飼い主は、ホッと一息ついて、コーヒーを飲もうとしている。
今日は、年に一度のお茶摘みで、手伝いに来てくれた親戚の人々が帰り、後回しになっていた家事やボクの散歩も済ませたところだ。
「とにかく終わってよかった。
暑くなかったのが何より。」
お茶摘みといっても、もう手摘みではなく機械刈りだからその作業にはそんなに時間はかからない。
手摘みするのは刈り残しの目立つ部分だけだ。
その後、刈り取った茶葉に混じってしまった小さなゴミなどを、手作業で取り除くのに、今回は6人で1時間半ほどかかった。
手摘みなら、最初から良い葉だけを選んで摘み取るから、ちょっとしたゴミも入らない。
機械刈りは、速く終わるがゴミ取りがある。
手摘みは、人手も時間がかかるがゴミなし。
どちらも一長一短だが、飼い主は断然機械派だ。
なにしろ、4年前に、飼い主が機械刈りにせよとゴリ押ししたのだ。
「前みたいに、朝から夕方まで摘んでいるのは疲れる。
何でも速い方がいいのッ!」
まあ、そのおかげで、午前中だけで全て終わるようになり、ゆっくりお昼を食べてくつろいでいられる。
さて。
このお茶の木のてっぺんが、ちょっと色が違うのがわかるだろうか。
「ぽさぽさして太って見えた伊太郎が、冬毛が抜けて少しシュッとして見えるのと同じだ。」
生葉を加工してもらうため、製茶工場に持ち込んだ夫が帰ってきた。
「今年は、100kgちょうどだ。」
100kgというと、製茶すれば5分の1になるから、20kgのお茶に出来上がる。
飼い主の記録によると、このところのお茶摘みは、
2021年は5月9日実施(過去最早)
生葉62.3kg (過去最少)
2022年は5月15日
生葉78kg
だから、今年はまあまあだ。
爺様がいた頃は、完全手摘みで、最高150kg近く出したこともあるし、最低でも100kg前後はあったとか。
手摘みは、人手さえあれば、丁寧に残さず摘むことができるが、機械刈りは、よく伸びた葉のところ(いわゆる、上っ面)だけを刈り取るから、なかなかたくさんは出ない。
欲張って低めに刈れば、茎ではなく木になっている部分まで深刈りしてしまうから、後が大変だ。
なんだかんだ、手伝いの人も機械方式に慣れてくれた。