先日飼い主は、夫とともにホームセンターに行った。
御殿場には、人口比率からしたら多すぎるくらいの、ホームセンターがある。
飼い主は、ホームセンターが好きではない。
だだっ広くてモノを探すのに時間がかかる上、夫が用がある園芸や農業関連のものがあるところは、吹きさらしに近いから寒くてしょうがない。
第一、本日の目的の除草剤など、飼い主には何の興味もない。
夫は早速、あったあったと、500mlのペットボトルほどの大きさのものを手に取る。
「安いので十分だ。」
と、そのホームセンターのプライベートブランド商品を2本、カゴに入れる。
1本448円。
その隣にあるものは、同じPB商品で同じ容量。
ボトルの色とうたう効能がほんのちょっと違い、1本880円。
飼い主は、ふと気がついて、両方の商品を見比べ、老眼鏡がなくて難儀しながら、細かい文字を読んでいる。
それを見て夫が言う。
「こんなの、上のランクにしたって大して変わらないよ。」
しかし飼い主は、夫に880円のものに変えたらどう、と提案した。
「確かに、薬剤の成分は同じだけどね。」
安いのは、100ml の希釈水に対して250ml の除草剤。
高いのは、同じ100ml しか使わない。
濃度が違うから、除草剤を使う量に差が出る。
安いのは、早くなくなるということだ。
「ほら、この表をよく見て。
使用量目安を。」
撒く面積と必要な量、対象物などによって、除草剤を選ぶ必要はあるのだが、この2つの商品に関しては、どちらがお得か、と飼い主は考えたのだ。
飼い主よりもっと老眼の夫には、全く読めず、
「そうかあ?」と腑に落ちないような顔で、まだ
どちらにするか決めかねている。
飼い主は言った。
「さっき、お酒売り場通ってきたとき、言ってたよね。
私が前に頼まれて買った焼酎、20度だったでしょう。
でも本当は、25度の方、飲みたかったって言ってたじゃん。
20度だと薄いから、たくさん消費しちゃうって。
だから、焼酎と同じように、安いのはすぐなくなるんじゃない?」
夫は、1本を880円のものに取り替えた。
ボクは、ちょっと心配した。
焼酎は、20度の方が安い。
夫がお湯割りにするとき、コップに半々くらい。
そして、25度の方が、夫には美味しいのだ。
25度なら、注ぐ焼酎はコップに3分の1。
同じ容量のパックを買ったら、25度の方が長持ち。
しかし1パックあたりの値段は、高い。
どちらがお得か、なんて厳密に量らないと分からないですよ。
ボクには分かるけれど、除草剤はそれと同じ問題だろうか。
飼い主、よく計算しましたか?
面倒くさがりで、計算力のない飼い主は、もう考えない。
あまり深く考えない夫も言った。
「オレが、あそこに使う分はいいとして。
お婆さんの畑の隅っこに撒くように言われたのは、これじゃなくても‥‥」
最近、婆様に対する苦情を、これでもかというくらい、飼い主から聞かされている夫は、どんな除草剤でももったいないと、飼い主側に立った発言をしたのだ。
そうだ。
ボクはこれも知っている。
飼い主の代わりに言える。
「生ぬるいッ❗
婆様に、除草剤なんかお金をかけなくていい。
どうせ自分の懐を痛めない人なんだから。
伊太郎の飲み残しの水でも撒いておけ。
プラセーボ効果だけでたくさんだ❗」