お金持ちの乗った宇宙船の向こう。
そこには、列車が浮かんでいました。
この世に未練を残したものたちが、乗り込むその列車は、どこに向かうのでしょうか。
取材として特別な許可を取りました。
貸切車両で、一人女性が座っています。
暖房をきかせているのに、体をブルブル震わせています。
車掌に話をきくと、離ればなれになっていた両親を引き合わすために、雪に包まれながらみずからの命を絶ったといいます。
時々、寂しげな歌声が聴こえてくるそうです。
隣の車両が賑やかですね。
この車両は、逆に冷房がよくきいています。
どうやら火事で逃げれなかった方々が乗っているそうです。
どんなに冷やしても、放火をした相手への怒りからか体がさめないと訴えてくるそうです。
他にも乗客がいるのでしょうか。
ヒト以外にもいるようです。
貨物車に殺処分をされたニワトリが、にぎやかにおしくらまんじゅうをしているので、温度管理は楽だそうです。
この時期の列車は、いつも満席に近いそうです。
ワタシは、途中下車をして、意識を取り戻しました。
もう少し、生きてがんばろうと思います。(おわり)