今日は、見慣れないトラックが来ていた。
車体にある大きなロゴとその色を見て、これは大手家具屋さんのトラックだとわかった。
そういえば、息子のベッドを新しくしたようなことを聞いていたな。
まあ、取りかえるのも無理はない。
子どもの頃から使っていたのが、ついに壊れたのだ。
あの体重だからなあ。
今度は、息子の体格に合わせて、シングルでなくてセミダブルにしたらしい。
車から降りたのは二人。
責任者とおぼしき配送員さんが主に出入りしててきぱきと進め、外に待機する係の人は、積み降ろしや整理などをしている。
ネジをしめる電動工具の音がちょっと聞こえた。
到着してから30分ほどで、古い物の引き取りと新しい物の組み立てが終了した。
手慣れたものだ。
大手の看板をしょっているから、物腰も作業も丁寧で感心する。
ボクが吠えてビビらせるポイントは、全くなかった。
「いいなあ、新しいベッド。」
息子の部屋の物を出して大掃除を手伝うハメになった飼い主が、新しいベッドの上に大の字になった。
「これで終わったわけじゃない。」
ガバッと起き上がった飼い主が、次は台所に向かう。
明日は、冷蔵庫が配達されるのだ。
ここも、少し掃除しないといけない。
「全く、重なるときは重なるものだ。」
最近、苦しそうな異音を発するようになっていた冷蔵庫。
ボーナス商戦が始まると配送スケジュールが混むと思い、諦めて先日家電量販店に行ったのだ。
なにしろ、ほら。
1995年製なんだ❕
つまり。
28年使ったってこと(; ̄Д ̄)?
「買った覚えがないから、そうなんだろう。」
田舎の家はだだっ広くて、ファンヒーターひとつにしても何台もある。
家電製品は、小さなものは特に、何度か買い換えている。
たから、年がら年中家電量販店に通っているような気がする飼い主だが、さすがに冷蔵庫は長寿で、褒め称えていた。
そうだよなあ。
値段を考えれば、長生きしてもらわないと困る。
「今回は、赤字がセミダブルサイズだ。」
ご近所の紅葉を見上げて、飼い主が言う。
「壊れるものは壊れる。
モノには寿命があるから仕方ない。
だが、心が壊れるときは、寿命とはいわないだろうに。
このところ、理不尽なハートブレイクを引き起こしている。
心は、ひとりでに壊れることはない。
他者との摩擦が、心の損壊の原因になる。」
はずされた
心のネジも
電動で
しめられるなら
向かう木枯らし