(創作)夏山を制す | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

「君は、この夏どの山を制したかね?」

「私は、山なんか登りませんが?」

「何? この暑い時期にあの山を見れば登りたくなるはずだ!」

「どの山の話ですか?」

「どの山でもいいんだ。

君は、上から制するかね、下から攻めるかね?」

「どちらがおすすめなんですか?」

「どちらからでもいい。

すべてを制するためには、まず心構えが必要だな。

事故には、十分注意するように」

「オーバーだなぁ」

そこに、かき氷がふたつ運ばれてきた。

「たかが氷とあなどるなかれ。

値段分の山登りを楽しむんだ」

上司に連れてこられた甘味処で、待たされる間の会話だった。

上司の言う山登りが、単調にならないよう私は、トッピングを追加していた。

急いで登ると頭がいたくなる。

ゆっくり登ると、溶けてなだれが起こる…。

山が溶けた水を飲むのもうまいと思うのだが。

なるほどと思いながら、私はこの夏、この小さな山を制覇した。(終わり)