お嬢が家事特訓中である。
とにかく掃除に洗濯、料理など、ほとんどまともにやってこなかったお嬢。
これからの独り暮らしに備えて、とにかくやらねばならない。
住民票も移して、なんとお嬢、世帯主。
笑える。
ゴミだって誰も出してくれないし、掃除だって家中全部自分でやるのだ。
電球だって自分で変えなくちゃならないし、買い物だってこまめにしないと。
細かいことが気になる私は、心配ばかり。
べったりくっついて18年間生きてきて、今やすっかり精神的にお嬢に頼りきっている。
子離れ?そんな言葉は私の辞書にはないのよ。
そう言い切ってきたのだが。
お嬢、根は働き者。
お母さんはいいから、と、なんでも自分でやろうとする。
ぶり大根を作れるようになりたいと、果敢にも挑戦。
一人用の狭いキッチンで、生姜をむくのが難しく、悪戦苦闘するお嬢。
危なっかしい手つきにも、ハラハラと見てるだけ。
我慢、我慢の末、でき上がったぶり大根。
ちょっとした感動。
できるじゃない。
おいしいじゃない。
え?お母さんのと味がちょっと違うって?
当たり前よ、20年のキャリアを簡単に越えられると思って?
越えられないのがもうひとつ。
母の、子離れという壁。

