今朝、飼い主とボクは、8時5分前に散歩に出発した。



歩き始めてまもなく、飼い主はボクの背中の左下あたりが、10円ハゲのようになっているのに気づいた。



急いでしゃがみこみ、ボクの背のその部分を、人差し指と中指で毛をかき分け、恐る恐る広げてみる。

分厚いはずの毛はなく、皮膚が500円玉大に露出した。

赤みはない。

ブツブツでなく、小さなカサブタのようなものがいくつか確認できた。

よく観察すると、何か所か、同じようになっている!!



「ひ、皮膚炎だー!」



飼い主は、スマホで時刻を確かめた。

7時58分。

急いで患部を写メに撮ると、動物病院のLINE予約の画面を出す。

8時になったと同時につながり、受付をすると、もう14番。

それでも早い方だ。

問診票を入力し、さっきの写真も送信して、急ぎ足でいつものコースを回り、散歩から帰った。



チッコ・プー・ご飯の、朝の3点セットを済ませたボクは、くつろいでいたところを、9時になったら車に乗せられ、嫌な思い出しかない動物病院に連れて行かれた。



「このところ、腰回りの毛並みが乱れているな、とは思っていたんだ。

もう生え変わりだろうか、寝癖にしては変だ、去年皮膚病で刈り取ったところは無事のようだが、とか…。」

待合室で飼い主は、色々考えていた。



ボクは、痛ければ声に出すが、痒みはあってもなかなか伝えられないから…。



飼い主の脇に立っていたボクは、だんだん不安がまして、今までに出したことのない声で鳴き始めた。

飼い主が、ボクを抱っこしてくれて、しばらくして落ち着いてきて、そのまま30分ほど待っていた。





診察では、細菌性の皮膚炎でしょうということだった。



獣医さんが言う。

「カビの可能性は低いですが、一応検査しますね。

前回みたいに赤むけにもなっていませんし、これらは1週以上前に次々にできて、そして治りかけている感じですから、毛を刈り取らなくてもいいです。

今回は、マイクロバブルバスで薬浴をします。

それ1回で治る子もいますし、2回目必要な子もいます。

念の為抗菌剤を飲んで、とりあえず1週間後にまた、見せに来てください。」



ボクは、毛刈りを免れホッとしたものの、たまたま11時にシャンプーがあいているからこのままお預かりしますと言われ、飼い主から離されてしまった。

「乾かすのに時間かかると思います。

お迎えは、余裕をもって…2時前くらいで。」

そう言われた飼い主は、一旦帰って行った。






午後。

迎えに来た飼い主が後ろに倒れるほど、ボクは飼い主に体当たりで飛びついた。

そのくらい、嬉しかったんだ。



飼い主が言った。

「こんだけモフモフしてると、大変だなあ、伊太郎。

毛が密だから濡れれば蒸れるし。

皮膚炎になっても、すぐにわからない。



しかし。

なぜこんなに首の肉がたるんでる?

伊太郎はいいなあ。

マフラーいらず、自前タートルネックで羨ましいわ。」おーっ!