(創作)アイツがやってきた | ネムリ・モヤのブログ

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アートと旅と食を愛す孤高の仮面ライダー好き女

始まりは、いつも試行錯誤である。

人々は、彼がやって来るのをひそかに願っている。

「そろそろ、行きますか?」

「…いや、まだだ」

コーチの声も、彼には届かない。

「最高な状態で、みんなの前に立ちたいんだ!」

「体がどうなっても知りませんよ…」

「いつものことじゃないか。

自分が納得できるまで、自分を鍛えておきたい」

その男の体は、以前の体よりひとまわり、たくましくなっていた。

だが、心の広さは何も変わっていない。

「私が出ていけば、すべてが解決するかもしれない。

だが、それではダメだ。

まずは、自分達でなんとかしてみなければならない。

そのあと、その力不足を私が補う程度でいいんだ」

人々は、心から彼の登場を待ち望んでいた。

あとから続く、仲間たちがどんなに暴れようとも、彼にはかなわない。

彼の名は、『台風1号』。

数字が付いていようと付いていなくても、台風といえば、彼のことを指し示す名前なのだ。

彼の現れる前には、強い風が吹くらしい。(終わり)