ばれた俺はサトシが来た理由を知った


親が選んだ相手と結婚させられる話が、内緒で進められていた事を

その話を止めさせたのがサトシだったと



「ハルにお前を説得するように話したんだが

もしその話を進めるなら,今後ここには来ない

医者になるまでの数年、なぜ待ってやれないのかと


 ハルは頑固じゃ、嫌われたら二度と会ってはくれない

 森の家に帰ると ・・・ 


 年よりはせっかちでいかん、君にも不快な思いをさせたんじゃないか

 

 お前の耳に入れた事を後悔していた

 許してやってくれ、儂が頼んだことなんじゃ」


  


あんなにアナタを傷つけたのに ・・・ 

俺を許してくれる、何も知らず責めた俺を ・・・





<続きます>







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後、少しで翔太郎編終わります



拙いお話にお付き合いくださり

ありがとうございます

でわでわ