飼い主は、先日いただいたリンゴをむいて、朝食後のデザートに1回食べた残りを、保存容器に入れた。
この、くまモンのタッパー。
けっこう使い込んでいて、蓋の角が色落ちしている。
他にもタッパー容器はいくらでもあるのに。
なぜかリンゴをむいたらこの容器に、なんだ。
飼い主は、縦8割にして、さらに横半分の大きさに切るのが好みだ。
飼い主が口ずさむ。
🎵リンゴは何にも言わないけれど~。
「去年の秋から冬。
父は、毎食後にリンゴをつまむのが習慣で、私は実家の冷蔵庫に、食べるばっかりにしたリンゴを欠かさないようにしていた。
歯が悪い父は、小さく切ってくれと言って、私はキャラメル大に切っていた。
そしてこの、くまモンのタッパーに入れる。
父にはそれが、リンゴがあるという印になっていた。
『うまい!』『さっぱりする!』『このリンゴは、しょうがいい!』などと言って、父は嬉しそうに噛んでいたなあ。
調子がいい日には、リンゴに爪楊枝を次々に刺して、5.6片食べたわ。
そして大事そうに蓋をして。
あと2回分あるな、とか言ってた。
本当に、どのくらいリンゴをむいて、小さく切ったかわからない。
父は、スーパーで買う食材や日用品代を私にくれたけど、私はリンゴ代はもらわなかった。
当たり前だが自分がウチで作ったものも。
それは、親を養う私の気持ち。
しかしね。
去年の暮れの今日、12月16日に、一月前から入院していた父が退院してきた後だよ。
その頃の実家分の出納帳を見たら。
『今年からリンゴ代をもらうことにする』と、私のメモが1行書いてあった。
そうなんだよ。
父が、言ったんだ。
『リンゴ代、取れよ。むいてくれるおかげで、毎日食えるだから。』
あ、そうそう。
この出納帳で思い出した。
今度の正月は、お飾りやお餅とかいらない。
この間、実家の神棚からしめ縄を下げてきて、『喪中』の仕様になっているわ。
今日は、水道栓の凍結防止対策をしてきた。
そういうのは、喪中と関係ないからなあ。
それで。
リンゴ代は、一月分ほどもらっただけで、父はまた入院して、それっきりリンゴは買わなくなった。
だから最後にむいたのは、2月半ばかな。
入院してしまったから持ち帰ったのは、これ。
くまモンの入れ物。
今年は、父のリンゴはいらないから、ほとんど買わなくなった。
リンゴをむくこともあまりない。」
何でも用済みの物はじゃんじゃん捨てる飼い主だが、くまモンのタッパーはまだ使っているんだ。
ボクも、リンゴは思い出深いです。
飼い主が、必ずボクの分を一欠け、取っておいてくれましたから。
ボクには、スイーツの空き容器でしたよね。
ボクには、みじん切り。
ん?
今年は、ボクはまだリンゴ食べていないような気が‥‥。