Ray of hope 41 (翔太郎編) | 瑠璃色の地球(ほし)の青宝玉

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大野君に魅せられ、重症サトシックのおばさんです。
年甲斐もなく智愛叫んでます。
お名前をお借りして腐小説を書いています。
ご理解いただける方のみお入り下さい。

男性の方のご入室はご遠慮下さい。

帰国した俺を、満面の笑みで迎えてくれたサトシ



アナタのお蔭で一度も体調を崩す事もなかった

まぁ、あれだけ薬やら、何やら準備して持たせたら当然だけど


アナタから預かった時計を返すと

受け取ったそれを見つめて

その時計に「ありがとう」って呟いた



この時計をアナタだと思って、いつも話しかけていた

アナタに言えない弱音なんかも・・・

この時計が話せたら、きっと凄く心配するだろう


でも不思議なんだ、この1ヶ月サトシに包み込まれたような安心感

この時計のお蔭だと思う



「お帰り、無事に帰って来てくれて嬉しいよ」

って言って、抱きしめてくれた時 


緊張の糸が切れたのか、なぜか涙が零れて

「ただいま」ってしか言えず

俺もアナタをぎゅっと抱きしめた





あれからすぐに大学も始まり、中々会うこともままならなくて

それでも、少しは強くなれたと思ってる




清々しく晴れ上がった秋の空を眺め

1年前二人で行った、紅葉の美しさを思い出す


「今年も見に行こう」って誘ってくれて、その気持ちが嬉しくて


アナタと久し振りに会える

逸る気持ちを押さえて屋敷へ向かったら

約束に時間より早くついてしまった




驚かせようって思って、地下道からサトシの家に

扉の所まで来て開けようとすると鍵がかかっていた


「あれ ・・・ 留守?」

そう思いながら、ドアを小さく叩いてみる

そしてドアノブに手を掛けると



中から声が聞こえた




「あっ ・・ さ ・・」

声を掛けようとした言葉を遮って






「サトシですか? ちょっと待っててください」

って嬉しそうな声が聞こえた




サトシって呼ぶ彼 ・・・ 

俺は慌ててその場を離れ

来た道を駆け足で戻る



今、「サトシですか?」って聞いた?

その声が頭の中で木霊して ・・・




気が付いてしまう ・・・ 俺はアナタの事何も知らない




階段の手すりに身を委ねて、ボンヤリと上を見ていた

そこにアナタが降りてきた




「あれ、翔太郎?」

その声で、アナタが目の前にいた事に気付く



「あっ ・・・ サトシ ・・・」



アナタは嬉しそうに俺の手を握って



「こんなところに居たの?探しちゃったよ」

って優しい瞳で見つめる



「うん ・・・ 早く着いたから迎えに行こうって思って ・・・」

どうしても、顔が見れなくて俯いて話す




「ごめん、用があって出かけてたんだ ・・ どうかした?」

って俺の顔を覗き込むアナタ


何も答えられず、頭を左右に振ることしかできなくて




「じゃあ行こうか、今年も綺麗な紅葉が見られるはずだよ」

って言って歩き始める



その後ろを俯きながらついて行く



どうやって聞けばいい?

あの声の人は誰?・・・ それだけが俺の頭を占める



うかない顔をしてる俺に気が付いて


「どっか具合悪いの?それとも気分が乗らない?」

って心配そうに聞くから



「二人っきりになれる場所に行きたい」って答えると


俺の手を握って、あの森に連れて行ってくれた




「何かあったの?悲しい事  ちゃんと聞くから話してくれる」


って言って、俺の手をぎゅっと握った




「・・・ さっきサトシの家の扉の前まで行った ・・・ そしたら声が ・・・」


そこまで言うのが精一杯で ・・・




すると、納得したように


「知らない人が出てきて戸惑ったんだね ・・・ カズって言うんだ」




カズ ・・・ 初めて聞く名前 




「声がしたから ・・・・・  会わないでもどった ・・・」




「翔太郎に会わせたいって思ってた、俺にとっては弟みたいな存在

一緒に暮らしてる ・・・ カズは俺と同じ時間を生きてる」




サトシの瞳は澄んでいて、嘘を言っていないことがわかる

じっと俺を見つめて ・・・



「カズには翔太郎の事は話してある、俺の大切な人だって

きっと仲良く出来るって思ってる」



両手で俺の手を握って、真剣な眼差しで俺を見つめる




「サトシと同じ時間を生きてるの? ・・・ 人じゃないって事」




「俺とは種族が違うけど、精霊なんだ」




「そう ・・・ 同じ時間を ・・・」


俺の中の何かが弾けて




「ねぇ ・・・ 俺を抱いて、愛してるなら ・・・」




そう言うと、少し困った顔をして

俺を抱き寄せて



「それで安心できるの? ・・・・・ 俺は ・・・ もっと大切にしたい」

って囁いて、きつく抱きしめた




やっぱり ・・・ その返事を聞いて小さく呟く


 

「・・・ 戻ろう ・・・ 分かってる俺に家族がいる様に

 サトシにだって居てっておかしくない

 ごめん、気持ちが追い付かない ・・・ 」




そう言うと、悲しそうに


「分かった戻ろう ・・・」



そう言った後、俺の手を繋ぎ、



「翔太郎の不安をなくすにはどうすればいい?・・・ どうすれば ・・・

愛してる、俺の命に代えても大切な君を ・・・ 分かってもらえない ・・・」



その悲し気な顔が切なくて



「俺だって愛してる ・・・ 吃驚しただけなんだ ・・ ごめん

 次に会う時までには ・・・ 笑えるようにするから ・・・」




どうしても笑えないんだ・・・




サトシの気持ちを疑ったことなど一度もない

今だって、その気持ちは変わらない




共に歩けない時間、サトシの孤独を埋めてくれる家族がいる

その事を素直に喜べない ・・・ あさましい俺が居る




俺の存在を ・・・ 俺の意味を ・・・ 考えずにはいられない




握り締められた手を、握り帰す事が出来なかった



 



<続きます>






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本日二度目でございます



少し話を進めたいと思います

これ以降は切ない話です





でわまた