飼い主は、かかりつけのクリニックに薬をもらいに行った。

先生はいつもの流れるような調子で

「どうでしたか~、夏の間~。」

と聞く。



飼い主は、明け方の頭痛、不眠、ムズムズ脚、頻脈などを、流木で一部塞き止められた川のような調子で伝える。



先生は、

「まあ、季節の変わり目ですからね~。

だましだまし、やっていきましょ~。」

と、言葉に変わり目なく言い、いつもの薬に飼い主が所望したロキソニンを足してくれる。



「夏を、乗りきってね、」

と先生が鎖骨のあたりに聴診器をあてる。 

飼い主が、

「乗り切れなくて口唇ヘルペスにもなりました。」

と伝えると、

「うーん、免疫力落ちたか~。」

と、また流れるような調子で返す。



先生は、一連の会話で飼い主を観察し終わり、飼い主は重病でないことに今回も安心して診察室を出る。






「季節の変わり目か。

便利な言葉だ。

【ヤバい】と同じくらいオールマイティーな言葉だなあ。」





帰り道、飼い主は実家の見回りをする。

玄関の外に、蜂の死骸などいくつかの虫が目立ち、箒ではく。

先日夫が除草剤を撒いてくれた家の周囲の草は、ほとんどが茶色く枯れていた。

鍵を開けて家に入ると、少しにおいが違う。

真夏のように、ムッとした暑苦しいにおいではない。

「ここも、人並みに季節の変わり目。」






周辺の野山も、季節の変わり目。


着実にススキが増えて。






真夏にはなかった景色に変わり。






もう、夏山とは言えなくなってきた。





ん?
飼い主、ずるいです。
コスモス畑の様子を見てきたの。



「今日はまだ、こんなものだった。
思ったより、花が増えていなかった。
コスモスであふれるようになったら、伊太郎を連れて行こう。」





ボクの記憶では、去年や一昨年は、9月には公園に行ってましたよ。
そろそろ、どうですか。