Ray of hope 43 (翔太郎編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

何も考えられなかった ・・・ 曇りのない透明な瞳が悲しげに揺れて

笑い方を忘れてしまったような、淋し気な横顔



『愛してる、俺の命に代えても大切な君』

その言葉が頭の中を素通りして、暗闇の中に消えた



疑った事はない ・・・ 愛されてる ・・・




でも、俺の知らない時を ・・ どんな顔で笑っているの

考えただけで苦しくて ・・・



重荷になりたくないと思いながら、独占したい気持ち

アナタに話せば、きっと ・・・ 全てあげるって言ってくれる ・・・ それがまた悲しい




時々感じるアナタの眼差し

夕焼けの様に、柔らかく包み込む暖かい光を


振り返れば、そこに居るって分かってても ・・・振り返れない俺の弱さ





アナタが言った


「翔太郎の笑顔は太陽みたいだ

 眩しくて、輝いていて ・・・ 俺が恋い焦がれる君の光が溢れてる」


その笑顔を思い出すまで、もう少しだけ ・・・






日々の忙しさが、会えない日々を忘れさせる

いつの間にか吹く風は、肌を刺すような冷気に変わっていた



このまま会わなければ ・・・ アナタを忘れられる?



そんな考えはすぐに消えた

どんな時でもアナタ笑顔が浮かんできて



アナタの声 アナタの匂い アナタの温もり

全てが掛け替えのないものだと気付かされる



答えを出すまで静かに見守ってくれる、想いの深さを

アナタに逢いたい 








松岡邸に向かう坂道の、桜や欅の木は葉を落とし

木の枝から鈍い光が落ちてくる


屋敷の前の楠の傍で立ち止まり

かじかんだ手を擦り合わせ、両手に息を吹きかける

その合わせた手の中に、一粒の白いものが落ちてきた



空を見上げれば灰色の空から、チラチラと白い粉雪が舞い落ちてきて



隣にアナタがいたら、きっと


「風邪をひいてしまう」って大騒ぎする顔が浮かんできて

何故かおかしくて、笑いながら泪が零れた




アナタに逢う前に、どうしても話したい人がいる



松岡邸の玄関を通り、地下の道を行く

あの時逃げ出した扉の前に立ち、声を掛けてノックする



・・・・・・・・



返事はない ・・・ 当然だよな、こんな所から尋ねる人はいない




そう思いながら、もう一度扉を叩く




「・・・・あの ・・・ どちら様でしょうか?」


って訝しげな声で返ってきた





「あの、私は ・・」


そう言いかけた途端



「翔太郎様でございますね、サトシ様は外出されております」




思わぬ返答に吃驚して


「えっと ・・・ 俺の事知ってる」




「はい、サトシ様より大切な方だと伺っております・・・

 すみません、中にはいられますか?」




「このままで ・・・ 」


会って平気でいられるのか自信がない




「ありがとうございます、サトシ様のご不在の時勝手にお会いしていいものか」




彼の戸惑いが、扉越しからでも伝わって来て



「話がしたかったんです、サトシと共に生きる君と」





控えめな小さな声で


「申し訳ありません、私はサトシ様に使える者だと思ってください

 ・・・・ 先日、お見えになられたのは翔太郎様ですね

 勘違いさせてしまたのではと心配していました」



「家族がいる事は知らなかった、あの後君がいる事を聞いたから」




「サトシ様がそうおっしゃったのですか?」




「君は弟みたいな存在だと」




「そうですか・・・私には嬉しい言葉です

 でも、本当に身の回りのお世話をさせて頂いているだけの存在です

 サトシ様のお心は常に翔太郎様とご一緒です」




申し訳なさそうに、必死に説明する彼が可哀想で


「君に感謝をしているんだ、サトシの傍でサトシの孤独を救ってくれて

 ありがとう ・・・ サトシが紹介してくれるまで会うのはお預けだね


 ・・・君とは一緒に暮らせると思う、サトシにとって弟なら俺にとっても同じだから」





少し神妙な声


「翔太郎様にお願いがございます

 サトシ様を支えてあげて下さい

 あの方が生きていらっしゃるのは、翔太郎様と共に生きる事

 私には、あの方の孤独は救えないから、どうかお願いします

 おこがましい事を申し上げてすみません」




共に歩く彼には彼の苦悩がある

サトシにとって彼もまた、かけがえのない存在

それは、きっと俺が家族を大切に想う気持ちと同じ



俺は自分の浅はかさを後悔した




「今日の事は秘密にしておきましょう、二人だけの

 えっと、カズさんだよね

 近いうちに会えることを楽しみにしています

 突然押しかけて申し訳なかった」



「いいえ、こちらこそ扉越しに失礼いたしました

 どうかサトシ様の事、お願いします」



彼にとっても、サトシはかけがえのない存在なのだと




その言葉、想いの重みを受け止められる、強い自分にならないと





もう迷わない




今を、精一杯アナタと生きたいから








<続きます>






*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆


こんにちは

翔太郎の想いが伝わればいいんですが・・・



これ以降カズはサトシ様と呼ぶようになります

自分の想いに線を引いたのだと




拙いお話にお付き合いくださり

ありがとうございます

でわでわ