このところ、毎日夕立がある。
これは、車の窓を通して撮った、ボクんちの畑の一部。
飼い主はここを、夫の道場、じゃない、
【夫の道楽場】
とよんでいる。
なにしろ作っているものが、夫の趣味で植えただけの、リンゴやブドウなど、役に立たないものばかりだ。
なぜ役立たないのか?
全部盗まれてしまうからだ。
今年は、桃をことごとくやられた。🍑
その前日、夫は、摘花(果)という作業をして、いよいよ収穫というところで、夫よりも取り頃を知っている盗っ人に、キレイに片付けられた。
ショックを受けた夫に、飼い主の言葉がさらに鞭打つ。
「全く。
毎年、泥棒のために作ってやってるのか?
懲りないね。
どうせ食べられるシロモノとは限らないんだから、今度こそ懲りて、作るのやめればいいのに。
ただでさえ忙しいのに、余計な農作業をした挙げ句…何の実入りもないとは、まさにこういうこと!」
夫は、こうなったら防犯カメラを設置すると息巻いている。
まだ、リンゴの中でフジという品種が残っているからだ。
飼い主は、それにもハナから却下。
「泥棒のために、またお金を使うなんて。」
飼い主…
泥棒よりも夫を罵るのですか?
かわいそうじゃありませんか。
しかしなあ。
泥棒に聞くけどよ?
人が、丹精込めて作ったものを盗むときの気持ち、ってどうだね?
桃は、小さいながら、30個くらいあったそうだ。
ポケットには入り切らないから、最初から箱とか籠とか、用意してきたんだな。
盗むための入れ物を用意するのって、楽しいのか?
「桃は、畑の一番奥にあった。
写真に見えているのはリンゴの木で、その向こうに隠れている桃は、道路側からは見えない。
だから泥棒は、あの畑で何を作っているか、ご苦労なことに下見までしているんだ。
盗むことに情熱と暇をかけているのか…ま、それが泥棒の仕事だが。」
泥棒よ。
飼い主の怒りを買ったら、恐ろしいことが起こるだろうと、予告しておこう。
飼い主の呪いは、ホラー映画より怖いからね。
夕立どころか、アナタ自身に落雷があるよう、きっと飼い主が祈祷していますよ。
天罰がくだれ、と。
まあ…防犯カメラはお金がかかりますが、呪いをかけるのは、一応タダです。
じっと雨を見つめていた飼い主が言う。
「作物を盗ったりダメにしたのが、サルやハクビシンなら、まだあきらめもつく。
動物を憎んでも仕方ない。
こんな小さい畑だし、出荷するわけでもない。
台風シーズンに、売り物のリンゴや梨が風水害にあう苦難に比べたら、小規模な被害だ。
しかし、盗まれるというのは、何と心をえぐられる被害だろうか。
今頃、泥棒も、雨で活動をやめているだろう。
可笑しいわ。
笑えるわ。
雨の中、わざわざ濡れてまで、桃を盗もうとは思わないわけだ。
究極の自己中自己愛だ。」
雨上がり。
飼い主、いつもの即興短歌。
お題も悲しや、
「桃の窃句」
盗むにも
濡れたくなくば
濡れてみろ
作りし人の
降らす夕立
夕立が
等しく流す
桃畑
作る人には、
盗む人には。
盗まれた
あとに降る雨
真っ直ぐに
実のなき桃の
木にも人にも
雨上がり
輝くはずの
実はなくて
握りつぶすは
いわれなき怒り
桃は今
生きているのか
夕立を
避けて盗られた
雫が乾く
最期の歌で、ボクはなぜか、保護犬のことを思い出してしまう。
連れて来られた経緯や、扱いのことを考えると、胸が痛む。
桃は、生き物なんだ。
飼い主がボクに問う。
「そういえば、peachって、【救済の象徴】でもあるはずだ。
救済されるべくは、誰なのか。」
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