中東情勢の影響で、様々な経済分野が脅かされていることは、毎日ニュースで聞いている。



特に石油関連の製品不足は、身の回りが石油由来の物ばかりだから、例えば一つ、最初に建築用塗料が品薄と知れば、連想ゲームのように次々に予測と納得をしていた。

最も身近なところでは、納豆のパッケージがなくて、商品を出荷できない会社が、なんていうニュースも。

やるせないなあ。



ボクんちの市では、指定ゴミ袋が一時的に無くなり、他の袋で代替としても良いという措置が取られた。

大なり小なり、今まで通りの生活ができない部分が出てきている。



そして一昨日、カルビーポテチの包装が変わったというニュースを見て、飼い主の夫が言った。

『あれじゃあ、買う気にならないな。

うまそうに見えないもの。』



(画像はお借りしました)



飼い主は、黙って考えていた。

「世の中が豊かになる前の、昭和の時代に戻ったようだ。

繁栄の原点、出発点みたいな。



昔、私の実家の近くには進駐軍がいて、そこからもらった品なのかどうかわからないけど、地味な包材の缶詰めとか菓子とか、なんとなく覚えてる。

絵の具を12色混ぜると、軍隊カラーになるんだけど、そんな色が主体の、中身もよくわからないから美味しいかどうかなんて考えなかった物。

そういう世界まで思い出した。」



夫が、続ける。

『やっぱり、パッケージがきれいで中身がよくわかるのに慣れちゃってるからな。』



それに対して飼い主が言った。

「これでいいのかもしれないよ。

限りある資源を枯渇させないために、原点に帰るきっかけになるのかもよ、この中東情勢が。」



そうかもしれないけど、世の中から色まで減っていくのは、寂しいですよ。



「それは、人工の色のこと。

パッケージの色をカラフルにしたのも、できなくしたのも、人間の責任のなせるところ。

そう思うと、自然界の色ってすごいな。

色とりどりの花を見よ。

自分に彩りをつけるのに、石油のお世話になっていないよ。」



そうですけど、もう、カラフルなパッケージが当たり前になってた中で、時代が逆行したような光景が増えていくのは、ねえ。

ボクのドッグフードも、もし白黒の袋になったら、食欲不振になりそうだ。



「昔は、テレビは白黒だった。

そういうのに戻ったと思えばいいんじゃない。

あと、さ。」



飼い主は、あのパッケージに、他に思うところがあるの?



「カルビーポテチひとつとっても、カラフルなパッケージのデザインをした人がいるわけだ。

そうした仕事も連鎖的に苦境に陥って。

人間の仕事の彩りまで、一緒に減るんだなあ。

まさに諸行無常よ。」






こんなやり取りをしていたら、お昼のニュースで、作家の佐藤愛子さんが亡くなっていたことを知った。

102歳、老衰だったそうだ。



「私は若い頃、たくさんの本を読んだ。

特に女流作家が好きで。

佐藤愛子さん。

三浦綾子さん。

当時の瀬戸内晴美さん。



佐藤愛子さん、最近は90歳を過ぎてからのエッセイが小気味よくて。

最後まで切れ味は衰えなかったね。

作家として、あっぱれだね。」



飼い主が、テレビを消して言った。
「佐藤愛子さん、ポテトチップの袋が2色刷りになるのを知らずに、逝ったわけだね…。」