ボクん地方は、梅雨入りしたそうだ。
朝から降っていた本格的な雨は、昼過ぎに空が明るくなってきたのを合図に、しとしと雨に変わっていた。
ボクは、梅雨入りには関係なく、雨の日はいつも同じだ。
ただ外の小屋に入っているだけ。
いつ写真を撮られても、背景から何からみんな同じなんだ。
ズボラな飼い主は、1枚ボクの写真を撮ったら何年も使いまわしそうだが、↓これは、正真正銘今日のボクだ。
少しなら
濡れてもいいと
紫陽花が
許すその日に
沖縄は明け
今年の梅雨入りは、例年より15日も遅いという。
ボクんちの庭の紫陽花は、まだ小さな花。
実家の母が支度をしてくれたとき、飼い主は、座布団なんて10枚でいいと言った。
しかし母は、大きな農家に嫁ぐのに(注: 大きいというのは、財産家という意味ではなく、ただの大家族のこと。)、10枚ではみっともない、30枚は持って行くのが普通だと騒いだ。
たまたま、結納の後に婆様に座布団の数を尋ねたら、婆様はこう言った。
「私が嫁入りに持ってきたのは50枚だけんど、それだってまだクラヤに入ったままで、使ったことがない。
今日の席に並べたのは、その前からあったやん。
だから座布団は間に合ってるから、それよりはレンジっちゅうもん?
ご飯とか温められるやん。
蒸し器使わなくても済む、っちゅうもん。
そういうもんを揃えた方がいいら。」
それで飼い主は、母にやはり座布団は無駄だよと言ったのだが、母は
「シュートさんの言うことを真に受けたら、座布団を1枚も持って来なかった嫁だと言われる。
○子が新婚旅行に行ってる間、近所のシラ(人々)も、婚礼支度を見に来るら?
座布団は、頼むから持って行ってくれ。」
と、飼い主に懇願した。
結局、母30、飼い主10の間をとって、20枚ということでお互い折れたのだという。
まあ、何十枚でも何百枚でも、収納場所があるから構わないのだ。
だが飼い主の予想通り、持参した座布団は、ほとんど日の目を見なかった。
昔は、様々な行事を自宅で行い、人寄せが多く座布団は必要だったが、飼い主の座布団は、色が赤いので法事などには使えないと、意地悪な義理オバに言われたものだ。
「せっかく、母が縁起の良い麻の葉の柄で作ってくれたものだし、赤がダメならカバーをすればいいではないかと思ったが。
第一、婚礼調度に、最初から葬式に役立つように暗い色柄の座布団持って行くか?
そうそう。
あのオバは、私の陰口を言ってわ。
隣の嫁は、座布団30枚持って来た。
茶箪笥がないのもウチだけ、とか。
私の嫁入り支度が気に入らなかったらしい。
座布団なんか、今の私なら【笑点】みたいにオバさんの下に敷いてやって、思いっきり引き抜いてやるわ、ハハハ❕」
そんな昔話を思いだしながら、そして母への感謝とお詫びを口にしながら、飼い主は、5枚ずつ座布団の入った袋を、階段から転げ落とした。
それが一番安全だからだ。
「エイッという一言で、断捨離はできるんだ。
いちいち思いを入れる感情の引き出しを増やしてはいけない。」
そう言いきる飼い主にも、二階から落とされたカビだらけの布団袋は、ちょっと悲しいものだったようだ。
断捨離は
梅雨の晴れ間が
あるように
ずっと土砂降り
ではないのかも
飼い主の断捨離の梅雨明けは、まだまだ先のようだ。