こういうお話は、弱いですね。
時間や場所も関係なく泣いてしまいます。
どうやら、石ノ森章太郎氏の実体験のようです。
妹さんや弟さんみたいにカラスは助けたことはありません(笑)。
ですが、小学生のころ、校庭の片隅に一人で遊んでいると虫(ニャッキみたいな虫)が樹木の外側に出てきたので、他の人に踏まれたら大変だと元の木のふもとに戻してやった事がありました。
ところが、その次の日その虫は、同じ場所で干からびてなくなっていました。
自分は、なんて無力なんだろう!
小さな虫さえ救えない。
他のものの運命なんて変えられないんだと、ショックを受けた覚えがあります。
ものがたりだと、恩返しとか美談になりがちですが、現実はキビシーのです(汗)。
自然の摂理ということを、こうして体で覚えていくんだと思います。
カラ公との楽しい思い出は、カラ公を失いながらも、石ノ森章太郎氏の心にいつまでも大切にされていたようですね。
1962年 集英社『りぼん』8月号 初出。
(講談社『石ノ森章太郎 デジタル大全』より『青いマン華鏡』から「カラ公ものがたり」を読んで)