雨があがった。




「よし、風がない。」

飼い主が、ボクを【ボクは走らないボク専用のドッグラン】に連れて行く。




手袋の上に、さらにブラシ型のミトンのようなものをはめ。

ボクの体をひとなですると、フア〜と毛が舞う。




ボクは今、柴犬名物、換毛期の真っ只中だ。







首の下は、気持ちがいい。
苦しゅうない、続けるがよい。






されるがままに。






この時期は、みすぼらしい風体だが、仕方ない。






「もう1本、尻尾ができそうだ。」





「取れる取れる。」
緑の芝生にもたくさん落ちて、枯れ芝のような色になってしまった。
束で取れた毛を入れた袋が、ベージュ色に膨らんできた。



これで。




ひと皮むけて、じゃない



一山抜けて、いい男



になるぜ。