久しぶりだ。

朝からしとしと雨が降っている。

運良く雨の合間にチッコをすませ、ご飯を食べたボクは、この様子ではプーに連れ出されることはあるまいと、小屋の中でゆったりしている。









飼い主はというと、こういう日の定番の一つ、ミシンを出してきて、ちょっとした作業だ。




今日は、「山着」にしているシャツの前立てがほころびていたので、縫い合わせて補強する。




 
山着といっても、飼い主はたまにしか着ないのに、まだ新しめのシャツの縫い目が破れたり、ボタンが取れたりはけっこうある。
「まあ、元々安物だから、こういうリスクは承知の上」




飼い主は、ちゃんとした服の修理は、洋服修理店に出し、プロに委ねている。
洋裁の腕は全くないから、自分では失敗しても諦めのつくことしかやらない。




次に出したものは、「下だけパジャマ」。
何年か前、母が夏の間の昼間、布団の中で過ごすときにどうかと買ったのだが、役に立たずに終わったものだ。
もったいない、はいいけど、この柄は飼い主にはオバサンぽいなあ。
いくらオバサンが着るといっても。
気分が下がらないか?






「いいんだ。気分が上がったら、寝付けないから」





そうスか。





「楊柳という生地で、サラサラしている。夏は、上はTシャツ、下は半ズボンで寝るのが楽。この長ズボンのままでは、やはり暑苦しく、どうせ膝までめくれてしまう。だから、裾を短く切る」




飼い主お得意の、「ジャガー」。
20cmほどジャジャと切って、ガーッと縫う。




ああ…
なんという庶民的な寝間着えーん




  
 

もう1着、自分のパジャマのズボンもチョン切ったところで。



  



ふと外を見たら、少し明るくなっている。
富士山の雲も取り払われた。




ヤバイなあ、飼い主が作業を中断して、叫びそうだ。
 


 

BSをつけていると、よくこういうCMを耳にする。






【シジミ、チャーンス!】






飼い主は、






【小止み、
チャーンス!】

 



と叫んで、喜々としてボクをプーに連れ出すんだ。




しばしの、静かな時間は、中断だ。