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とし物語 vol59 ~美容師編8~

(デートの話はまた今度)

汚いながらもなんとかタイム内に入った。

しかしまだ3日に1回ぐらいしかできない。

大会までの数日間、さらに練習した。

そして大会当日。

会場は大阪。

ワインディングだけでなく、カットの大会もあったりするので

たくさんの美容師さんが来てた。

正直、あっとうされた。

初めての大会で、しかもタイムに入れるかどうかも微妙。

みんなめっちゃうまそうに見えた。

かなり緊張した。

僕らの出番はすぐだった。

お店の先輩たちも何人か応援に来てくれた。

もうやるしかない!

すぐに準備に入った。

高まる緊張の中、震える手をなんとか落ち着かせて準備した。

一緒に出る同期の人達もどこにいるのかわからないぐらい人がいた。

1人だけ5つ横ぐらいにじゅんちゃんがいた。

彼女は余裕がある風に見えた。

いかんいかん、集中せねば。

始まる時間になった。

まずは5分でブロッキングする。

5分?やったかな??

(あんまり覚えてない)

頭を10ブロックに分けて、ゴムでくくる。

それは決まっていて、絶対にしないといけないこと。

そのブロッキングが綺麗にできてるか、できてないかで

ワインディングの出来が決まる。と言っても過言ではない。

いつもの練習のようにバッチリできた。

ちょっと余裕があったので、隣の方のじゅんちゃんを見てみた。

!!!!!!!

みんな10ブロックに分けてるのに、どう見ても5ブロックにしかわけてなかった。

あかん、こりゃ失格になる!

そう思ったのだが、声をかけるにはちょっと距離が離れている。

大声を出すわけにもいかず、どうすることもできない。

なんとか気付いてほしいけど。

全然気づく様子もない。

と思った瞬間、本人が気付いた。

明らかにパニクってた。

が時すでに遅し。

そのままワインディングに突入する時間になった。

緊張してなかったのだが、ロッドをもてないくらい手が震えていた。

最初の1本を巻くのにかなりの時間を費やした。

不思議なもので1本巻くと落ち着いて、あとはすらすらといけた。

緊張もいつの間にかなくなってた。

あんなにタイムに入るのがぎりぎりか、むりか、ぐらいだったのに

2,3分余って全部巻くことができた。

しかも、今までで1番綺麗にできた。

もしかして、本番に強いタイプか!?

他の同期の人達もできてるようだった。

結果全員タイム内にできた。

この数カ月頑張ったかいがあった。

応援に来てくれてた先輩もよろこんでくれてた。

自分としては最高のでき。

お店では各技術にテストがある。

もちろんワインディングも。

言い出来なので、ついでに店長に見てもらうことにした。

「どうです、今までで最高の出来です」

力強く言った。

「うーん、いいんやけど、センターのこの辺がちょっといがんでるかな?」

「えっ!!!」

確かによく見ると、センターが2本ほどちょっとだけいがんでた。

しかしよく見ないとわからないレベル。

「そこをなんとか、合格に!!!!」

結果不合格だった。

この人は鬼だと思った。

自分の中で勝手に終わってたので、もう1度気持ちを奮い立たせるのが・・・・・・

下呂さんが出そうだった。

日にちを置いたらもうあかん!

と思い、そのまま帰ってお店に行ってスグにまたワインディングをした。

しかし、あのコンテストの出来をなかなか超えられなかった。

結果、夜中の3時ぐらいまでしてた。

おかげでいいのができた。

次の日、

無事に合格をいただいた。

今思うと、厳しくしていただいて感謝しておりますm(__)m

とし物語 vol58 ~美容師編7~

まんだらもオープンしてしばらくが過ぎたころ、オーナーから

ワインディングのコンテストにでないか?

という話があった。

(ワインディングは簡単に言うと、パーマを巻くこと)

もちろん僕は全然できなかったので、関係ないと思ってたのだが

なぜか僕も強制的にでろ!

という命令が下された。

僕と同期の人達はみんなすでにできる技術だった。

僕はまだ練習しだしたところで、到底できるわけがない。

なのに、2ヶ月後には大会があり

それに同期4人で出場しろ!ということになってしまったのだ。

えらいこっちゃ。

とにかくでなくちゃいけないので、練習しまくった。

が、やはりできない。

大会は、20分でマネキンの頭にロッドを60本以上巻く。

しかも綺麗に。

かつ

早く。

僕のタイムは40分以上。

不可能だ!

