朝。

起きたくない。



ずっとこうしていたい。



しかし飼い主に無理やり起こされ、軍隊なみに厳しい戒律のもと、ボクは散歩に連れていかれる。


だいたい、他の柴犬諸君の日記を読むと‥‥散歩が好きな柴犬ばかりではないんだが‥‥普通は、トテトテと軽快に歩くらしい。
しかしボクの足取りは、カタカナにしたら
ザッ ザッ ザッ
と、いかにも強制歩行だ。
(意外に、カッコいいかもしれない)


ボクはまず、うちの私道からバス通りに出るところで、拒否柴第1弾。
側溝の蓋が金属の網で、渡りたくないんだ。


「ソレ❗」
と飼い主が号令をかける。
ちょっと勇気を出して飛び越えるんだが、飼い主はボクの恐怖心なんかお構い無しだ。
いつか反対の場面で、飼い主が勇気を出さないことがあったら、存分に笑ってやろう、ソレソレソレ❗としつこく掛け声をかけようと思いを重ねるひと飛びだ。


道路を渡ると、次なるモンスター。
ボクは、車の音が嫌いだ。
とくに朝の散歩の時間帯、8時前には、通勤の車や農作業に向かう軽トラがよく通る。
みんな速度超過でガアーッと凄まじい音がする。
みんな嫌だ。
繊細なボクには耐えられない。
極めつけは、出勤する息子も必ずボクを追い抜いて行くんだが、こいつはわざわざスピードを落とし窓を開けて、ボクを見下して行くんだ。


全く、これだから朝の散歩は嫌いだ。


最初に、ボクは定番の場所でチッコをする。
一晩ためていたから、人間なみのたっぷりの音量だ。


しばらくして、今度はプーの場所と決めているところで、何回転かしてから腰を落とす。
この頃は、飼い主の喜ぶ良いプーが出る。
当たり前だ。
少し前、飼い主がいつものフードを切らして、ちょっとお安いのと「ソフトタイプ」のさらにお安いフードを混ぜるようにした。
そしたらボクのプーがソフトタイプになってしまった。
混ぜ物をして節約しようとするからだよ。
いつもの、ひと袋○千円のものに戻したら、プーも元通りになったんだ。
飼い主の皮財布は、中身がなくなりソフトタイプになった。



さて、お散歩も第3コーナーを回った辺り。


おお、昨日よりも。
咲いたねえ!


朝顔の鉢の背後に、そのうち延びてくるツルのために、そこだけ幅1mくらいネットが張られている。
ボクが小学生だったら、そのあたりから絵日記にするのだが。


しかし、そこまでしてくれた人がいるんだなあ。
飼い主が一番欠如している、ボランティア精神に溢れた素敵な人なんだろうな。


もうしばらく、楽しみだ。
どこまで延びて、いくつ花が咲くのかな。


飼い主は、すでに他の花を見ている。


「朝顔は、定番過ぎる。
夏休みの宿題や観察日記に、なぜ紫陽花が選ばれることが少ないんだ?
けっこう長く咲いているのに。
咲くばかりでなく、枯れていくことにも、目を向けても悪くなかろう。」ぼけー