高齢者のリハビリをしていると、
時々80代以上の方にもハイハイをしてもらうことがあります。
こう言うと驚かれます。
「えっ?ハイハイですか?」と。
でも私は結構好きなんです。
理学療法士として20年以上リハビリに関わってきました。
骨折後の方。
手術後の方。
脳疾患の後遺症がある方。
パーキンソン病の方。
腰痛や股関節痛で歩くことに不安がある方。
そんな方たちのリハビリを行っています。
実は私は、そういう方にもハイハイをしてもらうことがあります。
もちろん年齢や状態によって方法は変えますが、
「ハイハイなんて赤ちゃんのすること」
とは思っていません。
むしろ、とても優秀な運動だと思っています。
なぜなら、
骨盤を動かして、
体幹を使って、
左右の手足を協調させて、
身体を支えながら前へ進む。
こうして書くと難しそうですが、
「骨盤を動かしてください」
「体幹に力を入れてください」
「反対側の手足を協調して動かしてください」
と言っても、なかなかできるものではありません。
でも、
「ハイハイしてみましょう」
だと自然に入ることが多いのです。
しかも安全です。
立った状態より転倒の危険が少なく、
筋力だけでなく、
柔軟性や協調性まで同時に使うことができます。
さらに、自宅でも自主トレとして続けやすい。
私は時々思います。
こんなにコスパの良い運動を、
赤ちゃんは毎日夢中でやっているんだな、と。
もちろん、
ハイハイをしたから一生腰痛にならないわけではありません。
膝が痛くならないわけでもありません。
でも私は病院でたくさんの方を見てきて感じるのです。
事故や病気以外で身体に不調が出る方の多くは、
長年の身体の使い方や生活習慣の積み重ねを抱えています。
腰痛。
膝痛。
肩痛。
股関節痛。
身体は長い年月をかけて今の状態になります。
だから私は、
赤ちゃんの頃から身体をたくさん使う経験は大切だと思っています。
発達の世界では、
「できた」「できない」が注目されがちです。
でも私が見ているのは、
「どうできているか」。
身体をどう使っているのか。
どう支えているのか。
どう動いているのか。
そんな視点です。
赤ちゃんが夢中でやっていることを、
私は80代の方にもお願いしている。
そう考えると、
ハイハイってすごい運動なんだなと思うのです。
発達は「できた・できない」よりも、
「どうできているか」。
そんな視点で見てみると、
また違った発見があるかもしれません。