練習に練習を重ね、なんとか時間が25分で巻けるぐらいにまでなった。

が、どうしてもそこからタイムが縮まらなかった。

行き詰った。

やってもやっても縮まらない。

おまけに巻くのも綺麗にできなくなってきた。

あせればあせるほどできなかった。

練習は、夜だけでなく朝もするようになった。

朝練は先輩のまきさんと一緒にやってた。

正直、朝早くからやるのはいやだったが

まきさんと一緒なので楽しかった。

思えば、この頃はもう好きになってしまっていた。

いつから好きになったのかは覚えてないけど。

朝早くから二人きりで練習。

悪くないな。

朝、お店で待ってるとなかなかやってこない。

僕は

「あ、おはようございます。」

まき

「おはよう。がんばろね!」

なんて、会話を想像しながら待ってた。

が、約束の時間を過ぎてもやってこない。

そしたら急にお店のドアが開く音がした。

来たか!

スタッフルームで緊張して待ってたのだが、こちらには来ずに

いきなりチョキチョキという音が聞こえてきた。

あれ?

フロアの方に行ってみると、かばんをそこらへんに置いて

すでに練習を始めてた。

なんて人だ!

そもそもそっちが一緒に練習しようって言ってきたくせに、

挨拶もせずにいきなり勝手に練習しだしているなんて!

こっちは待ってるのに。

という気持ちだった。

そして僕も無言のまま練習しだした。

あとで聞くと、誰かと一緒に練習したほうががんばれるし

たまたま僕が練習をがんばってたので誘ったみたいだ。

で、遅れてきたから早く練習しないと。と思ってスグに始めたと。

逆に、遅れてきたのに練習してなかった僕を見て

「なんでこの人は練習してないのだろう?」

って思ったらしい。

これはどちらが正しいんでしょうか?

それはさておき、

あともう一息でタイムに間に合う。ぐらいの所まで来た。

もう一息。

僕はまきさんに

「もし今週中にタイムに入ったらなんか言うこと聞いてくださいよ。」

ってお願いしてみた。

まきさんは

「えっ!願いによるけどいいよ。」

って。

「願いって何なん?」

僕は一か八か

「できたらキスしてくださいよ。」

とお願いしてみた。

見事に断られた。

そりゃそうだ。

しかしめげずに

「じゃあ、できたらデートしてくださいよ。」

とお願いした。

「うーん、デートか。ご飯食べに行くんやったらいいよ。」

「いや、デートしてください。」

「うーーん、できたらね。」

よっしゃぁぁぁーーー!!

がぜん気合が入った!

何度やってもタイムに入らなかったが、この約束のおかげで

スピードアップすることができた。

そして・・・

とうとうタイム内に入ることができたのだ!

ついにやった!!

結果、技術も向上し

かつデートもできる。

最高だ!!

とし物語 vol57 ~美容師編6~

2001年8月。

新店舗がオープンした。

名前は“曼陀羅”(まんだら)

名前の由来はなんかあったのだが、正直忘れた。

さあ、また今日からがんばるぞ!!

オープンしてすぐに1人目のお客さんが来てくれた。

「いらっしゃいませ~!!」

続いてすぐに2人目のお客さんが来られた。

出だしいい感じ。

でも最初からそんなに忙しくなるはずもなく、お客さんはぽつぽつと来られる感じだった。

僕は下っ端だったので、シャンプーしてた。

しかしお客さんが少ないため、僕がいなくても全然お店は大丈夫だった。

なので、外に買いだしに行ったり、チラシを配りに行ったりと雑用の仕事が主になった。

お店が忙しくなると、たまにシャンプーに呼ばれる感じ。

ある日、でかい荷物を解体するという仕事を与えられた。

皆はお店の中で頑張って仕事してるが、僕はお店の裏で1人解体作業をすることになった。

皆の持ち物はハサミ。

僕はのこぎり。

皆は髪の毛をカット。

僕は木をカット。

たまにトンカチでがんがんつぶす。

という仕事もあった。

最初はほぼ毎日こんな仕事だった。

でもなぜか、いやではなかった。

普通の美容師さんならいやがるのかもしれないけど、僕は大学を出てからなってるので

どんな仕事でもいい意味で疑問に思わなかった。

炎天下の中がんばって木を切ってると、ある先輩がよく話しかけにきてくれた。

「暑いのに大丈夫?」

って。

素直に優しい人だなと思った。

マンダラがオープンするまでは、スタッフが多すぎるせいもあって

あんまりいろんなスタッフの人と話したことがなかった。

もちろんちょっとした会話程度はしてたけど。

なので、どんな人なのか?というのがわからなかった。

マンダラがオープンしてからは、同じマンダラの人達とは結構仲良くなった。

なかでもよく話かけてきてくれてたのが、”まきさん”という先輩だ。

この人が今の嫁さんです。

ま、この話はのちのちに。

まきさんは話しやすかった。

しかも同じ京都産業大学を卒業してて

その後美容師になったという共通点もあった。

自然と話することも増え、夜も皆でしゃべったりして仲良くなった。

その他にも、”なみさん””じんさん”という人がいた。

それとオーナーと僕。

この5人がオープン1ヶ月間のメンバーだった。

なんとなくだが、チームマンダラ

みたいな団結があった。