《いない いない バァ》
ざぁざぁぶりの雨の中、傘もささずに歩く青年。
エッちゃんは、知っていた彼が有名な歌手グループの一員だと。
そして、失踪騒ぎを起こしていることも知っていた。
視界が悪い雨の中、ぼんやりしていて、車に跳ねられそうになった彼をエッちゃんは助けた。
そしてエッちゃんは、声をかけたのだ。
青年は、歌を歌うことが大好きだったが、ある時、自分が人のために歌ってるのではなく、お金のために歌っていることに気づいた。
その途端、歌が歌えなくなってしまったというのだ。
エッちゃんは、歌が歌えるようにしてあげたが、それがほんとによかったのか。
エッちゃん自身も首をかしげてしまった。
歌が純粋に好きだけでは、生きていけない芸能界?(汗)
失踪騒ぎから留学、引退、卒業と、今や芸能人の姿の消し方は様々な表現の仕方がありますね。
夢を売る仕事ゆえ仕方がないのか(汗)。
平凡出版社「平凡」1969年7月号。
(講談社「石ノ森章太郎デジタル大全」から「さるとびエッちゃん(5)」より)