飼い主は、昼食の支度をしながら、いつも通りテレビで、NHK の番組を聞き流していた。



今日は、【歌会始の儀】の模様が。

朗々と読まれる歌は、ときにわからない部分もあるが、それはまた、各々の歌が新聞などに載るだろう。

飼い主は、一般から選ばれた人の着物姿をちらちらながめながら、

「あの場に身をおくのは光栄極まりないが、あれ以上に嬉しい大変さも、なかなかあるまい。」

と思っていた。





昼食が出来上がり、同時にテレビ画面には、





という一文字があるのを見た。



来年のお題だそうだ。





「夢‥‥。

多くは、明るさと希望に溢れる、光の世界。

いいなあ、前向きで。



しかし私は、今はこう詠んでしまうよ。」





ああもっと

覚めずにいたい

元旦の

惨禍が夢で

あるとするなら



そう。

この災害は、【現実でない】悪夢であって欲しかった。

目を開けばそこには、あまりに過酷な、【悪夢のような】現実。






飼い主。
そのうち飼い主の夢というイメージが、好転するといいですね。




‥‥
ボクは今、【現実の夢】の中です。